■あらすじ
『週刊角川』記者・小笠原は途方に暮れていた。わずか2日で、コンビニの弁当は数千円から数万円に、JRのひと区間は九千円以上になり、いくら金があっても足りないのだ。従来のあらゆる鑑定をクリアした偽礼が現れ、ハイパーインフレに陥ってしまった日本。だが、まだ万能鑑定士・凛田莉子の鑑定がある!パーフェクトな偽礼の謎を暴き、未曾有の危機から国家を救うことができるのか!?書き下ろし「Qシリーズ」第2弾。
■解説
莉子と悠斗は、抽選によって建物の権利をゲットした男達に疑問を抱きます。あの抽選はイカサマであって、初めから仕組まれたことではないのか。建物は多かれ少なかれ彼らの手に渡る、というシナリオが出来上がっていたのではないのかと。男達はそこに事務所をかまえて料理教室を開きます。しかも、その料理教室の内容も胡散臭い。一体、何をやっているのか?
その謎は、莉子にとってさほど難しいものじゃなく、難なく見破ってしまいます。後は、警察に通報するのみだ。犯罪者たちは逮捕されるのですが・・・
「何てことしてくれたんだ。これで我々の計画が台無しじゃないか!!」
実は、国家では未曾有の財政破綻が訪れようとしていました。あちらこちらで偽札が出回るようになり、貨幣の価値は一気に下がります。弁当やお菓子などが数万円になり、JRのひと区間でさえも九千円以上になる有様。事態は深刻です。だから、政府では極秘に調査が進められていたのでした。その計画を潰してしまった莉子。彼女は責任と名誉挽回とばかりに偽札鑑定に向かいます。
しかし・・・
全くわからない。目の前にある札は、どうみても本物としか思えない。
「何だ、結局は凜田莉子さんも、万能鑑定士じゃなかった。そういうことですね」
世間から冷ややかな視線を浴びつつ、自分の無力さに落胆する莉子。
日本円の価値は殆どなくなり生活が困窮する中、住人はドルに手を出すようになります。ドルならば、何とかマシな生活が送れる。
悠斗とは別行動をとった莉子は紆余曲折の末、故郷の沖縄に偽札の鍵を握っている人物がいるのではないかと推理します。高額な料金を払いながらも何とか飛行機に乗れた莉子。
沖縄の波照間島では、村のみんなが家族のようになり、立派に独り立ちした莉子を出迎えます。
後は、スピーディーに話が展開します。
ハイパーインフレによってすっかり忘れ去られていた力士シールの謎。それは、莉子もよく知っている人物の手によって立てられた計画の伏線にすぎなかった。
万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ・Ⅱ
物語「力士シール・ハイパーインフレ偏」は、ここで完結します。
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