Anime 248 - 治癒魔法の間違った使い方 | 午前零時零分零秒に発信するアンチ文学

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時事問題から思想哲学に至るまで、世間という名の幻想に隠れた真実に迫る事を目的とする!

■概要

 

平凡な高校生・兎里 健(ウサト)は、帰宅の途中、生徒会長の犬上鈴音(スズネ)、クラスメイトの龍泉一樹(カズキ)とともに突如現れた魔法陣に飲み込まれてしまう――。気づくと、そこは異世界。3人は王国に攻め込んでくる魔王軍に対抗できる『勇者』として召喚された……はずが、勇者の適性を持っていたのはスズネとカズキのみ。ウサトは巻き込まれただけだった!しかし、ウサトに“治癒魔法”の適性があることが判ると事態は一変。救命団団長を名乗るローズが現れ、ウサトを力ずくで連れ去ってしまう。そこでウサトを待っていたのは、想像を超える地獄の訓練の日々だった――!©くろかた/MFブックス/「治癒魔法の間違った使い方」製作委員会

 

 

まるで異世界ファンタジーとスポコンを足して2で割ったような作品。

 

設定は至ってシンプル。転生先の異世界では、王国が魔王軍から侵略されようとしている。個々の兵力、数を持った軍事力では到底敵わない相手が攻めてくる。

 

そこで、救世主を呼び出そうとして召喚されたのが3人の高校生だった訳。

うち2人は勇者として崇められたんだけど、主人公のウサトは付録だった。

 

思えば別の作品「盾の勇者の成り上がり」も似たようなプロローグだった。アレの場合は、付録で召喚された尚文(盾の勇者)が邪険に扱われて王国を追い出され、そこから反逆に転じるって話だったんだけど、本作は違うんだよなあ。

 

こっちの王国は、国王様を含めて、みんな人間が出来ている人ばかり。勇者として召喚されなかったウサトに対しても歓迎してくれるんだよなあ。

 

ところが…

 

たまたま来ていた「救命団」の女団長様が、一目見るなりウサトを自分とこのアジトまで攫っていくのである。以降は、ウサトの目線でストーリーが展開する。期待された勇者以上に覚醒してしまう訳なんだけど、それは彼が選ばれた者ではなく「負けたくない」という持って生まれた性格から来るものだったりする。

 

だから第2話以降、勇者の2人は影が薄くなる。

 

因みに「治癒魔法の間違った使い方」というタイトルについては、第11話になれば、その理由が解るようになっている。

 

 

■登場人物

 

 

 

■感想

 

う~ん、どうしても3人の召喚者に違和感を覚えるんだよねえ。

 

だってそうだろ。普通さぁ、何の予告もなく異世界に飛ばされたら、それだけで頭パニックになるよ。しかも、スズネとカズキって勇者召喚なんだろ? タダですら訳が解らなくなっているのに、魔王討伐の重責まで負わされるんだからねえ。

 

オイラだったらノイローゼになるね。「魔王とか、どうでもいいから元の世界へ還してくれ」ってな。ところが、本作の場合、ウサトも含めれば3人共そうならないんだよ。転生した途端、自らの使命に目覚めて王国の訓練に参加するって訳。

 

物凄い違和感なんだよねえ。

自分達の親兄弟とか家族とか気にならないのか?

世界が丸々変わってしまったんだぞ!

とても常人とは思えない精神力だ。

 

ああなるほど。そういう常人離れした精神力だったからこそ異世界召喚されたってオチなのか? つまりだ。真の意味で3人は「選ばれし者」だった訳だ。新しい生活環境でいとも簡単に順応しているんだよねえ。

 

それにしても、話がトントン拍子に進み過ぎる。ウサトもスズネもカズキも皆イイ奴でさあ。ローズ団長も実は責任感の強い人だったりする。ストーリーも魔王軍から侵略されようとしているのに世界観が軽いんだよ。

 

コレって、もしかしたら意図的に演出してあるのかも知れないね。

 

わざと明るい部分を見せておいて、後から超重い展開に落としてしまうってパターンか。また、転生者が3人共、新しい生活に慣れたというのも、もしかしたら魔王をやっつけられるくらいになって元の世界に戻れるという確信があるのではないのか?

 

でないと、あれだけ異世界に溶け込める訳がない。

 

また、バトルシーンもドラクエやFFのようなコンピュータRPGみたいに、3~4人のパーティが1体の魔物をやっつけるとかいうのとは訳が違う。

 

本物の戦争みたいに部隊編成され、その中で勇者の役割や治癒魔法使いの活躍がちゃんと描かれているのは勿論の事、同じ治癒魔法使いでも性格や体力によって適材適所を配置するという戦略は観ていて腑に落ちる。

 

思っていた以上に秀作だと思われる。