地図を見る限りでは海岸に近いし、那智勝浦を北上したらすぐに行けそうなんだが、実際に車を走らせてみれば思ったよりも距離感がある。
また、同じ紀伊半島の南東ということで、三重県にも那智勝浦のような温泉街があるのかなと思っていたんだが、こっちは随分と穏やかである。紀伊長島区は漁業の盛んな地域で、温泉らしき場所といえば「きいながしま古里温泉」がある。
黄土色をした綺麗な和風建築。リンク先にも書かれているが、近くに海水浴場があるのでレジャーのついでに利用しやすい。館内は清涼感があり、浴場も広くはないが小奇麗。温泉がヌルヌル湯なので、床が滑り止めの加工をされている。地味にいいとこですね。訪問時は、敷地の外で野菜が売られていた。
ここは、真言密教の寺「有久寺」に湧く霊験あらたかな古湯と呼ばれている温泉だが、宿はたった一軒しかない。つまり、そこへ向かう訳だ。
海岸沿いから一変、山道へ入っていく。距離自体は大したことないが、人気(ひとけ)のある場所から隔絶されているので長く感じる。で、山が迫ってくるのだ。
写真を取り忘れたので、ご覧になりたい人は「ここ」をクリック頂きたい。まあ、こんな感じの場所である。
まるで修験道にでも使われそうな所だが、ジワジワと道が狭くなっていく。ナビも途中まで案内してくれたんだが「ここから先は気をつけて。どうぞご無事で」とばかりに黙りやがった。何てこったい。唯一ツイていた事といえば、天候が晴れだったということだけだ。
鉄板の敷いてある橋を渡って暫く進むと、鄙びた宿屋がある。
玄関の真中には大きな木の板に「有久寺温泉」とある。
人の気配が殆どないので、敷居の高さを感じさせる。だが、ここで引き返してしまえば今までの苦労が無駄になる。だから、気合いを入れなおして車を降りようとしたんだが、タイミングよく人が出てきた。女将さんのようだったが割と愛想良かったので、入浴希望の旨伝えると親切に案内してくれた。
どうやら宿とは別個にあるようだ。
ベタ打ちのコンクリートで作られた密室の中。浴場は田舎の一軒家にでもありそうな風呂場という感じだった。床も浴槽も石造り。中は薄暗くて換気が良ろしくないので天上から雫がポツリポツリと落ちてくる。が、反ってこれが良い。小さな洞窟の温泉という感じがするし、上のほうにある小窓からは太陽の光が浴槽に射し込んでくるのだ。
![有久寺温泉 有久寺荘](https://stat.ameba.jp/user_images/20140418/20/takasroom2013/b1/ff/j/t02200164_0221016512912770125.jpg?caw=800)
(有久寺温泉 有久寺荘)
このような感じになる。
雰囲気ありますね。無色透明の冷鉱泉を加温、浴槽の左側から導入されている。やや硫黄臭、浴槽の中には茶色の湯の花あり。
石鹸使用禁止なので浸かるだけになるが、ここは値打ちある。
噂によれば、こちらの料理は海の幸をたっぷり食べさせてくれるようだし、その割に宿泊料も良心的という。今度は泊まりで行きたいね。