1977年のアルバム(その36 Passage / Carpenters)
1977年のアルバム・シリーズ・・・
3ヶ月近く新規投稿しませんでしたが、まだやめていませんよ。
・・・で、2020年がスタートということで再開
3年連続で、新年1番最初の投稿は・・・
Carpentersです。
1977年という年ですが、1974年のWaterloo以降、コンスタントにヒットを続けてきたABBAが1976年から1977年にかけて世界中でNo.1となったDancing QueenによってすっかりNo.1ポップ・グループに君臨
4月の全米No.1ヒットにとってその地位も不動のものに
そして日本においても然り・・・
最も万人に親しまれている洋楽アーティストの座を・・・
まさにポストCarpentersとなっていました。
そんな中、リリースされたのが、All You Get From Love Is A Love Song
一聴してCarpenters以外の何物でもない
そんなナンバー、作者はRichard Carpenterではなく、Steve Eatonという人、「ふたりのラヴ・ソング」の邦題で、あっという間に日本でも多くオン・エアされるようになり・・・やはり、CarpentersはCarpenters
唯一無二の存在
誰もがそう認識したことと思います。
さてその、All You Get From Love Is A Love Songが収録された8枚目のアルバムがリリースされました。
タイトルは、Passageです。
レコーディングは、1976年の後半から、1977年の中頃まで・・・
HollywoodのA&M Studiosにて・・・
参加ミュージシャンは・・・
Karen Carpenterヴォーカル
Richard Carpenterヴォーカル、キーボード
お馴染みCarpenter兄妹に・・・
Tony Pelusoギター、Joe Osbornベース
Ron Tutt、Ed Greenドラムス
Peter Knightオーケストラ指揮
Gregg Smith合唱団指揮
曲ごとに多彩なミュージシャンが参加しています。
アレンジはRichard Carpenter
プロデュースもRichard Carpenter
アソシエイト・プロデューサーとして、Karen Carpenter
・・・ですが、初めて、Richard Carpenterの作品が収録されないアルバムとなりました。
A面、ラテン系のリズムが響く中、B'wana She No Homeでスタート
やや異色のナンバーのようにも思いますが、Karenの歌が入ってくると、Carpentersそのもの
Michael Franksのナンバー、邦題は「一人にさせて」
Karenの歌ということで、"He"が"She"に変わっています。・・・
尚、ここではRichardでなく、ピアノがPete Jolly、エレクトリック・ピアノがLarry Muhoberac
軽快に響き、Tommy Vig、Wally Snowのパーカッション
Jerry Steinholtzのコンガがラテン食を強めています。
そして、ソロはTom Scott
最初はアルト・フルート、そして最後の方ではテナー・サックスをしっかり聴かせてくれます。
2曲目、先述の先行シングル、All You Get From Love Is A Love Song
「ふたりのラヴ・ソング」
バック・コーラスとしては、Karen、Richard以外に、Julia Tillman、Carlena Williams、Maxine Willardが参加
明るいポップ色を強めています。
そしてテナー・サックスはTom Scott
特筆すべき点は、ギターでRay Parker Jr.が参加
Tony Pelusoと心地よい音を出しています。
シングルとして、全米No.35
それまでのCarpentersと比べるとやや寂しいランクインでした。・・・
3曲目、I Just Fall In Love Again
Steve Dorff、Larry Herbstritt、Harry Lloyd、Gloria Sklerovの共作
邦題は「想い出にさよなら」
Karenの魅力たっぷりのCarpentersらしいバラード・ナンバー
Peter Knight指揮によるオーケストラもドラマチックに・・・
Earl Dumlerによるオーボエ、Gale Levantによるハープも効果的です。
そして、4曲目・・・
On The Balcony Of The Casa Rosada / Don't Cry For Me Argentina
「月影のバルコニー~泣かないでアージェンティーナ」
言うまでもなく、ミュージカルEvitaからで、勿論、Andrew Lloyd Webber作曲、Tim Rice作詞
なんと前半は、そのままミュージカル仕立て
アナウンサーがDennis Heath、Che役がJonathan Marks、Peron役がWilliam Feuerstein
そして、Don't Cry For Me Argentinaから、Karenの歌が登場
ドラマチックに聴かせます。
ミニ・ミュージカルで、新しい試みと言えるでしょう。
尚、この曲は、映画化されて、Madonnaが、最も有名でしょうが、当時から話題でほぼ同時期に、Olivia Newton-Johnも取り上げています。
B面、ベース音が響いて、軽快なフォーク&カントリー調のナンバーに
Sweet, Sweet Smile
この何年か後に大ブレイクするJuice NewtonとOtha Youngの作品
Larry McNealyのバンジョー、Bobby Bruceのフィドル、Tom Hensleyのタック・ピアノ、そしてTony Pelusoのギターをバックに、明るく快活に歌うKaren
ヒット性抜群のナンバーと思いましたが・・・全米No.44でした。・・・
尚、邦題は「スウィート・スマイル」と短縮になっていました。・・・
2曲目、アコースティック・ギターが美しく響いて、Two Sides
Scott E. Davisの作品で、邦題は「あの日、あの時」
Karenの歌も勿論、よくできた曲ですが、それもその筈
このアコースティックギターは、Jay GraydonとLee Ritenour
被ってくるペダル・スティール・ギターが、Jay Dee Maness
なんとも贅沢なレコーディングです。
3曲目、軽快なピアノにホーンが加わって、陽気なKarenの歌
Man Smart, Woman Smarter、Norman Spanの作品で、邦題は「恋の強がり」、スワンプ調のこの曲は参加メンバーが他より豪華
お馴染みのメンバーに・・・
バリトン・サックスとして、David Luell、Kurt McGettrick
テナー・サックスとして、Jackie Kelso
コンガに、King Errisson、スティール・ドラムスに、Vince Charles
そして・・・Leon Russell
そう、Carpentersが取り上げたSuperstarやA Song For Youの作者である、あのLeon Russellがピアノとして遂に参加しているのです。
そしてこのような異色のナンバーも、やはりCarpentersなのですね。
4曲目・・・Carpentersのトレード・マークの一つでもある、ギター奏者のTony PelusoのD.J.パフォーマンスに続いて・・・
Calling Occupants Of Interplanetary Craft
そう、「もしかしたら、Beatles・・・」と言われていたカナダのKlaatuのナンバー、邦題は「星空に愛を」
そのように後期のBeatlesを思わせるバンドの楽曲だけに、Richardは実験的にシンセサイザーを多用
そしてEarl Dumlerのオーボエなど多くの楽器をフィーチャー
Peter Knightによるオーケストラ、Gregg Smithによる合唱団も効果的にスケールの大きな大作となって、このアルバムはフィナーレとなります。
尚、アルバムから2枚目のシングルとしてリリース
全米No.32となりました。・・・
それにしても、「覆面バンド、もしかしてBeatles・・・」と言われていたKlaatuの正体をCarpentersが明かしてしまったことになるのかもしれませんね。(笑)
Richardの作品はないとはいえ、A面、B面それぞれの最後に8分くらいの長い曲を入れ、Now&Then以来の新しい試みと言えるアルバムを作ったCarpenters
残念ながら、チャート上は、全米49位と、ゴールド・ディスクにも手が届きませんでした。
時代は、ABBAの時代になったのでしょうか。・・・
それでも日本では・・・当時、「普通の女の子に戻りたい・・・」と解散宣言をしたキャンディーズが、日本語で「ふたりのラヴ・ソング」をリリースしたり・・・
NHKの音楽番組「レッツ・ゴー・ヤング」では、日本語で「スウィート・スマイル」が歌われたり・・・
当時は清涼飲料水のCMにも出ていたりで、Carpentersは特別
ABBAとは別のもの
CarpentersはCarpentersでやはりいいなぁ・・・そう思えたのでした。・・・
そして、Karenがあのように苦しんでいたとは・・・
知る由もなかったのでした。・・・
(1976年のアルバム その56 A Kind Of Hushに関する日記です・・・)
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(1975年のアルバム その40 Horizonに関する日記です・・・)
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(1975年のアルバム その29 Live In Japanに関する日記です・・・)
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