1976年のアルバム(その41 The Hissing Of Summer Lawns)
自分が洋楽を断つ頃に、リリースされたアルバムの1つが・・・
Joni MitchellのThe Hissing Of Summer Lawns
1976年全米最高位No.4のアルバムです。
ライヴ・アルバムMiles Of Aislesが1つの集大成となったJoni Mitchell
当然、次のアルバムが大いに期待されていました。・・・
・・・で、邦題は「夏草の誘い」
ラジオ等で新譜紹介はされていたようですが、あまりしっかり聴いておらず・・・
そして洋楽解禁となった頃、ここからのシングル・カット曲In France They Kiss On Main Streetが話題となっていました。
「フランスの恋人たち」という、いかにもヒット曲っぽい邦題がついていましたが・・・(笑)
日本も勿論、全米でもあまりヒットしませんでした。・・・
さてこのアルバム
聴いたのは後になってから・・・
先ずアルバム・ジャケット
いつものように画家であるJoni Mitchell画伯によるもの
環境破壊を問題視・・・そんな意味ありげなこの絵をいつも以上に素晴らしく思いました。
そして内ジャケット
こちらがなんとJoni自身、背泳ぎをしている写真
撮影はNorman Seeff
そういえば、アルバムFor The Rosesの内ジャケットでは、バックとは言え、ヌードを披露していたJoni
ここでは水着姿とはいえ、自分をさらけ出しているということかもしれません。・・・
さてこのアルバム
歌は勿論、Joni Mitchellですが、アコースティック・ギター、ピアノ、シンセサイザー等もプレイしています。
他のメンバーは前作同様、L.A. Expressのメンバーが中心
ベースはMax Bennett、Wilton Felder
ドラムスはJohn Guerin
ギターはLarry Carlton、Robben Ford
エレクトリック・ピアノはVictor Feldman
フルートはBud Shank、トランペットはChuck Findlay
その他、曲ごとに豪華ミュージシャンが参加しています。・・・
共作も含めて10曲中9曲がJoni Mitchellの作品
エンジニアはHenry Lewy、アシスタント・エンジニアはEllis Sorkin
プロデュースはJoni Mitchell自身
L.A.のA&M Studiosでのレコーディングです。
A面、アコースティック・ギターのカッティングから、前述のIn France They Kiss On Main Streetでスタート
歌詞も面白く、And We Were Rolling Rolling Rock'n'Rolling~と・・・
バッキング・ヴォーカルには、David Crosby、Graham Nash、そしてJames Taylorが参加
さらに歌とかけ合うように出てくるギターは・・・Jeff Baxter
役者が揃ったナンバー
前述の通り、邦題は「フランスの恋人たち」です。・・・
2曲目・・・
なんだ・・・これは・・・
このアフリカン・ビートに多くの人はそう思ったでしょう。・・・
The Jungle Line
ここで採用しているのが、The Drummers Of Burundi
Joni自身がシンセサイザーをプレイしています。
この歌詞から環境破壊を問題にした歌
それにしても、Adam And The Antsがこのサウンドを取り入れるのは、この何年か後
Joniは先駆者と言えるでしょう。
3曲目、Edith And The Kingpin
恐らくこのアルバムでは最もポピュラーな曲
Joe Sampleのエレクトリック・ピアノとホーンに合わせてEdithの物語が綴られます。・・・
邦題は「イーディスと親玉」
1983年の初来日公演でも歌われました。
続いてはアコースティック・ギターのカッティングから、Don't Interrupt The Sorrow
こちらもJoniらしいナンバー
Victor Feldmanがコンガ、Robben Fordがドブロ
邦題は「悲しみはともだち」
今度はピアノのイントロから、Shades Of Scarlett Conquering
ストリングスのアレンジは、Dale Oehler
Victor Feldmanのヴァイブラホーンも叙情的・・・
邦題は「美しい誘惑者」です。・・・
B面に行くと、ベースを強調したイントロから、タイトル曲The Hissing Of Summer Lawns
「夏草の誘い」
ドラムスのJohn Guerinとの共作で、シンセサイザーも担当
途中のサックスも含めて当時のクロスオーバー・ミュージックを思わせます。
アコースティック・ギターはJames Taylorです。・・・
2曲目はThe Boho Dance
Joniのピアノの弾き語りから始まり・・・Chuck Findleyのフリューゲルホルンが効果的に出てきます。
3曲目、Harry's House / Centerpiece
これも思わせぶりな歌詞のナンバー
コーラスから一転して、ジャズのスタンダード・ナンバー的なナンバーに変わります。
邦題は「ハリーの家 / センターピース」
Joe Sampleのキーボードが効果的です。
一転してアコースティック・ギターのカッティングで、Sweet Bird
アルバム中、最もシンプルな構成のナンバーですが、ストーリー性のあるナンバーです。・・・
そして・・・いきなりJoniの歌から・・・
アカペラで、Shadows And Light
オルガンもJoni自身、シンセサイザーも・・・
ゴスペル調ですが、この後のJoniの音楽に大きな意味を持つナンバーとなっていくのです。・・・
Joni Mitchellといえば、フォーク・ロックのイメージが強かったのですが、元々ジャズに影響を受けていたということで、そちらの方向へも行くわけで・・・
そんな彼女のちょうど過渡期といえるアルバムがこれと言えるでしょう。
ただシングル・ヒットが出なかったということもあって、彼女のアルバムの中では、その後、取り上げられることも少ないように思いますが・・・
あのPrinceがFavourite Albumとして、挙げているのはあまりにも有名な話
それだけでもこのアルバムがいかに重要であるかが示されているでしょう。・・・
実はこのアルバムのリリース後の1976年3月
L.A.Expressとの初来日公演が予定されていたのですが・・・
Joniの急病ということで中止になってしまいました。・・・
彼女の初来日公演が実現したのは1983年3月
7年待たされて・・・日本武道館での来日公演
自分も大いに感動しました。
ただ1983年の来日公演のバックはシンプルな編成でしたが、1976年は実現していたら、L.A.Expressとの公演だったわけで、あのMiles Of Aislesを思わせるコンサートになったかも・・・
そう考えると残念ですが・・・仕方ないでしょう。・・・
現在、闘病中のJoni Mitchell
彼女へのお見舞いのエールも込めて、今回、この名盤について投稿させていただきました。・・・
(1975年のMiles Of Alslesに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12327853958.html
(1974年のCourt And Sparkに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12306528811.html