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藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

私のテーマは6つあります。
(1)ビジネス書の紹介(2)医療問題 (3)自分ブランド力
(4)名言 (5)ランキング (6)ICT(情報通信技術)
このブログでは、主に(1)~(4)を扱っています。
(5)と(6)はそれぞれ別のタイトルで運営しています。

組織、意識、価値観
3つのバリアフリーで
協力し合う風土を築く


佐藤 廣士(さとう・ひろし)氏
[神戸製鋼所会長]




 社長就任以来、社内で浸透させてきたことの一つに、

 「バリアフリー」があります。組織や意識、価値観の「壁」

 を取り払い、皆が協力し合って新しい価値や相乗効果を

 生み出そうという狙いからです。


 神戸製鋼所は鉄、アルミ、銅、チタンといった素材から、

 産業機械、建設機械、電力卸供給事業まで、事業領域

 が多岐にわたります。それぞれの部門が自分のこと

 ばかりを考えていては、小さな事業体の単なる寄せ集め

 で終わってしまう。組織に横串を通し、連携することが

 大事です。 


 入社5年目くらいのころ、私は研究所でチタンの研究に

 携わり、これを素材に使った海水淡水化装置の開発に

 取り組んでいました。


 水資源が乏しい中東の国などに売り込もうと、

 私も製造部門や技術サービス、営業の担当者などと

 一緒になって市場開拓に走り回りました。


 この経験から、研究開発、製造、営業といった部門の

 垣根を低くして、お互いの知識や情報を共有すること

 の重要性を学びました。


 自分たちがこれを実用化したいという気持ちが一緒で

 あれば、部門を超えて忙しい人のところに別の人が入り

 込んで助けてあげるのは当然のこと。逆に自分の仕事

 だからと一人で抱え込んでしまうのもいけません。

 誰かに手伝ってもらうことで、短時間でより質の高い成果

 が出せるかもしれないのですから。


 もう一つ、若いころから心がけてきたのが、つらい時ほど

 ニコッとしようということです。


 トップはふんぞり返らない程度に頭を上げて前を向き、

 先を見通すことが大事です。



                   (2015.05.11 号から)   

 




神戸製鋼所会長 佐藤 廣士 氏

神戸製鋼所会長 佐藤 廣士 氏

「日経ビジネス」 2015.05.11 号 P.001
「日経ビジネスDigital」 2015.05.11 号




キーワードは、 バリアフリー です。



佐藤さんが言われた「バリアフリー」というのは、
組織、意識、価値観という「壁」を取り除くことです。


つまり、ヒトに関することです。
経営資源は、よく言われるように「ヒト、モノ、カネ、
情報、時間」などです。


その中で、最も重要な経営資源はヒトです。
ヒトが集まったものが「組織」です。
そして、ヒトはそれぞれ異なる「意識」を持ち、
異なる「価値観」で生きています。


そうした異質なヒトをどう取りまとめていくかは、
上に立つ者の器量です。


そのための一つの方法は、日産自動車の社長、
カルロス・ゴーンさんが提唱し、知られるように
なった「クロスファンクショナルチーム(横断的組織)」
です。


横断的組織によって、セクショナリズムを解消し、
協力し合い、問題解決をしていくことが望ましい
わけですね。


「情報を共有」し、「全体最適」を目指して、
「優先順位」を決めるプロセスが大事だと思います。


目標、目的を明確化し、プロセスを大切にし、
着実に実行していくことが重要になります。
そうすれば、やがて「結果」は後からはついてくる、
と信じています。


もちろん、現場に任せっぱなしにするのではなく、
トップは足繁く現場を訪れ、途中経過を自分の目で
確認することを怠ってはいけません。


報告が来るのを待っているだけではいけないの
です。


「権限委譲」と「放任主義」は違います。
やり方は現場に任せても、目標と目的を明確にし、
きちんと達成させなければなりません――それが
トップの責務です。


そして、期待した「結果」が出せなかったら、
それは現場の責任ではなく、トップの責任と覚悟
することです。


その覚悟ができなければ、トップは自ら辞めるべき
です。


そして、佐藤さんが言われたように、どのような時でも、
「トップはふんぞり返らない程度に頭を上げて前を向き、
先を見通すことが大事です」。





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『マキアヴェッリ語録』 (04)





『マキアヴェッリ語録』 塩野七生 新潮文庫
平成4年11月25日 発行


目次
第1部 君主編
第2部 国家編
第3部 人間編






マキアヴェッリ(日本ではマキャベリと表現されることが多い)
は『君主論』の著者として知られ、「マキャベリズム」が
人口に膾炙しています。


その思想を端的に表現する言葉は、
「目的は手段を正当化する」
です。


目的のためならどんな手段を講じてもかまわない、と解する
ことが多いですね。


実は、私もこの書を読むまではそのように解釈していました。
言葉を文脈の中で解釈せず、言葉が独り歩きすることの怖さは、
風説の流布でも経験することです。


福島第一原発事故以後、周辺にお住まいの方々は風説の流布
に悩まされ続けています。拡散した誤情報はさらに誤情報を加え、
拡大していきます。容易に訂正されることはありません。



話しを戻しますと、マキアヴェッリの実像はどのようなもので
あったのか、そして「目的は手段を正当化する」と言っている
ことの真意は何だったのか、を知りたいと思いました。


先入観を取り払い、大前研一さんが言う、「オールクリア
(電卓のAC)」にしてマキアヴェッリの説くことに耳を傾ける
ことにしました。


マキアヴェッリは、1469年5月3日にイタリアのフィレンツェで
生まれ、1527年6月21日に没しています。15世紀から16世紀
にかけて活躍した思想家です。500年位前の人です。


ニッコロ・マキャヴェッリの肖像画

ニッコロ・マキャヴェッリの肖像画 Wikipedia から
 


塩野七生(しおの・ななみ)さんは、「まえがき」に代えて
「読者に」で次のように記しています。塩野さんが解説
ではなく、また要約でもなく、「抜粋」にした理由を説明
しています。


尚、10ページ以上にわたる説明からポイントとなる言葉を
「抜粋」しました。




 この『マキアヴェッリ語録』は、マキアヴェッリの思想の

 要約ではありません。抜粋です。

 なぜ、私が、完訳ではなく、かといって要約でもなく、

 ましてや解説でもない、抜粋という手段を選んだのかを

 御説明したいと思います。

 第一の理由は、次のことです。

 彼が、作品を遺したということです。


 マキアヴェッリにとって、書くということは、生の証[あか]し、

 であったのです。


 マキアヴェッリは、単なる素材ではない。作品を遺した

 思想家です。つまり、彼にとっての「生の証し」は、今日

 まで残り、しかもただ残っただけではなく、古典という、

 現代でも価値をもちつづけているとされる作品の作者でも

 あるのです。生涯を追うだけで済まされては、当の彼自身

 からして、釈然としないにちがいありません。


 抜粋という方法を選んだのには、「紆曲」どころではない

 マキアヴェッリの文体が与えてくれる快感も、味わって

 ほしいという私の願いもあるのです。そして、エッセンスの

 抜粋ならば、「証例冗漫」とだけは、絶対に言われない

 でしょう。


 しかし、彼の「生の声」をお聴かせすることに成功した

 としても、それだけでは、私の目的は完全に達成された

 とはいえないのです。マキアヴェッリ自身、実際に役に立つ

 ものを書くのが自分の目的だ、と言っています。 

 

  (前掲書 「読者に」から PP.3-5、14)







マキアヴェッリの名言をご覧ください。


第1部 君主編



 君主たる者、ケチという評判を怖れてはならない。

 なぜならこの“悪徳”は、自らの金庫を空っぽに

 することなく、かといって略奪者にもならず、

 それでいて統治をつづけていくための必要な

 “悪徳”だからである。


                    ―― 『君主論』 ――

                              (P.84)

         (010-1-0-000-487)
 



 


 慈悲深い君主と酷薄な君主とでは、どちらが良い

 君主と言えるかという問題だが、思いやりにあふれ

 残酷なところなどまったくないという人物ほど、

 望ましい君主像はないというのは当り前である。

 だがこれも、下手に使うことがないよう注意する必要

 がある。

 (中略)

 君主たる者、酷薄だという悪評を立てられても気に

 する必要はない。歴史は、思いやりに満ちた人物

 よりも、酷薄と評判だった人々のほうが、どれほど

 民衆を団結させ、彼らの信頼を獲得し、秩序を確立

 したかを示してくれている。

  
                    ―― 『君主論』 ――

                          (PP.86-87)

                                           
          (011-1-0-000-488)
 






 君主にとっては、愛されるのと怖れられるのと

 どちらが望ましいであろうか。

 当然のことながら、ほとんどすべての君主は、

 両方ともを兼ねそなえているのが望ましい、

 と答えるにちがいない。しかし、それを現実の

 世界で行使していくのは実にむずかしい。


 それで、ほとんどの場合一方を選ぶしかないと

 なるのだが、わたしは、愛されるよりも怖れられる

 ほうが、君主にとって安全な選択であると言いたい。

 なぜなら、人間には、怖れている者よりも愛している

 者のほうを、容赦なく傷つけるという性向があるからだ。

 人間というものは、恩義の絆[きずな]で結ばれている

 愛情などは、利害がからむとなれば平然と断ち切って

 しまうものである。一方、恐怖でつながれている場合は、

 復讐[ふくしゅう]が怖ろしく、容易には断ち切れない

 ものなのだ。


                    ―― 『君主論』 ――

                              (P.87)
                              

          (012-1-0-000-489)
 








マキアヴェッリは人間観察に優れた人だった、
と想像します。心理学にも長けていたのでしょう。


「ケチ」の話が出てきましたので、一つエピソードをご紹介
しましょう。


「真の金持ちはケチである」という話です。


元マイクロソフト日本法人社長の成毛眞(なるけ・まこと)氏が、
著した、
『成毛眞の超訳・君主論』
(成毛眞 メディアファクトリー新書 2011年12月31日
 初版第1刷 発行)
の中に、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が来日した際、
東京のオフィスを表敬訪問し、語った言葉に成毛氏が「驚愕」
したエピソードが書かれています。




 金持ちはけち、というのは定説になっている。

 ビル・ゲイツがけちだというのは有名な話だが、

 もちろん、彼はそんなことを気にかける様子は

 まったくない。

 以前、ビル・ゲイツが来日して東京のオフィスに

 来たときに、開口一番、「オフィスの入り口の

 足拭きマットは必要か?」と言った。挨拶を交わし、

 互いに近況報告をし合うという雑談を抜かして、

 いきなり足拭きマットの話である。私はなんの

 ことかと、ポカンとしてしまった。

 (中略)

 彼は、エレベーターで7階まで上がってきたとき、

 1階にあった足拭きマットが受付にもあることに

 気づいたのである。敷いてあったのは、ごく普通

 のオフィスで使うレンタルのマットだった。

 「1階のマットで靴の泥は取れるんだから、

 このマットは必要ないじゃないか。いったいこの

 マットに経費はいくらかかっているんだ?」

 それで、総務部が急いで調べて、

 「月間3千円弱です」

 「すぐやめなさい」

 というやり取りがあり、即中止となった。

 (中略)

 企業の経営で利益を追求するには、ムダを省いて

 節約するのは基本中の基本だ。経営者にとっては、

 3千円だろうが3千万円だろうが同じことである。

 ビル・ゲイツに関してはその他にも、アメリカでは

 割引クーポンを持ってマクドナルドへ行っている、

 飛行機はエコノミークラスしか乗らないなど、

 いろいろな噂があった。

 

  (前掲書 P.62-63)



世界一の億万長者である、ビル・ゲイツ氏だからこそ、
「真のお金持ちはケチである」というエピソードが強く
印象に残ります。


事業に投資するためなら、莫大なお金を出すことを
いとわなくても、ムダは徹底して排除していることが
分かりますね。


日本では、少し金持ちになると、超高級外車を乗り
回したり、超一等地の億ションに住んでいることを
吹聴したり、ド派手な結婚式を催したりといった話題を
振り撒きます。


(少々、羨ましいですが・・・)


本当のお金持ちはこんなことにはお金をかけないの
ですね。リターンが得られる投資をするのでしょう。
「消費」「投資」「浪費」を明確に分けているのです。


私はとてもお金持ちになれそうにありません(苦笑)。


次の言葉は深いですね!

「歴史は、思いやりに満ちた人物よりも、

 酷薄と評判だった人々のほうが、どれほど

 民衆を団結させ、彼らの信頼を獲得し、

 秩序を確立したかを示してくれている」





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イオン 挫折の核心
(日経ビジネスオンラインから)<4>



『日経ビジネス』は 2015.04.27・05.04 合併号
でしたので、今週号は休刊となりました。


そこで、日経ビジネスオンラインから私が興味を
持った記事をご紹介し、自分の考えを自分の言葉
でお伝えします。



尚、本編を早く読みたい方は、 こちら 
クリックしてみてください。



私のブログ 日経ビジネスの特集記事 同様に、
記事の引用と、私個人の考えを明確に分けて、
お伝えしていきます。



尚、イオンに関する日経ビジネスの特集記事は、
下記のページをご覧ください。

日経ビジネスの特集記事(105)
挫折の核心 イオン セブンも怯えるスーパーの終焉(1)



日経ビジネスの特集記事(105)
挫折の核心 イオン セブンも怯えるスーパーの終焉(2)



日経ビジネスの特集記事(105)
挫折の核心 イオン セブンも怯えるスーパーの終焉(3)





これからお伝えする内容は、『日経ビジネス』
2015.04.27・05.04 合併号に、当時掲載でき
なかった記事の概要です。




前回は、
 「イオンの商品改革、半年先には成果出す」
イオンの柴田英二・執行役が語る、
商品政策180度転換(後編)
 

の前半
をお伝えしました。


今回は、
 「イオンの商品改革、半年先には成果出す」
イオンの柴田英二・執行役が語る、
商品政策180度転換(後編)
 

の後半
をお伝えします。








 「イオンの商品改革、半年先には成果出す」
イオンの柴田英二・執行役が語る、
商品政策180度転換(後編)
 

の後半





引き続き、『日経ビジネス』取材班のインタビュー
に応じた、イオン商品担当執行役の柴田英二氏が
真摯に語った内容です。


経営層は現状に疑問を抱いていたのです。
掛け声倒れになっているのではないか、という
認識です。


ただ、今日まで抜本的な改革を行なってきて
いなかったのです。





 「すべてはお客さまのために」という言葉が、

 単なる掛け声になっているんじゃないか。

 「すべてはお客さまのために」という視点で

 組織が作られ、従業員の行動基準になっているのか、

 という投げかけは常にありました。

 

      日経ビジネスオンライン から




イオンでグループの商品戦略を担当する柴田英二執行役





問題は、「ワクワクドキドキ」する商品開発が
できていたかどうかです。さらに社員に伝えき
れていたかです。


どちらもできていなかったのです。






 トップバリュの価値を高めるには、ベンチマークの

 ある商品は、ベンチマークした商品よりも明らかに

 価値の高いトップバリュにリニューアルしなくては

 いけないし、第2~4象限では、ワクワク・ドキドキ

 する商品を開発しないといけない。

 それが出来て、従業員にちゃんと伝われば、

 より成長していくと思います。

 

      日経ビジネスオンライン から





現在、イオンはトップバリュの製造元の表記をして
いません。今後は、明記することが義務付けられます。


この点について、柴田氏は次のように答えています。
重要なのは、メーカーではなく、製造している地域
だ、と。そこがお客様が関心が強いところだという
のです。







 (「トップバリュの場合、現在は製造元を表記

 していません。今後は、製造事業者の表示が

 義務付けられるようになります。どのように

 対応していきますか」という質問に対して)

 法律で義務付けられたら、内容には従うつもりです。

 ただ、我々の主張を曲げることはありません。

 お客さまの声を我々が一元的に聞く体制は、

 表示が義務付けられても変えるつもりはありません。


 お客さまが知りたいのは、どのメーカーに製造委託

 しているかということよりも、どこで製造されて

 いるかということです。特に原発事故が起こった

 後からは、問い合わせ件数が増えました。

 製造委託先は日本国内なのか、海外なのか。

 国内であれば、どの県なのか。問い合わせの内容は、

 そういう製造している地域に関するものが多い。

 我々は商品の裏面に「販売者イオン」と表示をし、

 最終加工地がどこかという県名の情報まで記載して

 います。

 

      日経ビジネスオンライン から




ただ、それだけでは十分な情報開示だとは言えない、
と考えます。


さて、今後、イオンはどのように体制を変えていく
のでしょうか。そして、体制を変えただけで機能
するのかという課題があります。


イオンが今、行なっていることは「中央集権」から
「地方分権」へ、「トップダウン」から「ボトム
アップ」への変更です。いや、「ミドルアップ・
アンド・ダウン」かもしれません。


いずれにせよ、柴田氏は変革の青写真を明示して
いますので、耳を傾けてみましょう。






 少なくとも10年前には、本社が発信し、

 事業各社が着信し、という体制でした。

 今回はそれを逆にしようとしているわけです。

 現場から情報発信をせい、と。

 「私たちの戦う相手はこうや。お客さまはこうや。

 本部よ、こうしてくれ。機能会社はこうしてくれ」。

 こうした声を挙げてもらっていいんです。

 この声に応えるべく、機能会社のあり方も、

 商品の開発フローも変えていく。

 ベクトルを変えるというのはシンプルですが、

 実は非常に大変なことですよね。

 

      日経ビジネスオンライン から





柴田氏は、一抹の不安を抱えながら、それでも
明言しました。


「半年先には成果を出したいですね。

 上半期が終わった頃には出したい、

 出さねばならぬと思っています」。





 半年先には成果を出したいですね。

 上半期が終わった頃には出したい、

 出さねばならぬと思っています。


 ただ、今はまだ、戸惑いが一杯ですよね。

 狙いは単純に組織を変えることではなく、

 意識を変えることにあります。

 開発の観点を変える。今は一生懸命、

 「変えるんだ、変えるんだ」と言っていますよ(笑)。

 

      日経ビジネスオンライン から





意識改革が最も難しいことは、柴田氏が最もよく理解
していることだ、と思います。


10年以上も前から行われてきた商習慣が、
「こう変えたから、すぐやれ!」
と言われたから変えられるかと言えば、
そう簡単なことではありません。


意識改革は、社員一人ひとりの意識を変えることです。
そのためには、まず、トップの頭の中をマインドセット
することが優先されるべきでしょう。








とても重要な点ですので、再々掲します。
「商売の原点」を忘れてはいけないからです。


セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEOの
鈴木敏文氏が、

『鈴木敏文 商売の創造』
(緒方知行 編 講談社 2003年10月22日
 第1刷発行)

の巻頭で書いているように、



 われわれにとっての最大の競争相手は、

 同業の他社・他店ではありません。

 世の中の変化、お客様のニーズの変化

 こそが最大の競争相手なのです。

 

  (前掲書 P.1)


という意識を、業種が何であれ、誰もが、
片時も、忘れてはいけないのです。










来週から通常に戻り、『日経ビジネス』の
特集記事をお伝えしていきます。


『日経ビジネス』(2015.05.11)の特集は
「韓国 脱財閥へのもがき」
です。









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『サラリーマン再起動マニュアル』(42)


大前研一さんは、私にとってメンターでもあり、
グールー(思想的指導者)の存在でもあります。


大前さんの著作を読んでいつも感じるのは、
物事の本質を捉えるずば抜けた能力です。


凡人である私は大前さんの足元にも及びませんが、
不断の努力を怠らず、一歩でも彼に近づきたい、
と思っています。



サラリーマン再起動マニュアル
2008年10月4日 初版第1刷発行 小学館
ISBN978-4-09-379454-1
 







目次
 [イントロダクション]志のあるサラリーマンは、
              きつい仕事を厭わない

 第1章[現状認識]なぜ今「再起動」が必要か?

 第2章[基礎編]「再起動」のための準備運動

 第3章[実践編]「中年総合力」を身につける

 第4章[事業分析編]“新大陸エクセレントカンパニー”の条件

 第5章[メディア編]「ウェブ2.0」時代のシー・チェンジ

 [エピローグ]新大陸の“メシの種”はここにある





第4章[事業分析編]“新大陸エクセレントカンパニー”の条件




 たとえばiPodの場合、アップルはコンセプトや

 デザイン、機能の仕様を決めているだけで、

 HDDとフラッシュメモリはサムスンおよび東芝、

 HDD用基盤は昭和電工、磁気ヘッドはTDK、

 小型モーターは日本電産が開発・製造し、

 ボディの鏡面仕上げは小林研業という新潟県の

 小さな会社が受け持っている。

 それを鴻海(鴻富錦工業。1974年に台湾でOEM

 メーカーとして創業。中国本土に進出して急成長し、

 世界最大のEMS[電子機器受託製造サービス]

 メーカーとなった)がまとめて最終組み立てを

 しているのだ。


  
                      (今日の名言 42  489)






『サラリーマン再起動マニュアル』が出版された
当時は、iPhone も iPad もこの世に出ていません
でした。


ですが、最終組み立てを行なうのは台湾メーカー
であり、部品を製造するのは日本メーカーであり、
アップルは完成品を販売するという構図に変化は
ありません。


そして、一番売上が大きく、一番儲けているのは、
アップルです。


スマホ(スマートフォン)にしても、完成品の製造・
販売に関しては、日本メーカーは韓国のサムスン
電子の後塵を拝しています。


視点を変えると、日本の部品メーカーの助けを借り
なければ、サムスン電子は製品化できないことに
なります。


この状況はアップルの iPhone や iPad にしても
同様です。


この本を通じて、鴻海(ホンハイ)という台湾メーカー
を知りました。現在、非常に強い会社に成長しました。


シャープを買収するのではないか、と何度も経済紙や
経済誌に取り上げられました。


日本メーカーの完成品が、日本で売れないことは
淋しいですね。


たとえ、いくらソニーのイメージセンサー技術が優れて
いると言っても、日本のスマホ市場を占有しているのは、
アップルの iPhone です。


欧州で、ソニーの Xperia シリーズの売れ行きは好調
のようですが。


ソニー製品にかぎらず、日本で売れなくなったのは、
日本製品からワクワクドキドキ感がなくなって
しまったことが原因でしょう。







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イオン 挫折の核心
(日経ビジネスオンラインから)<3>



『日経ビジネス』は 2015.04.27・05.04 合併号
でしたので、今週号は休刊となりました。


そこで、日経ビジネスオンラインから私が興味を
持った記事をご紹介し、自分の考えを自分の言葉
でお伝えします。



尚、本編を早く読みたい方は、 こちら 
クリックしてみてください。



私のブログ 日経ビジネスの特集記事 同様に、
記事の引用と、私個人の考えを明確に分けて、
お伝えしていきます。



尚、イオンに関する日経ビジネスの特集記事は、
下記のページをご覧ください。

日経ビジネスの特集記事(105)
挫折の核心 イオン セブンも怯えるスーパーの終焉(1)



日経ビジネスの特集記事(105)
挫折の核心 イオン セブンも怯えるスーパーの終焉(2)



日経ビジネスの特集記事(105)
挫折の核心 イオン セブンも怯えるスーパーの終焉(3)





これからお伝えする内容は、『日経ビジネス』
2015.04.27・05.04 合併号に、当時掲載でき
なかった記事の概要です。




前回は、
 「トップバリュ、安さ一辺倒から脱却する」
イオンの柴田英二・執行役が語る、
商品政策180度転換(前編)
 

の後半
をお伝えしました。


今回は、
 「イオンの商品改革、半年先には成果出す」
イオンの柴田英二・執行役が語る、
商品政策180度転換(後編)
 

の前半
をお伝えします。








 「イオンの商品改革、半年先には成果出す」
イオンの柴田英二・執行役が語る、
商品政策180度転換(後編)
 

の前半




前回に引き続き、『日経ビジネス』取材班の
インタビューに応じた、イオン商品担当執行役の
柴田英二氏が真摯に語った内容です。


小売業の基本中の基本である、顧客視点ではなく、
提供する側の論理で商品開発や販売が行われて
きた経緯を語っています。





 事業会社の直接的な声をもっと聞くべきだった。

 消費増税後、消費動向の二極化にどう対応するか

 という中で、「対応できなかった」という声も

 発せられました。


 我々はマルチフォーマットであるがゆえに、

 戦う相手もそれぞれ違う。まさに「多極」

 と言えるでしょう。こうした多極化した環境

 にどう対応するかというと、最後はお客さまの

 声を聞くしかない。

 そう判断して、直接お客さまの声を聞ける

 体制を生かすことにしました。お客さま視点に

 商品開発を変えていきます。同時に機能会社

 から見たもう1つのお客さまが、事業会社です。

 つまり機能会社として、事業会社の声を聞いて

 商品化を進め、商品を調達する。

 そういう風な組織に変えて、商品開発や調達の

 プロセスも変えていきます。

 

      日経ビジネスオンライン から




イオンでグループの商品戦略を担当する柴田英二執行役





具体策を語っていますので、ご覧ください。
トップバリュの売上高は約7000億円あります。
今まではトップバリュを機能会社が扱って
いましたが、今後は事業会社に移管するそう
です。


機能会社と事業会社との関係が分かりにくいと
思われますので、『日経ビジネス』が作成した
下の組織図をご覧ください。


概要は摑めると思います。





“マクハリ”で進むイオン「解体」<br />・イオンの主な組織構造改革

“マクハリ”で進むイオン「解体」
・イオンの主な組織構造改革

『日経ビジネス』2015.04.27・05.04 合併号 P.032

日経ビジネスDigital 2015.04.27・05.04







 例えば、私が社長を兼務するイオン商品調達は、

 年7000億円を越える売り上げ規模があります。

 食品卸としても上位に入る規模でしょう。

 これを5月末で消滅させ、事業会社である

 イオンリテールの商品企画の中に、機能統合を

 図っていきます。

 もちろんこの先も、小売りで日本一の事業規模を

 持つイオンとして、合理的なコスト削減や品質向上、

 効率の改善は進めなくてはなりません。

 これに資することは、イオンとして取り組み続け

 ないといけないし、今後もこうした点を強化すべき

 です。

 

      日経ビジネスオンライン から




お客様に最も近い存在は、現場の販売に携わる
人たちです。


この人たちは、毎日、お客様に接しているので
お客様の反応を直に感じているはずです。


店舗内のお客様の動線に注目し、お客様は何に
関心があってそのような動きをするのか、
あるいは商品を見ずに素通りしてしまうのか、
考えることはたくさんあります。


ここでも「仮説と検証」が欠かせません。


ところが、お客様から遠く離れた本部の人間が、
現場を知らずに考えただけで企画した商品は、
まず売れません。


それでも、多くの流通企業でこうした本部一括
仕入れや、陳列の指示をしています。


現場の人たちも、当初は本部の意向に疑問を
感じながら、だんだん面倒になり、指示された
通りに商品を陳列するというマンネリ化に
陥ります。






とても重要な点ですので、再掲します。
イオンは「商売の原点」を忘れていたのでは
ないか、と勘ぐってしまいます。


セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEOの
鈴木敏文氏が、

『鈴木敏文 商売の創造』
(緒方知行 編 講談社 2003年10月22日
 第1刷発行)

の巻頭で書いているように、



 われわれにとっての最大の競争相手は、

 同業の他社・他店ではありません。

 世の中の変化、お客様のニーズの変化

 こそが最大の競争相手なのです。

 

  (前掲書 P.1)


という意識を決して忘れてはいけないのです。





 よりお客さまに近いところで判断しましょう

 ということです。現場に近いところの、

 皮膚感が求めるものを実現する。

 ともすると、機能会社が日本一の規模を持ち、

 「日本一の良い商品だから売れよ。なんで

 売らないんだ」となってしまっているんじゃ

 ないか。だから、イオン商品調達という組織

 をなくすことにしたのです。

 

      日経ビジネスオンライン から




長年同じようなことを繰り返していると、
それが「常態化」し、何の疑問も浮かばなく
なるのが怖いですね。


仮に、過去、それで上手く行っていたとしても、
それはたまたま上手く行っていただけである
かもしれません。そこに「成功の復讐」が忍び
寄るチャンスを与えてしまうのです。






 私の経験で言えば、食品スーパーは徹底的な

 エリア対応をしないと生き残れないと思って

 います。

 イオン商品調達が供給する商品は掛け値なしに

 良い商品で、日本一安い。

 けれど、お客さまは、必ずしも我々の考える

 「良い商品かどうか」で、商品を購入されません。

 好きか嫌いかで買うんですね。

 だから、お客さまの「好き」にちゃんと応え

 なければならない。

 良い商品の提案も非常に重要ですし、

 イオンとしての使命でしょう。

 ですが、良い商品を提供すると同時に、

 お客さまが好きだという商品をちゃんと知って、

 それに応えられる商品を売らないといけない。

 それが、今回の改革の答えです。

 

      日経ビジネスオンライン から




一番怖いことは、「お客様の声を聞くようにして
います」と言いながら、いつの間にか、提供する
側の論理が優先されるようになってしまうこと
です。


小売業の原点に立ち返り、「お客様の声を本気で
聞き、商品開発や仕入れ、陳列に活かす」ことが
お客様の意識の変化や多様性(ダイバーシティー)
に対応できることではないか、と考えています。





 エリア対応や店舗対応の商品と言っても、

 全体の95%程度までは、全国共通でも問題

 ないと思っています。


 5%の違いを出すことで、本当に地方スーパーと

 同じ土俵で戦うことができるわけです。

 加えて、日本一の良い商品が出せれば勝てる

 でしょう。

 我々はこれまで、この5%の手間を省いて

 きたんですね。

 

      日経ビジネスオンライン から





柴田氏が言われたことは、NPやPBだけでなく、
LB(ローカルブランド)でも勝負していく、
ということです。


地場スーパーのイズミの山西泰明社長が同様の
ことを語っています。






 山西社長は「『3%の差異化』が、これまで以上に

 重要になる」と話す。

 生鮮品や総菜を除くと、店頭で扱う商品の約90%

 をNBが、5~7%をPBが占める。

 山西社長が言う「3%の差異化」とは、

 残りの地元メーカーが作るLB(ローカルブランド)

 商品のこと。これでライバルを圧倒する。

 

  (『日経ビジネス』 2015.04.27・0504 合併号 P.041)     






 お客さまによって求めている商品が違うので

 あれば、エリアや地域カンパニー単位でそれ

 を聞いて、売り場に並べる。

 お客さまの声を聞き、販促施策や品揃え、

 売価設定を、地域カンパニー単位で決定する

 ことが必要になってきているわけです。

 それが実現できれば、もともとイオンが持つ

 強みを本当に強みとして評価していただける。


 多極化するニーズに応えることは、

 究極はお客さまの声にちゃんと従うことだと

 思います。それこそが、「すべてはお客さま

 のために」というイオンが目指す究極の姿ですし、

 その視点に立って商品部の組織や商品機能の

 あり方を見直したら、今のような形になった、

 ということです。

 

      日経ビジネスオンライン から





方向性が定まったら、後は戦略を実行し、
間違いがないか確認していく作業を怠らず、
軌道修正していくことです。


この過程に終わりはありません。
企業が存続する限り、継続していかなければ、
あとは滅びるだけです。






次回は、
 「イオンの商品改革、半年先には成果出す」
イオンの柴田英二・執行役が語る、
商品政策180度転換(後編)
 

の後半をお伝えします。






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