図書館で物色中、
導入部で
なんだ、こりゃ
変態ものか?
と思いつつ
しばらく読み進めて
(って変態好き?)
なるほど、
そういうことか
となって
興味を持ったので
借りてきました。
戯曲です。
過去のトラウマを拠り所に
生きている
自己愛が強くて
倫理観が欠如している
女性が
そのトラウマを失って
人生に遭難し始めるまでの
様を描いています。
逆説的です。
中学校の職員室を舞台に
不条理劇風な
無理な展開を進めていきますが
舞台では
真に迫っていきそうです。
トラウマとはいわなくても
誰しも
意識したくなくて
無意識領域に閉じこめている
問題は持っているでしょう。
ときに
それをあえて意識領域に引き上げて
こんな傷(問題)を負っている自分
なんだから
少々のわがままは許される
とトラウマを免罪符に仕立てて
生きている人も
いそうです。
いや
ぼくにも
そういうときはありそうです。
こんなに苦境に立たされているんだから
周囲から配慮されて当然
なんて。
そういうのって
あんまり
見栄えの
良いものじゃありませんよね。
そんな苦しいところを
ついてくる
テーマ設定が
良かったです。
ともかく
戯曲は戯曲としての力を持っていますが
やはり
演じられてこそ
よりその力に説得力が増すのでしょう。
芝居において
戯曲は脳
俳優は肉体
と喩えることは
できそうでしょうか?
-遭難、-
本谷有希子