1980年のアルバム(その70 The Wanderer / Donna Summer)
このアルバム・シリーズ
1980年くらいになると、ほとんどがリアルタイムで聴き込んでいるものばかりなので・・・思い入れもあり、時間がかかってしまって・・・
スローなペースとなりましたが、久々に復活です。
・・・で、1980年の70番目ということで、登場するのが・・・
Donna Summer
'70年代最後の1979年、最も活躍したアーティストは間違いなく彼女
ディスコ・ブームもあやかって、なんと7曲の全米TOP40ヒット
そして ’80年代も、全米No.1に輝く彼女のベスト盤
On The Radio: Greatest Hits Volumes I & II
さらに On The Radioの大ヒット(全米No.5)で幕明けとなりました。
一方、そのような時代、Asylumレコードの若き創設者David Geffenが新たにGeffenレコードを立ち上げる
そして大物だけと契約すると公言・・・第1弾となったのが・・・
このDonna Summerでした。
レコーディングに関わるメンバーは・・・
Donna Summer、Giorgio Moroder、Pete Bellotte
お馴染みのファミリー
1980年秋に先ず登場したシングルが・・・
The Wanderer
どことなく、オールディーズといった感じの曲調
但しバックの音は、ニュー・ウェイヴ風・・・
前年の Hot Stuffでのハード・ロック・サウンド同様、このサウンドには、驚かされましたが・・・
ポップでノリのいいナンバーだけに、ヒット・チャートを急上昇してきました。
そして、アルバムは、このナンバーをフィーチャーしての・・・
The Wanderer
1980年後半、大々的に Geffen第1弾として登場したのでした。・・・
レコーディングは、1980年3月~7月、Westlake Audioにて・・・
Donna Summerをバックアップするメンバーは・・・
バッキング・ヴォーカル・・・ Bill Champlin、Carmen Grillo、Tom Kelley
ベース・・・ John Pierce、Lee Sklar、Les Hurdle
ドラムス、パーカション・・・ Keith Forsey
ギター・・・ Jeff Baxter、Steve Lukather、Tim May
キーボード🎹、シンセサイザー、そしてアレンジ・・・ Harold Faltermeyer、Sylvester Levay
サックス・ソロ🎷・・・ Gary Herbig
ミュージカル・コントラクター・・・ Trevor Veich
ミキシングは、Westlake Audio、Rusk Sound Studiosにて
Giorgio Moroder、Harold Faltermeyer、Juergen Koppers、Pete Bellotte
マスタリングは、Allen Zentz Masteringにて、Brian Gardner
エンジニアリングはBrian Reeves、Harold Faltermeyer、Juergen Koppers
アシスタント・エンジニアリングは、Erik Zobler、Matt Farger
アルバム・ジャケット、デザインは、Art Hotelにて、Chris Whori
写真撮影は、Harry Langdon、タイポグラフィーは、Martin Donald、ヘアーは、Louie Veglia
プロダクション・コーディネーターは、Laurie Kanner
アルバム・コンセプトは、Donna Summer
そして、プロデュースは勿論、Giorgio Moroder、Pete Bellotteです。
A面1曲目、リズムが響いて、軽快なシンセサイザー音のイントロから・・・
The Wandererでスタート
作詞 Donna Summer、作曲 Giorgio Moroder
語るように歌い始める Donna、前述の通りオールディーズ風で盛り上げ
間奏部の音も凝った作りとなっています。
アルバムからの先行シングルで、全米No.3、全米R&Bチャート No.13
全米ダンス・チャート No.8、シングルで全米ゴールド・ディスク獲得
その他、カナダ No.4、オーストラリア No.6、ニュージーランド No.5、オランダ No.30、イタリア No.3、スペイン No.8、南アフリカ No.5、スウェーデン No.9、そして全英 No.48・・・世界中で大ヒットとなりました。
2曲目、クラヴィネット、エレクトリック・ピアノ🎹のイントロから、軽快なビートへ・・・
Looking Up、作詞Donna Summer、Pete Bellotte、作曲Giorgio Moroder
Donnaらしいディスコ色の強いナンバー
彼女の歌をコーラス陣がバックアップ
アルバムから第4弾シングル、全米ダンス・チャート No.8
日本では第3弾シングル、ディスコ等を中心によくオンエアーされていました。
3曲目、少しスロー・ダウンで力強いビートに合わせて・・・
Breakdown、作詞 Pete Bellotte、作曲 Harold Faltermeyer
ややハイトーンで優し気に歌うDonna
男性の歌声(Carmen Grillo)が、彼女とかけ合うように入ります。
4曲目、機械的なリズム音が響き、シンセサイザーのイントロ・・・
Grand Illusion、作詞 Donna Summer、作曲 Giorgio Moroder
優しく歌う Donna、それをバックアップしているシンガーは、Stephanie Spruill
途中シンセサイザー音をバックに、Donnaがハイトーンでソロで聴かせますが・・・
実は、Love To Love You Babyや I Feel Loveの進化形なのかもしれません。
余談ですが、ロック・バンド Styxのナンバーとは同名異曲
・・・ですが、邦題は同じく「大いなる幻影」となっていました。・・・
5曲目、美しいキーボード音から、当時のAOR風サウンドに・・・
Running For Cover、作詞作曲 Donna Summer
コーラスにバックアップされ、熱唱、アップ・テンポに変わるところがキマって・・・
ギター・ソロ(Steve Lukather)も効果的に入ります。
邦題は「愛の隠れ場所」です。
B面1曲目、ドラムスから、ハードなロック・ギターが響いて・・・
Cold Love、作詞作曲Harold Faltermeyer、Keith Forsey、Pete Bellotte
AC/DC等を思わせるロック・サウンドをバックに熱唱するDonna
ノリがよく盛り上がり、ギター・ソロ(Jeff Baxter)もフィーチャー
アルバムから第2弾シングルで、全米No.33、全米ダンス・チャート No.8
全英No.44、アイルランド No.30、正直もっとヒットすると思いました。(苦笑)
2曲目、美しいキーボード🎹のイントロから、ノリのいいビートに・・・
Who Do You Think You're Foolin'、作詞 Pete Bellotte
作曲 Jerry Rix、Pete Bellotte、Sylvester Levay
こちらも Donnaらしいディスコ調のナンバーですが、ノリよく転調
コーラス陣もバックアップ、ノリよく響きます。
アルバムから第3弾シングルで、全米No.40、全米ダンス・チャート No.8、オーストラリア No.100、邦題は「涙の祈り」です。
3曲目、再びハードなギターのイントロから・・・
Nightlife、作詞 Pete Bellotte、作曲 Giorgio Moroder
ハードに軽快に歌う Donna、シンセサイザーも効果的、ノリのいいナンバーです。
4曲目、軽快なサックス🎷が響いて、軽いタッチで歌い始める Donna
Stop Me、作詞作曲 Keith Forsey、Pete Bellotte
途中からスピードアップ、ギター(Steve Lukather)も効果的に入ります。
5曲目、オルガン🎹のイントロ、最初からパワフルに歌う Donna
I Believe In Jesus、作詞作曲 Donna Summer
タイトルが示す通りゴスペル調のナンバー、途中から軽快なリズムに・・・
コーラス陣が重厚にスピリチュアルなムードに盛り上げます。
邦題は「イエスを信じて」
最後はDonnaの力量を感じるナンバーでアルバムは幕を閉じます。・・・
CDの時代となり、ボーナス・トラックが収録されることもありました。
2020年には、40周年記念盤 40th Anniversary Deluxe Editionがリリース
オリジナル曲10曲のリマスター・ヴァージョンに加え・・・
リミックス・ヴァージョン等、7曲がボーナス・トラックとして収録されました。
全米アルバム・チャート最高位 No.13、全米R&Bアルバム・チャート No.12
全米でゴールド・ディスク獲得
オーストラリア No.18、ニュージーランド No.16、西ドイツ No.54、スペイン No.8、ノルウェーNo.18、スウェーデン No.15、そして全英 No.55
我が日本でも前年からのフィーバーぶりということもあって・・・
オリコン・アルバム・チャート No.22となっています。
それまで3作続けて、全米No.1ということを思えば、
そう思いますが・・・レーベル移籍上の何かがあったのかもしれません。
(因みに全米最高位No.13ということで、このシリーズでようやく登場となったわけです。・・・)
しかし本作品、大ヒット曲 The Wandererを筆頭に完成度の高いナンバー
全10曲揃っているし、Giorgio Moroder、Pete Bellotte以外に・・・
Harold Faltermeyerの存在
彼のここでの活躍ぶりは、その後の ’80年代のミュージック・シーンを示唆する
そのようなものであったことは間違いないでしょう。
このアルバムのチャート・アクションが今一つだからと言って・・・
それ以前も Last Danceで大ブレイクとなるまでは、Love To Love You Babyと と、I Feel Loveくらいしか大ヒットはなかったわけだし、それに動じることはなく・・・
Donna Summerとしての存在も揺るぎないものとなっているので・・・
すぐに次のステップへ進み始めた・・・そのように言えるでしょう。
・・・
尚、Geffen レコードの第2弾は、John Lennonでした。・・・