作家・土居豊の批評 その他の文章 -2ページ目

公開開始! 文芸批評 デュマ「ダルタニャン物語」

公開開始!

文芸批評 デュマ「ダルタニャン物語」 第4回

「三銃士続々編『十年後 ブラジュロンヌ子爵』まさかの!ダルタニャン50代! 初老でも大活躍」

https://note.com/doiyutaka/n/ndbce6c592ce3

 

 

鈴木力衛訳『将軍と二つの影』〜ダルタニャンとアトスの大活躍

本作『十年後 ブラジュロンヌ子爵』を、講談社文庫の鈴木力衛訳では、全6巻に分割しているが、まず『将軍と二つの影』の巻をみていこう。

流浪の英国王チャールズ2世を、ダルタニャンとアトスがそれぞれ別個に、お互いそうと知らないまま救うべく行動を開始したところから、物語の展開に加速度がついていく。

 

 

本文より

《「朕は国家なり」で知られるフランス王国のルイ14世、この肖像でも知られているが、この絵は晩年のものだ。本作でのルイ14世は、若い国王として宰相マザラン枢機卿の支配を脱し、国王親政を始めようという時期の直前である。前作『二十年後』での幼いルイは、母親の大后アンヌ・ドートリッシュと宰相マザランの操り人形だった。その後十年、マザランは年老いて病魔に苦しんでおり、青年国王ルイは自身の権力を模索している。

 そんな折り、英国のチャールズ2世が内乱からの亡命状態で密かにフランスを訪れ、若きルイ14世に助力を求めにやってくる。ちょうど国王警護に当たっていた銃士隊副隊長ダルタニャン(前作で隊長になれたはずが、マザランに反故にされていた)は、若き英国王をみて驚き、かつてその父親チャールズ1世のために奮戦した過去を思い出す。この辺のエピソードは、前作『二十年後』で紹介されている。

 ルイ14世は隣国のおちぶれた王に同情するが、頼まれた援助は宰相マザランがあっさり拒否する。まだルイにはマザランに逆らうことはできなかった。

 最後の希望を断たれたチャールズ2世をみて、ダルタニャンは一計を思いつく。不甲斐ない国王とずるい宰相に見切りをつけ、一世一代の賭けに打って出るべく、銃士隊の職を辞するのだった。ここで、前作のプランシェとの友情が伏線となって、物語に絡んでくる。

 一方、そうとは知らないチャールズ2世は、帰路、偶然にアトス=ラ・フェール伯爵と出会う。アトスは前作で、チャールズの父・1世の処刑の直前、息子のために残した資金を遺言として教えられていた。今こそ、その遺言に従う時と思って、アトスはチャールズ2世に父親の遺産のことを教え、その資金を取りに行って王座に復帰するための戦いを始めることを提案する。

 こうして、前作からの約束を守ろうとするアトスと、それと知らずに同じ目的のために動き出すダルタニャンの、両者の同時進行で物語は進み始まるのだ。》

 

 

 

※前回まで

土居豊の文芸批評 デュマ「ダルタニャン物語」

第1回「デュマ(父)は、フランスの司馬遼太郎か?〜 三銃士VS竜馬がゆく」

https://note.com/doiyutaka/n/ndc19e8d728cb

 

第2回「誰もが知る『三銃士』はなぜ4人? 実は『ダルタニャンと三銃士』ということ」

https://note.com/doiyutaka/n/n37020eadaffd

 

第3回「三銃士続編『二十年後』 まさかの!ダルタニャン40代! 男盛りの大活躍」

https://note.com/doiyutaka/n/necbe7c12620a

 

 

浦澄彬&土居豊の著作 ブックウォーカー1回1,500円(税込)以上でコイン50%還元!

2025年7月18日(金)00:00~7月23日(水)09:59まで

1回のお支払い金額1,500円(税込)以上でコイン50%還元!

 

 

 

(1)浦澄彬の小説「ラスト・ロマンティスト」シリーズ、続編刊行

『夢現変奏曲 〜 ラスト・ロマンティスト2』(浦澄彬 作)

bookwalker版(R18)

https://r18.bookwalker.jp/de297c5615-a110-489e-8f1e-1918ea6d5112/

 

※電子書籍の各書店では性的描写のレーティングに厳しいためR18になっています(そんなに過激ではありません)

《あとがきより

本作をリメイクするにあたっては、前作『ラスト・ロマンティスト』の登場人物の後日譚・前日譚として構成し直しました。したがって、時系列は前作の単純な続編とはなっていません。むしろ、前作で描いた時空の揺らぎの内部に、さらに複雑に分裂し並列している物語、という位置付けです。

だから、今回の連載でも、順番通りに読まなければならないということはありません。エピソード一つ一つを、独立した青春ストーリーとして読んでいただければ幸いです。

このシリーズの時系列は昭和の終わりから平成にかけて、20世紀末の日本を主な舞台としています。あの頃の末世的な不思議な空気感を再現しようと書いているのですが、今の日本に生きる若い人にも、現在のような閉塞感の強い世情を突き抜けて別の自由な生き方が可能なのだ、と実感してくれたら作者冥利に尽きます。》

 

 

 

 

(2)マルチバース小説「ラストロマンティスト」連作のシリーズ、パート1

『ラスト・ロマンティスト』(浦澄彬 作)

https://bookwalker.jp/de6b98d595-5a39-4ba6-b106-871ca3970b54/

 

《筆者が1999年に刊行した小説『パブロのいる店で』を全面改稿し、当時から続編として用意していた小説を合体させ、完全新作の小説として上梓しました。

20世紀末にはまだ早すぎたのかもしれないこの小説、今こそ広く読まれてほしいです。ぜひ、お求めくださいますようお願い申し上げます》

 

 

 

 

(3)文芸批評『村上春樹の猿〜獣と嫉妬と謎の死の系譜』(浦澄彬 著)

https://bookwalker.jp/de452ab942-4737-42f1-b21d-d89836c8ef59/

 

《村上春樹の初期3部作は叙述トリックだった?デビュー当時から村上春樹の小説の最大の特徴とされ、読者や批評家たちを夢中にさせたクールな語りこそ、語り手の本性が「獣=猿」であることを隠す叙述トリックとなっていた、という仮説。

近作の短編集『一人称単数』所収の「品川猿の告白」の猿から、前作「品川猿」へとつながる女性の謎の死の系譜は、村上春樹の描く暴力性・獣性を描き出す。》

 

 

 

(4)音楽小説『トリオ・ソナータ』(土居豊 作)

https://bookwalker.jp/decab8c4db-5ab8-4aa9-8364-87e2077ebc7d/

 

「幻の昭和64年、20世紀末のウィーンに学ぶ若き音楽家たちの青春! 音楽の力は肉体に働きかけてエロスの炎に点火する… 若きロマンチストが奏でる愛の第一楽章。」

《あとがきより

私の小説の商業デビュー作である音楽小説『トリオ・ソナタ』は、2005年に「図書新聞」出版から上梓した。この作品は、当時私淑していた作家の故・小川国夫さんに気に入っていただけた。出版記念パーティにご招待したところ、静岡県藤枝からはるばる大阪まで来てくださり、スピーチをいただいた。》

 

 

※オリジナル版刊行時の書評

『トリオ・ソナタ』土居豊(図書新聞)

《日刊ゲンダイ書評

1989年、指揮者を目指しウィーンに留学中のタカシに、大阪の真理から久しぶりに手紙が届く。真理の手紙は、ホームシックで荒れた生活を送るタカシの心を慰める。ある日、レッスンで学生オーケストラを指揮したタカシは、奏者たちと対立する。かたくなに独自の曲解釈を貫こうとするタカシに、コンサートマスターのアイが関西弁で話しかける。日本人の母を持つアイとデートを重ねるタカシに、親友の高山の消息を知らせる真理からの手紙が届く……。東京、大阪、ウィーンを舞台に進む長編小説。》

 

 

 

(5)音楽小説『サマータイム、ウィンターソング&モア』1巻(土居豊  作)

https://bookwalker.jp/deca470945-e0e2-4b65-a228-ad6415dfdd1e/

 

《旧作『ウィ・ガット・サマータイム!』と『メロフォンとフレンチ』のリメイク。時系列を整理して吹部キャラ達の物語を書き直した。

パート1では吹奏楽部の女子高生指揮者・立花かおるや、ホルンの谷山みすず達の高2の春から夏にかけて、エピソードを描く。

パート2では、高校二年の音楽活動、仲間と過ごす青春が過ぎていき、秋にはいよいよ演奏会へのカウントダウンが始まる。指揮者女子のかおるは卒業生の斎藤に言い寄られて困惑。幼なじみのみきおと、かおるが想いをよせるあきらは、斎藤と対決する。ホルン奏者のみすずはメロフォンでジャズを吹くことを思いつき、仲良しの知恵子と一緒にジャズアンサンブルに取り組む。高校二年の青春は、春先の演奏会でクライマックスへ。》

 

 

2巻はこちら

『サマータイム、ウィンターソング&モア パート2』(土居豊 作)

https://bookwalker.jp/de34ab8a27-9811-4026-8ea0-0610494e070e/

 

 

 

京アニ事件を忘れない

あの日を忘れない。

合掌

 

拙稿「京アニ事件と、藤本タツキ『ルックバック』を考える」がオンラインジャーナルに掲載

映像メディア時評 特集「京アニ事件と、藤本タツキ『ルックバック』を考える」(土居 豊 著)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/epstemindsci/7/1/7_55/_pdf/-char/ja

 

 

※『なぜあのキャラは死ななければならなかったのか? 名作の「死」の描写で辿るマンガ・アニメ史』(浦澄彬)

https://amzn.asia/d/g5zIy4A

 

《本書の中で、著者がもっとも力を入れたのは2章です。そもそも、この2章はオンラインジャーナルに寄稿した論文が初出でした。》

 

※電子ジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』3号

映像メディア時評特集「京アニ作品の死生観」試論(土居豊)

https://drive.google.com/file/d/1bz3WOIykQOJUwpssYShbbdp60Ug-jllz/view

公開開始! 土居豊の文学講座 特別編 司馬遼太郎『竜馬がゆく』VSデュマ『三銃士』その1

公開開始!

土居豊の文学講座 特別編

司馬遼太郎『竜馬がゆく』VSデュマ『三銃士』その1

 

https://youtu.be/nDeb_axDves

 

大阪が産んだ最大の作家ともいえる司馬遼太郎。しかし、20世紀の日本人作家中、巨大な存在なのに、日本文学史ではなぜか避けて通られている。歴史作家は重く扱われないという点で、司馬は世界文学史におけるデュマと似ている。

 

『竜馬がゆく』では、司馬は歴史上で元々地味だった人物を取り上げ、巧みにアレンジして人間の一典型を生み出した。これはデュマの代表作『三銃士』のダルタニャンと同じ方法だといえる。

 

 

【司馬遼太郎とアレキサンドル・デュマの類似】

(1)国民作家的な評価は高いが、文学史上の評価は得られず

司馬:若い頃は「忍豪」、晩年は作家というより文化人扱い

デュマ:息子のデュマ(フィス)の「椿姫」は世界文学史に長く残る傑作扱い(オペラ化が大きい?)

 

(2)歴史を題材とした人気小説を多数刊行、主要作品が劇場作品、映画など他ジャンルにアレンジされる

司馬:「竜馬」映画・ドラマ多数、その他の小説も映像化多数

デュマ:「三銃士」映画・ドラマ多数、「モンテ・クリスト伯」も同じ

 

(3)歴史小説が歴史学者から批判される一方、大衆への歴史知識の啓蒙者である

・司馬史観と呼ばれ、学問側から軽侮される

・デュマは生前より歴史家から剽窃した疑い

 

 

※第二回へ続く

 

 

 

刊行開始! 『夢現変奏曲 〜 ラスト・ロマンティスト2』(浦澄彬 作)

浦澄彬の小説「ラスト・ロマンティスト」シリーズ、続編刊行開始!

『夢現変奏曲 〜 ラスト・ロマンティスト2』(浦澄彬 作)

 

楽天kobo版

https://books.rakuten.co.jp/rk/05eeeaa42f9c3d22a8fcc10b02da9398/?l-id=search-c-item-text-01

 

(このバージョンはR18ではないため、中高生の皆さんにもお読みいただけます。)

 

Kindle版(R18)

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bookwalker版(R18)

https://r18.bookwalker.jp/de297c5615-a110-489e-8f1e-1918ea6d5112/

 

 

 

※電子書籍の各書店では性的描写のレーティングに厳しいためR18になっています

(そんなに過激ではありません)

 

 

 

 

マルチバース小説「ラストロマンティスト」連作のシリーズ、パート1『ラスト・ロマンティスト』

 

bookwalker版

https://bookwalker.jp/de6b98d595-5a39-4ba6-b106-871ca3970b54/

 

楽天kobo版

https://books.rakuten.co.jp/rk/d97e6301397e3e1989ee9a95aa641fc8/?l-id=search-c-item-text-02

 

Kindle版

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パート2『夢現変奏曲』は前作に続いて、マルチバース小説の試みとして同じ登場人物(であるはずの人物)たちの青春群像を描く。

 

本作の元になったのは、大昔、筆者が大学卒業制作として書いた中編小説です。長らく封印していた作品ですが、最近取り組んでいるマルチバース小説シリーズの1作としてリメイクすることにしました。

筆者の大学時代の文学遍歴については以下のブログ記事にまとめていますが、

※『平成文学・私史』(浦澄彬 著)

https://doiyutaka.hatenadiary.org/entry/2024/10/30/143121

 

この当時の筆者は、小説を書くにあたって20世紀文学特有の「意識の流れ」技法を取り入れ、19世紀小説的な時系列の語りを打破して、新しい小説を生み出そうと考えていました。直接的には、その頃話題だった筒井康隆の小説『夢の木坂分岐点』を参考として、時空の揺らぎを表現しようと試みました。

本作をリメイクするにあたっては、前作の登場人物の後日譚・前日譚として構成し直しました。したがって、時系列は前作の単純な続編とはなっていません。むしろ、前作で描いた時空の揺らぎの内部に、さらに複雑に分裂し並列している物語、という位置付けです。

だから、今回の連載でも、順番通りに読まなければならないということはありません。エピソード一つ一つを、独立した青春ストーリーとして読んでいただければ幸いです。

 

 

 

あとがきより

《本作をリメイクするにあたっては、前作『ラスト・ロマンティスト』の登場人物の後日譚・前日譚として構成し直しました。したがって、時系列は前作の単純な続編とはなっていません。むしろ、前作で描いた時空の揺らぎの内部に、さらに複雑に分裂し並列している物語、という位置付けです。

だから、今回の連載でも、順番通りに読まなければならないということはありません。エピソード一つ一つを、独立した青春ストーリーとして読んでいただければ幸いです。

このマルチバース小説のシリーズは、本作の後も次々発表していく予定です。前作から続けて読んでくださった読者にはお分かりと思いますが、このシリーズの時系列は昭和の終わりから平成にかけて、20世紀末の日本を主な舞台としています。あの頃の末世的な不思議な空気感を再現しようと書いているのですが、今の日本に生きる若い人にも、現在のような閉塞感の強い世情を突き抜けて別の自由な生き方が可能なのだ、と実感してくれたら作者冥利に尽きます。》

 

著者紹介

 

浦澄彬

1998年、小説『パブロのいる店で』(澪標)刊行。

2000年、村上春樹論の連載で関西文学選奨奨励賞受賞。

同年、評論『村上春樹を歩く』(彩流社)刊行。

2023年、『村上春樹の猿〜獣と嫉妬と謎の死の系譜』(電子版)刊行。

2024年、『なぜあのキャラは死ななければならなかったのか?  名作の「死」の描写で辿るマンガ・アニメ史』(フォレスト出版2524新書)刊行。

同年、小説『ラスト・ロマンティスト』(電子版)刊行。

2025年、小説『夢現変奏曲 〜 ラスト・ロマンティスト2』(電子版)刊行。

 

Amazon著者ページ

https://www.amazon.com/author/beunique

 

 

author:Akira Urazumi(Hin Urazumi)

 

1998

'At the store where Pablo is'

MIOTSUKUSHI

 

2000

Kansai Literature Award 

 

2000

'Walking through Haruki Murakami'

SAIRYUSYA

 

2023

'MURAKAMIHARUKINOSARU KEMONOTOSHITTOTONAZONOSHINOKEIFU'

by URAZUMIHIN (Author)  

Format: Kindle Edition

 

2024

『なぜあのキャラは死ななければならなかったのか? 名作の「死」の描写で辿るマンガ・アニメ史』(フォレスト出版2524新書)

 

'last romanticist'

Format: Kindle Edition

 

2025

『夢現変奏曲 〜 last romanticist 2』

Format: Kindle Edition