1976年のアルバム(その38 How Dare You! / 10cc)
1976年が明けて、自分が洋楽を断っている時期にリリースされ、話題となった1枚
それが、10ccのHow Dare You!
1975年にアルバムThe Original Soundtrack
そして、そこからシングル・カットされたI'm Not In Loveがスタンダード・ナンバーに定着するほどの世界的大ヒットに
日本では今ひとつだったとはいえ、その10ccの次のアルバム
前に登場したRoxy Musicとは別の意味でブリティッシュ・ロック界のユニークなロック・バンド
大いに期待されていました。・・・
(1975年のアルバム その35 The Original Soundtrackに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12335794650.html
アルバムの方は1976年の初頭に日本でも発売され、邦題がなんと
「びっくり電話」
今回もジャケットをHipgnosisが担当
そのアルバム・ジャケットと収録曲のタイトルから取られたと思いますが・・・
合ってもいるような・・・(苦笑)・・・
賛否両論の放題ですね。・・・
尚、自分が洋楽を断っている時期につき、聴いたのはそれ以降の話です。・・・
10cc
メンバー4人は全員がリード・ヴォーカルを担当
マルチ・プレイヤーぶりを発揮していますが・・・
主に、Eric Stewartはリード・ギターとピアノ
Lol Cremeは、シンセサイザー、キーボード類、ギター
Graham Gouldmanはベース
Kevin Godleyはドラムス、パーカッション
楽曲は全曲、メンバーの2人ないしは3人の共作
プロデュースは10ccの4人です。・・・
A面・・・色々な打楽器の音から、シンセサイザー音()が奏でる親しみやすいメロディ・ライン
How Dare You
タイトル曲、なんとインストゥルメンタル
後のGodley & Creme
Kevin GodleyとLol Creme
の共作
途中フィーチャーされるギター・ソロはEricとLol
が弾いています。・・・
続いてアコースティックなナンバーでLazy Ways
歌うはEric
そう、I'm Not In Loveを歌っていた彼の歌はメロディアスなナンバーにうってつけ
、Eric
とLol
の共作です。
行進曲のようなドラムスから、I Wanna Rule The World
KevinとLol
、Graham
の共作で、Lol
が中心に歌って、ミュージカル風なコーラス
邦題が「世界征服」
途中のシャウトは「征服者」の声
アルバムSheet Music収録のClockwork Creep
が導入され・・・
ベース音から、I'm Mandy Fly Me
どことなくBeatlesを思わせる、Eric
、Graham
、Lol
の共作で、歌うは勿論Eric
夢のあるストーリー性のあるナンバー
途中のギターも曲を盛り上げます。
続いてフェイドインしてくるのが、Iceberg
GrahamとKevin
の共作で、Graham
が軽快に歌い、Kevin
がバックアップ
邦題はそのまま「氷山」
そして、ここでLolがGizmoをプレイしているのです。
B面、効果音から一転、パワフルなロック・ナンバーへ
Art For Art's Sake
EricとGraham
の共作で、アルバム
からのシングル第1弾
邦題は「芸術こそ我が命」
Ericが中心に歌い、途中の部分、Lol
の歌も入り、硬質なギターでエンディング・・・
続いて、Rock'N'Roll Lullaby
EricとGraham
共作で、凝った曲が多い中で、保守的なロック・ナンバー
最初、Kevinが高音で歌い、途中からEric
こちらもBeatlesを思わせます。・・・
軽快なベース音から、Head Room
こちらはKevinとLol
の共作で、割と静かにLol
が歌い、途中、カントリー風の曲調も導入されます。・・・
そして、静かなイントロから、優しくKevinが歌うのは・・・
Don't Hang Up
これもKevinとLol
、即ちGodley & Creme
のナンバー
邦題はそのまま「電話を切らないで」
Mair Jonesという人が、ハープで参加
途中、オペラ風の構成も・・・
I'm Not In Loveに匹敵する名曲とも・・・
そしてここでもLolがGizmoをプレイ
最後は、電話が切られて・・・このアルバムは幕を閉じます。・・・
尚、CD化された際には、シングルArt For Art's SakeのB面だったEric
とGraham
共作のポップなロック・ナンバー、Get It While You Can
が追加収録、さらにはその後の盤には、Art For Art's Sake
とI'm Mandy Fly Me
のシングル・ヴァージョンが収録されていました。・・・
自分が洋楽を断っている時期のアルバムということで、個人的に思い入れということでは・・・ですが、10cc
の最高傑作といえるアルバムでしょう。
ここからのシングル2曲(Art For Art's Sake、I'm Mandy Fly Me
)はイギリスではヒットしましたが、アメリカではヒットせず、そんなこともあってか、アルバム
としては地味な印象すら感じることがあります。
・・・で、改めていうことでもないのですが、このアルバムを最後に・・・10cc
は真っ二つに
・・・
Eric Stewart、Graham Gouldman
の保守派の10cc
と、Kevin Godley
とLol Creme
のGizmo開発のGodley & Creme
に・・・
ただこのアルバムで明らかにその二組が際立ってきていました。
シングル・カットの2曲は前者、そしてタイトル曲
や、最後の名曲Don't Hang Up
は後者ですね。・・・
・・・ということで、結局、自分の知らない間に、4人編成のオリジナル10ccはなくなってしまったようなもので、それは残念・・・
奇しくも、このHow Dare You!とちょうど同じ頃にQueen
のBohemian Rhapsody
が一世を風靡したと思うと・・・
ここでそれに匹敵するDon't Hang Upをリリースしていた10ccも
・・・
そんな風にも思ってしまいます。・・・
ただその後の10cc、Godley & Creme
両者ともに音楽界における影響力が多大であったことは言うまでもないでしょう。
尚、1975~76年の作品とは思えないほど斬新なサウンドの名盤だけに、ライヴ
での再現も難しいとは思いますが・・・
Art For Art's Sake、I'm Mandy Fly Me
この2曲だけは、コンサートでも定番ソングとして、その後の10ccにもずっと引き継がれています。・・・
(2015年1月、Graham Gouldman来日公演の日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-11981869941.html