おもしろい。
こういうの好き。
想像力が膨らまみまくりのショートショート13編。
本谷有希子さんの作品は、自己のトラウマに依存しているひとを描いた
を3年前に読んだきりだったがひさしぶりに読んでみてこれもよかった。
毒にまみれた表現がいい。
そしてムヤミに尖っているのもいい。
毒や先鋭とはいいながら現代的で都会的なセンスが優れているので嫌な気分になることはない。
こういう発想をするひと、こういうモノの見方をするひとがぼくのお気に入りなのである。
才気があふれていて未来へひろがる可能性を感じるのである。
タイトルからしていいのだ。
●アウトサイド
●私は名前で呼んでる
●パプリカ次郎
●人間袋とじ
●哀しみのウェイトトレーニー
●マゴッチギャオの夜、いつも通り
●亡霊病
●タイフーン
●Q&A
●彼女たち
●How to burden the girl
●ダウンズ & アップス
●いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか
どの作品もおもしろいんだけど、特に序盤のアウトサイドと私は名前で呼んでるの静かな狂気がいい、と書き始めてやっぱりどれが特にいいということではなく、全部おもしろいな、って気付いたので個々の紹介はやめておく。
それでもあえて言うならぼくは、マゴッチギャオの夜、いつも通り、がモスト フェイバリットかな。
この短篇集はポップ・ミュージックのアルバムに似ている。
好きなアーティストのお気に入りのアルバム。
全曲通して聴くもよしその日の気分である1曲だけ聴くもよし。
それにしてもこういうひねくれ系の森羅万象を斜めに見てる系の毒と愛を併せ持っている系の世間の常識を小ばかにしている系のひとの世界が好きなんだよね。
しかも前衛的で都会的な。
これらの作品はショートショートだけに、これからどのような物語にも成長できる魅力を秘めているのもぼくには好感触。
ああ、なんてたのしい想像による創作。
高等遊戯。
――嵐のピクニック――
本谷有希子