1976年のアルバム(その29 Fly Like An Eagle/Steve Miller~)
Steve Miller Bandといえば、ブルース・ロックのバンドとしてその名前を知られていました。
またギタリストとして、Boz Scaggsがオリジナル・メンバーであったことや、キーボード奏者として、Ben Sidranが在籍していたことでも知られていましたが・・・
1973年にリリースしたThe Joker
シングルがなんと全米No.1
そしてアルバムも全米No.2
それだけに、次の作品には大いに期待が・・・
とはいえ自分も洋楽を聴き始めて、色々好奇心旺盛だった時代だけに、当時としては、3年近く・・・
さらにはあれだけ話題のアルバムが登場した1975年にも音沙汰がなかったということで、Steve Miller Bandの名前も忘れつつありました。(笑)
・・・で、1976年、かつての盟友、Boz ScaggsがSilk Degreesで大ブレイク
それに触発されたわけではないでしょうが、Steve Miller Band
約3年ぶりに新曲がリリースされました。
Take The Money And Run
少し前にCrosby & Nashが同じタイトルの曲をリリースしたのですが、全く同名異曲
Lynyrd SkynyrdのSweet Home Alabamaを思わせるナンバー
またStonesのアルバムExile On Main St.に収録されたTorn And Frayedにも似ているわけで・・・
要するにゴスペル調の典型的なカントリー・ロック・ナンバーでしょう。
まさに待望の新曲だけにチャートを上昇し始めましたが・・・
まもなく、アルバムも登場
話題はそちらへ・・・
タイトルは、Fly Like An Eagle
なんと邦題は「鷲の爪」
ちょっと訳が違うんじゃないのかな・・・そう思った15歳の少年でした。・・・
1976年を代表するアルバム
そして最高位No.3アルバムとして。5番目に登場するのが、このFly Like An Eagleとなりました。
Steve Miller Band
Steve Millerはヴォーカル、ギター、キーボード、シタール、シンセサイザー・・・
ギターとヴォーカルだけでなくマルチ・プレイヤーぶり
ベースがオリジナル・メンバーのLonnie Turner
ドラムスが、このアルバムから参加した凄腕ドラマー、Gary Mallaber
基本的にはこのトリオですが、曲によって多彩なミュージシャンが参加しています。
プロデュースはSteve Miller自身です。
A面、文字通り、シンセサイザーを多用したSpace Introから、ギターのカッティング、Fly Like An Eagle
語りかけるようなSteveの歌、彼の世界に引きずりこまれていくよう・・・Jorchim Youngのオルガンが効果的
尚、シングル・カットされ、翌年に全米第2位の大ヒットとなりました。
この曲に続き、シンセサイザー音から、民族音楽的リズム、Wild Mountain Honey
これもSteve Millerのマジック、中期のBeatlesを思わせるところも・・・
作者は、Steve McCarty
一転して軽快なギターのストロークでSerenade
歌といい、メロディ・ラインといい、日本人好みのナンバーと思いました。
後になって日本独自でシングル・カットされましたが・・・その時はあまりヒットしなったようです。(苦笑)
一転して、カントリー・タッチの楽しいナンバー、Dance, Dance, Dance
Beach Boysとは同名異曲、SteveとJoseph Cooper、Brenda Cooperの共作、後にDoobie Brothersに加わるJohn McFeeがドブロで参加
盛り上げています。
A面最後は、
ギターのイントロから、K.C.Douglasのブルース・ナンバー、Mercury Blues、以前にもレコーディングしていてアルバム中、1番本来のSteve Miller Bandらしいナンバーといえるでしょう。・・・
B面、ドラムスから、Woo Hoo~、そう、前述の第1弾シングル、Take The Money And Run
軽快なヒット・シングル向きのナンバーでしょう。
続いて、ドラムスから、ギターのイントロ、Rock'n Me
シンプルでストレートなナンバー
第2弾シングルとなり、The Jokerに続いて2曲目の全米No.1になりました。・・・
一転してコーラスから、You Send Me
勿論、Sam Cookeのナンバー、Cheech & Chongのコメディ・アルバムのためにレコーディングされたとのことですが、ここでは少しスローダウンといった感じです。
インタールードといえるシンセサイザーのBlue Odysseyに続いて、アコースティック・ブルース、Sweet Maree
そう、ここではゲストのJames Cottonのハーモニカが大々的にフィーチャーされ、聴きものとなっています。
そして少しブレイクがあり、アルバム最後は、The Window
Steveの歌も印象的なメロディアスなナンバー
実はこの曲だけ、Les Dudek等、違うミュージシャンが参加しているのです。
浮いた感じが全くしないわけではありませんが・・・
シングル・カットされなかったのは、そんな理由なのかもしれません。・・・
このアルバム
当時、FM番組から全曲エアチェックすることができました。
それを何回も聴いていたのですが・・・
シングル・カットされたTake The Money And Runとかはともかくとして、どちらかといえば、マニア向けのアルバム
そう思ったので、ロング・セラーとなった時、正直、疑問も感じました。・・・
ただこのアルバム、何度も聴くと、それだけSteve Miller Magicに引き込まれてしまう・・・
そんな魅力がある作品でしょう。・・・
音楽的には、先ほども少し名前を出したRolling StonesのExile On Main St.に共通したものを感じる次第です。・・・
The Jokerの意外な大ヒット
・・・でもそれから約3年後の次作、このFly Like An Eagleの成功によって、Steve Millerはアメリカン・ロックを代表するビッグ・ネームに
そして日本ではこの次のアルバム(Book Of Dreams(邦題「ペガサスの祈り」))で大ブレイクとなるのですが・・・
残念ながら日本公演は一度も行われていません。・・・
ハワイでDave Masonとのジョイント・コンサートがあった時など、本当に見たいと思いました。・・・
1943年生まれのSteve Millerですが、その音楽は年代を問うものではないと思いますし、The Steve Miller Bandのライヴ
是非、体験したい
これも夢の1つですね。