藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ -27ページ目

藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

私のテーマは6つあります。
(1)ビジネス書の紹介(2)医療問題 (3)自分ブランド力
(4)名言 (5)ランキング (6)ICT(情報通信技術)
このブログでは、主に(1)~(4)を扱っています。
(5)と(6)はそれぞれ別のタイトルで運営しています。

『サラリーマン再起動マニュアル』(43)


大前研一さんは、私にとってメンターでもあり、
グールー(思想的指導者)の存在でもあります。


大前さんの著作を読んでいつも感じるのは、
物事の本質を捉えるずば抜けた能力です。


凡人である私は大前さんの足元にも及びませんが、
不断の努力を怠らず、一歩でも彼に近づきたい、
と思っています。



サラリーマン再起動マニュアル
2008年10月4日 初版第1刷発行 小学館
ISBN978-4-09-379454-1






 

目次
 [イントロダクション]志のあるサラリーマンは、
            きつい仕事を厭わない

 第1章[現状認識]なぜ今「再起動」が必要か?

 第2章[基礎編]「再起動」のための準備運動

 第3章[実践編]「中年総合力」を身につける

 第4章[事業分析編]“新大陸エクセレントカンパニー”の条件

 第5章[メディア編]「ウェブ2.0」時代のシー・チェンジ

 [エピローグ]新大陸の“メシの種”はここにある




第4章[事業分析編]“新大陸エクセレントカンパニー”の条件





 台湾人には日本語ができる人が多く、

 日本の部品業界や工作機械、組み立て機械の

 ことを知り抜いている。英語もできるから、

 欧米の企業と複雑な交渉ができる。

 しかも中国語(北京語)が母国語なので、

 中国本土のどこへ行ってもツーカーだ。

 つまり、3か国語を操って日本企業、欧米企業、

 中国企業とビジネスができるのは台湾企業しか

 ないのである。

 


  
                      (今日の名言 43  490)







今日(当時)、2012年3月11日はあの東日本大震災
から1年になる日です。


東京では「東日本大震災1周忌追悼式典」が執り行われ、
天皇皇后両陛下が出席され哀悼の意を表されました。


大震災後、すばやく支援を行ったのは台湾でした。
義援金の多さだけで評価することはできませんが、
台湾が最大の義援金(200億円以上)を送ってくれた
ことを私たちは忘れてはなりません。


残念なことに、中国を刺激しないように、
日本は台湾に対して感謝の意を表しませんでした。


政治が介入すると善意が無になってしまう典型的な例
と言えましょう。同じ日本人として悲しいことでした。


昨日(当時)、東日本大震災の復興支援策の一環として、
日本と台湾のプロ野球選手代表が東京ドームに集結し、
熱戦を繰り広げました。日本は9対2で台湾に勝ちました。


今回の試合では、勝敗が重要なのではなく、
台湾が日本のために物心両面で手を差しのべてくれたこと
が大切なのです。


親日家が多いということはもっと認識するべきだ、
と思います。


以上までの記述は、3年前のことです。




台湾のことを知るようになったのも、大前さんの著作を
通じてです。


大前さんは「自調自考自動(自分で調べ、自分で考え、
自ら行動する)」の人です。


調べ、考えただけでは納得できなければ、
即座に現地へ足を運び、自分の目(視覚)で、
耳(聴覚)で、鼻(嗅覚)で、舌(味覚)で、
手足(触覚)で体感するのです。


つまり、五感をフルに使って、自分の仮説を検証して
いるのです。時には第六感を使うこともあるかもしれ
ません。


大前さんに見習うことはたくさんあります。
大前さんは私(2015年6月末に還暦)より一回り
(12歳)上ですが、精神両面のスタミナはもの凄い、
と思います。


大前さんのように考え、行動することは容易なことでは
ありません。










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<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(106)

サムスンの次は生まれるか
韓国
脱財閥へのもがき

2015.05.11


今週の特集記事のテーマは

韓国経済を支え、世界を舞台に急成長してきた財閥が今、
もがいている。
原因は、ウォン高や頼みの綱だった新興国経済の低迷だけ
ではない。
独裁型経営や、既にある技術の組み合わせといった「強み」が
通用しなくなったのだ。
スマートフォンの売れ行きが鈍り、収益も伸び悩むサムスン。
崩壊し始める中堅財閥。
一方で、産業構造が大きく転換する中、これまでにないような
革新も生まれている。
続々と世界を目指す新興企業。そこからサムスンの次を担う
企業は現れるのか。
そして、日本企業は変貌する韓国とどう向き合えばいいのだろうか。

 (『日経ビジネス』 2015.0511 号 P.026)

ということです。






(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




今週号の特集は、「韓国」です。
戦時中の慰安婦問題や、閣僚による靖国神社参拝、
竹島をめぐる領有権問題などで、日本との確執が
しばしば取り沙汰されます。


一方、韓国にはサムスンのような財閥企業が多く、
日本企業を凌駕している分野もあります。


『日経ビジネス』特集班は、そんな韓国に対し、
どのように切り込んでしていくでしょうか?
お楽しみください。


尚、『日経ビジネス』特集班はサムスン本社に
取材を申し込んだそうですが、
「『現地での直接取材は難しい』などと明確な
回答は得られていない」(P.029)そうです。


事実上の取材拒否です。



第1回は、
「PART 1 日本人元社員の証言
 サムスンが超えられない壁」
を取り上げました。


第2回は、
「Column 『課題先進国』日本より
 重たい足かせ」
「PART 2 復活への胎動
 『新韓流』モデル」
を取り上げました。


最終回は、
「PART 3 韓国企業を
 侮るのはまだ早い」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 財閥 
 カリスマ性 
 サムスンの次 
 脱独裁 
 したたかさ 




では、本題に入りましょう!


 PART 3 韓国企業を 
 侮るのはまだ早い 

サムスンなどの大手財閥の業績が急激に悪化
したことを受けて、韓国政府が新興企業の支援
に乗り出している実態を、前回お伝えしました。


最終回は、そのような韓国に日本は「もう学ぶ
ことは何もない」と断言できるのか、
という問題提起を『日経ビジネス』はしています。


日本人の特質の一つに、一度自分たちが頂点を
極めると、外国の制度や外国企業に「学ぶことは
ない」と決めつけてしまうことです。


米GM(ゼネラル・モーターズ)が破綻した際にも、
一部のマスコミや自動車業界は「日本は自動車
に勝利した」と思い込む論調が多かったように
思います。


その間隙を縫うように、独フォルクスワーゲンは
トヨタの生産台数を超し、世界一となりました。


一度破綻した米GMも復活への確かな歩みを
始めました。


目を転じて、韓国企業の実態を見てみますと、
確かにサムスンの業績悪化は象徴的な出来事
のようですが、「では、日本企業でサムスンに
対抗できる企業はありますか?」と聞かれて、
答えられる人はいるでしょうか。


スマホの日本の部品メーカーには、グローバル
企業が名を連ねています。東芝やソニー、
村田製作所、シャープなどです。


しかしながら、完成品としてのスマホを市場に
出しているのは実質的にソニーだけとなって
います。国内の市場シェアは小さいですね。



『日経ビジネス』特集班は、韓国2番手の電機
メーカー、LG電子に焦点を当てています。


 韓国2番手の電機メーカー、LG電子。

 サムスンなどに比べて「財閥らしくない財閥」

 と言われ、不透明なグループ内株式持ち合い

 を整理するなど、改革への動きを見せる

 数少ない財閥だ。

 テレビの世界シェア2位の同社も、

 中国勢の猛追を受け苦しんでいる。

 しかし、その成長戦略には、転んでもタダでは

 起きない「したたかさ」が見える。
 

  (P.042)


どんな点に「したたかさ」を見たのでしょうか?


ポイント

「したたかさ」


 「他社はやめてもウチは粘り強く続けていきます」

 3月、有機ELテレビの新製品発表会のために来日

 したLG電子のイ・インギュ専務は、こう語った。

 歩留まりが悪い上、大型の設備投資が必要な有機EL。

 ソニーやパナソニック、サムスンなどは次々と大型

 パネルの開発を中断したが、LGは惜しみなく人とお金

 を投じてきた。

 液晶テレビ一色の市場で、他社がやめたため結果的に

 「独自」になった技術を武器に、新市場の覇権を狙う。
 

  (P.042)


この戦略は、「ガラパゴス化」ではないのか、
と考えられがちです。


ところが、必ずしもそうではないようです。


同業他社が開発や生産をとりやめたことで、
残ったのは1社のみとなったため、顧客には選択肢が
なくなったのです。


図らずも「ブルーオーシャン」になったのです。


似たようなケースが、日本にもあります。
富士フイルムです。


「チェキ」というインスタントカメラをご存じでしょうか?


図1

チェキ


チェキ


チェキフィルム

インスタントカメラ




これだけのラインナップがあります。
私も、かつてチェキを使ったことがあります。
小さな印画紙(10cm四方にも満たない)に
シャッターを押すと、すぐにプリントされて、
押し出されてきました。


一昔前までは、インスタントカメラと言ったら、
「ポラロイド」でした。


ところが、ポラロイドはデジカメが出現すると、
その流れに乗ることができず、経営破綻しました。
強みが弱みに転じたのです。自社の強みにこだわり
過ぎたため、世の中の変化についていけなくなった
のです。


フィルムメーカーの「コダック」も同じでした。
フィルム業界を富士フイルムと二分していたコダック
もデジカメの普及を甘く見ていたのです。


その点で、富士フイルムは「したたかさ」でした。
長年蓄積してきた「ナノテクノロジーや写真分野で
培った技術」を応用し、医療機器業界や化粧品業界に
進出し、中核事業に育てました。


その一方で、デジタルカメラを製造したり、
デジタルカメラにはない、「撮ったらすぐにその場で
プリントが見られる」特徴を持つ、チェキの製造販売を
再開したのです。


今、「再開」と書きました。
デジカメが登場する前に発売していました。
デジカメの登場後、チェキの売上は下落しましたが、
ライバルがいなくなったことで、インスタントカメラ
市場を独占できたのです。


カメラもフィルムも富士フイルムしか製造販売でき
ません。カメラとフィルムの微妙な調節のノウハウ
を持っているのは、もはや富士フイルムだけになった
からです。



話を韓国の電機メーカー、LG電子に戻します。


 勢いを再び取り戻そうと、日本企業の調査や学習に

 今とても熱心だ。利益率の高いBtoB(企業向け)

 シフトを狙うLGがベンチマークにしているのは

 パナソニック。

 一時は経営が悪化したにもかかわらず、

 「なぜ彼らは車載や住宅事業で軌道に乗れたのか」。

 LG関係者は日本に足を運び、有識者らにこう聞いて回る。

 韓国にとって、日本の経験は「転ばぬ先の杖」。

 政府や経済団体の間では、日本の失敗事例などを研究

 する動きが広がる。
 

  (P.043)



サムスンの二代目、イ・ゴンヒ会長も若かりし頃、日本で
働き、日本企業に学び、ついに日本企業を凌駕する会社
に育て上げたのです。その手法に批判が多いとは言え、
グローバル企業にした手腕は認めるべきである、
と思います。



ポイント

「韓国にとって、日本の経験は『転ばぬ先の杖』。

 政府や経済団体の間では、日本の失敗事例などを研究

 する動きが広がる」(P.043)



『日経ビジネス』は日本は韓国に学ぶことはないのか、
と問うています。


ポイント


 日本企業の側にも、韓国企業に学ぶべき点は

 ないのだろうか。今や勢いが落ちたとはいえ、

 韓国企業は日本企業に足りないものを持っている。

 韓日産業技術協力財団のイ・ジョンユン専務理事は

 「日本企業の強さは緻密さだが、韓国企業はスピード」

 と指摘する。PART1で見たように、オーナー経営者に

 よる独裁で、速すぎる決断は企業を間違った方向に

 導く恐れがある。だが、チャンスを人より早くつかむには、

 やはりスピードは大切な要素である。

 消費者ニーズに素早く合わせるマーケティング力も

 優れている。
 

  (P.043)


私見

私は、韓国企業が日本企業より優れている、
もう一つの点は「駆け引きの巧みさ」、
と考えています。


日本人は、この点で韓国人にとてもかないません。



外交面では敵対することが多い日韓両国ですが、
企業間では提携の動きが出てきています。


図2

「サプライヤー」から「パートナー」へ<br />・日本企業と韓国企業のコラボ案件

「サプライヤー」から「パートナー」へ
・日本企業と韓国企業のコラボ案件

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.043)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




新興国はどのように日韓両国を見、どのような対応を
しようとしているのでしょうか?


『日経ビジネス』はミャンマーのケースを取り上げて
います。


ポイント


 実は、新興国が日韓連携に期待するケースもある。

 「日本企業単独ではなく、韓国企業と一緒に開発

 してはどうか」

 ミャンマー政府関係者は最近、周囲にこう漏らしている。

 三菱商事ら日本の商社が開発を進めるティラワ工業

 団地についてである。

 ミャンマー政府側には、違った強みを持つ日韓の企業の

 双方に来てもらった方が、自国の産業活性化につながる

 という期待があると言われる。
 

  (P.043)





まとめ

『日経ビジネス』は特集の最後で、次のように
述べています。


 日韓企業が助け合うなど、理想論にすぎないと

 見る向きもある。

 だが、日韓は、中国勢の追い上げや、人口減、

 縮小する内需など共通の課題を抱えている。

 本来なら、最も深く分かり合える仲なのかもしれない。

 日本企業はこれから成長を目指す中で、

 したたかな韓国企業と渡り合いつつ、

 時には歩み寄って連携するというような柔軟さも

 求められるだろう。
 

  (P.043)


いかがでしたでしょうか?
国家間の日韓関係はギクシャクしていますが、
企業間や個人間では日韓がパートナーとなることは
望ましいことです。


サッカーを例に挙げますと、韓国は日本に対して、
異常とも思えるほどに攻撃的なプレーを仕掛けて
きます。


今でこそ、FIFAランキングで日本は韓国より上位
にランキングされていますが、今から40年以上前
には、韓国だけでなく、タイにも日本はなかなか
勝てなかった、というサッカーの苦い歴史があります。


サッカーの歴史と逆のケースが、グローバル経営
において「そのようなことが起こるはずはない」、
と誰が断言できるでしょうか。




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 財閥 
 カリスマ性 
 サムスンの次 
 脱独裁 
 したたかさ 





私見

「近くて遠い国」と言われ続けた、日韓両国ですが、
領土問題や歴史問題は重要な課題とは言え、
他の面で協力し合えるようになりたいものです。


雪解けは、もう始まっていると見ています。





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<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(106)

サムスンの次は生まれるか
韓国
脱財閥へのもがき
2015.05.11



今週の特集記事のテーマは

韓国経済を支え、世界を舞台に急成長してきた財閥が今、
もがいている。
原因は、ウォン高や頼みの綱だった新興国経済の低迷だけ
ではない。
独裁型経営や、既にある技術の組み合わせといった「強み」が
通用しなくなったのだ。
スマートフォンの売れ行きが鈍り、収益も伸び悩むサムスン。
崩壊し始める中堅財閥。
一方で、産業構造が大きく転換する中、これまでにないような
革新も生まれている。
続々と世界を目指す新興企業。そこからサムスンの次を担う
企業は現れるのか。
そして、日本企業は変貌する韓国とどう向き合えばいいのだろうか。

 (『日経ビジネス』 2015.0511 号 P.026)

ということです。






(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




今週号の特集は、「韓国」です。
戦時中の慰安婦問題や、閣僚による靖国神社参拝、
竹島をめぐる領有権問題などで、日本との確執が
しばしば取り沙汰されます。


一方、韓国にはサムスンのような財閥企業が多く、
日本企業を凌駕している分野もあります。


『日経ビジネス』特集班は、そんな韓国に対し、
どのように切り込んでしていくでしょうか?
お楽しみください。


尚、『日経ビジネス』特集班はサムスン本社に
取材を申し込んだそうですが、
「『現地での直接取材は難しい』などと明確な
回答は得られていない」(P.029)そうです。


事実上の取材拒否です。



第1回は、
「PART 1 日本人元社員の証言
 サムスンが超えられない壁」
を取り上げました。


第2回は、
「Column 『課題先進国』日本より
 重たい足かせ」
「PART 2 復活への胎動
 『新韓流』モデル」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 韓国企業を
 侮るのはまだ早い」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 財閥 
 カリスマ性 
 サムスンの次 
 脱独裁 
 したたかさ 




では、本題に入りましょう!


 Column 「課題先進国」日本より 
 重たい足かせ 


韓国も日本と同じ問題に直面しています。
「少子高齢化」と「非正規雇用者の増加」です。


韓国の人口を確認しておきましょう。
これからいくつかの比率が示されます。
その際に、人口比で何人に相当するかを知る
ためです。


最新の統計(2015年4月の推計)によれば、
5000万人を超えました。





韓国の人口 「世界経済のネタ帳」から



韓国の人口の推移を見た後で、『日経ビジネス』
特集班の解説を読んでみましょう。



 ウォン高や財閥の行き詰まりに苦しむ韓国経済。

 企業にとってはこれから先、さらなる難題が待ち

 受けている。最も大きいのは、少子高齢化を

 はじめとした構造問題の負担がのしかかってくる

 ことだ。これまで軽い社会保障費や税の恩恵を

 享受してきた企業は一転、重荷を背負う。

 その負担は同様の課題で先進国とされてきた日本

 をも上回りかねない。

 問題の一つが、貧困層の拡大だ。
 

  (P.034)


ポイント

韓国では、収入の格差が拡大しているようです。
非正規雇用者の比率が高まっています。



 韓国の非正規比率は、政府統計で32.5%(2013年)。

 この数字は過去10年、大きく変わってはいない。

 しかし、労働組合側の推計では、正規労働者と

 されていても、社会保険が非適用だったり、

 派遣のように勤務場所が変わり続けたりといった

 人たちを含めると、非正規の比率は45.9%に

 跳ね上がる。政府側統計では、日本の37.9%

 (2014年10~12月期)に近づいており、

 労組側推計では既に抜いている。
 

  (P.034)


これだけでありません。
先の人口の推移グラフでは、右肩上がりに人口増加
傾向にあるように見えますが、「2017年から減少に
転じ」(P.034)るそうです。



 中長期的にボディーブローのように効いてくるのが

 少子高齢化・人口減だ。現役世代の生産年齢人口

 (15~64歳)が、2017年から減少に転じ、2020年頃

 からは人口減が始まると予測されている。

 しかも、高齢化のスピードが非常に速い。

 2013年には出生率が、日本を下回る1.19を記録した。

 全人口に占める65歳以上の人口が7%の「高齢化社会」

 から倍の14%に達するまでに、日本は24年を要したが、

 韓国は18年で到達するという。
 

  (P.034)




韓国は急速に少子化が進んできた<br />・日韓の出生率の推移

韓国は急速に少子化が進んできた
・日韓の出生率の推移

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.034)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号



ポイント

「高齢化社会」へ到達するのは、韓国のほうが日本よりも
速いということです。
少し先の話ですが、2050年時点での韓国と日本の比較
がされています。



 65歳以上人口は2010年には全人口の11%で日本

 (23%)の半分にも満たなかった。

 これが、2050年には一気に37.4%に達し、

 日本(36.6%)を抜いて世界一の高齢国になると

 見られている。
 

  (P.034)


ポイント

生産年齢人口が減少することは、企業にも暗い影を
落とし始めています。



 韓国の主要な社会保障制度は、公的年金と健康保険、

 介護保険など。その保険料率は国民年金が9%、

 健康保険が5.89%、介護保険が6.55%などとなっており、

 ほとんどが労使折半負担だ。

 保険料の計算方法は一部異なるが、今の保険料率は

 日本の半分程度。日本より速く少子高齢化が進むことを

 考えれば、保険料は今後、上昇し続け、日本を上回る

 可能性もある。
 

  (P.035)


韓国の将来に対して、「怖ろしい」数字があります。



 基礎年金増額に必要な財源は、2014年の7兆ウォン

 (約7700億円)から2040年には157兆ウォン

 (約17兆2700億円)に跳ね上がると推計されている。

 一方で韓国の財政は、税収で政策的経費を賄えるか

 どうかを見る基礎的財政収支(プライマリーバランス)

 が2013年から赤字に転じている。
 

  (P.035)


財政破綻への道をジワリジワリと進んでいる様子が
伺えます。


基礎年金増額に必要な財源が2014年から26年後に
は、20倍以上になるということは、韓国首脳陣は認め
たくないことでしょう。




韓国も財政が悪化してきた<br />・基礎的財政収支の推移

韓国も財政が悪化してきた
・基礎的財政収支の推移

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 PP.035)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号





「課題先進国」日本より重たい足かせ

「課題先進国」日本より重たい足かせ

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 PP.034-035)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号





 PART 2 復活への胎動 
 「新韓流」モデル 

大財閥の経営が揺らいでいる一方で、新興企業が
躍進しています。


 アジアで「韓国スタンダード」 


アールサポートという企業があります。
そこの「遠隔サポート」をとても興味深く思いました。


まず、下の図をご覧ください。





NTTドコモも認める韓国のイノベーション
・アールサポートの遠隔サポートの例

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.038)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




この図だけでは分かりにくいと思いますので、
『日経ビジネス』の解説を読んでみましょう。
このようなサポートが今までなかったことが不思議です。



 家電メーカーなどの担当オペレーターが、

 顧客のスマートフォンやタブレット上で、

 製品やその分解写真を矢印などで指し示しながら、

 操作・修理方法を指示する仕組み。

 オペレーターと顧客が画面を共有、

 会話しながら進めるのできめ細かな対応が可能だ。

 アールサポートがこの事業に目をつけたのは、

 アフターサービスには顧客の不満が集まりやすく、

 改善へのニーズが大きいと考えたためだ。

 それなのに、日本も含めたアジアでは、

 多くの企業が旧来型のサービスにとどまっている。


 アールサポートには日本の大手からも注目が集まる。

 NTTドコモは、アールサポートが開発したシステムを、

 スマホの大半に導入した。操作法が分からないときの

 サポートが目的だ。
 

  (P.038)



 ベンチャーを「促成栽培」 

大財閥に以前のような牽引力がなくなってきたことを
受けて、韓国政府は新興企業の支援に乗り出して
います。



 政府はここ数年でさらなる支援を始めた。

 支援ぶりは手取り足取りの「尋常じゃないほど手厚い」

 内容。育成スピードも重視する、「促成栽培」だ。
 

  (P.039)


K-ICTボーンツーグローバルセンターという政府機関の
外郭団体があります。


この団体が、新興企業を手厚く支援しています。
具体的どのようなことをしているのかは、
『日経ビジネス』の解説で概要がつかめます。



 「K-ICTボーンツーグローバルセンター」だ。

 政府機関の一つである未来創造科学部の外郭団体。

 ベンチャーの海外展開を支援するため2013年9月に

 設立された組織だ。


 弁護士や会計士など起業や海外展開に必要な知識を

 持つスタッフ21人が常駐し、彼らとつながりがある外部

 の専門家も支援する。

 事業計画書の作成に始まり、海外進出に必要な法的

 手続きのノウハウ、ビジネススキルを、こうした専門家が

 起業家に叩き込む。
 

  (P.039)





海外進出に向けて手厚くサポート<br />・韓国政府のベンチャー企業への支援

海外進出に向けて手厚くサポート
・韓国政府のベンチャー企業への支援

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.039)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




 大手にも「脱独裁」の兆し 

大手財閥の業績が低下した理由の一つは、
「オーナーが独裁的に会社を動か」(P.040)してきた
からです。


「大手に中でも、これまでと違った動きが出始めた」
(P.040)ということです。


韓国は、序列が厳しいことで知られています。
そのような中で、徐々に新風が吹くようになって
きました。



 役職名では呼ばず、名前で呼び合うことは、

 日本では珍しくなくなってきたが、序列に厳しく

 上意下達の徹底した韓国ではめったにないことだ。

 しかも、オーナー会長が一般社員と対等に言葉を

 交わし合う光景は、まず見られない。
 

  (P.040)


韓国化粧品最大手、アモーレパシフィックでは、
オーナーであり、会長と、一般社員が対等に言葉を
交わし合う光景が普通に見られるそうです。


アモーレの業績を見てみましょう。
着実に業績を伸ばしています。




着実に業績を伸ばし続けている<br />・アモーレパシフィックの連結業績推移

着実に業績を伸ばし続けている
・アモーレパシフィックの連結業績推移

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 PP.0)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




財閥企業はオーナーのトップダウンで、
一方通行の指示に従業員が従うというのが、
習わしでした。


ところが、アモーレは違います。


 風通しをよくして、現場のアイデアが上層部に

 上がりやすくする試みなら、日本企業でもよくある。

 アモーレの特徴は、従来からあったトップダウンの

 スピード感も失わないようにしようとしていることだ。

 それはどんな仕組みなのか。

 会長がまずトップダウンで指示を出し、現場がそれを

 議論した上でなんらかの結論を出し、会長に投げ返す。

 それを受け、会長が最終決断をする。

 あるいは現場から出てきた意見を基に会長が素早く

 判断して動かす。

 これまでの財閥が、トップから下へ一方的に指示する

 「剛速球型」なら、アモーレは「キャッチボール型」とも

 言えそうだ。
 

  (P.041)



サムスンをはじめ、大手財閥の「外国人株主比率が50%
前後に達している」(P.041)そうです。
外国人株主は業績が悪化すれば黙ってはいないでしょう。



 「株主の様々な意見を聞くガバナンス委員会を、

 理事会内に設置することを検討中」

 現代自動車は3月中旬に開いた株主総会で突如、

 こう報告して経済界を驚かせた。

 それには伏線があった。

 昨年秋、ソウル市中心部の一等地をグループの

 本社用地として約1兆円を投じて購入すると決めた。

 このことに対し、外国人株主を中心に「株主価値を

 無視した投資だ」との批判が噴出。

 対応せざるを得なくなったのだ。


 サムスン電子をはじめ、今やほとんどの大手財閥

 では、外国人株主比率が50%前後に達している。

 収益が悪化すれば外国人たちの声が強まり、

 改革の機運が高まることだって考えられる。
 

  (P.041)


財閥企業も変わらざるをえない状況になっている
ことが、よく理解できる話です。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 財閥 
 カリスマ性 
 サムスンの次 
 脱独裁 
 したたかさ 




最終回は、
「PART 3 韓国企業を
 侮るのはまだ早い」
をお伝えします。


ご期待下さい!




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<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(106)

サムスンの次は生まれるか
韓国
脱財閥へのもがき

2015.05.11


今週の特集記事のテーマは

韓国経済を支え、世界を舞台に急成長してきた財閥が今、
もがいている。
原因は、ウォン高や頼みの綱だった新興国経済の低迷だけ
ではない。
独裁型経営や、既にある技術の組み合わせといった「強み」が
通用しなくなったのだ。
スマートフォンの売れ行きが鈍り、収益も伸び悩むサムスン。
崩壊し始める中堅財閥。
一方で、産業構造が大きく転換する中、これまでにないような
革新も生まれている。
続々と世界を目指す新興企業。そこからサムスンの次を担う
企業は現れるのか。
そして、日本企業は変貌する韓国とどう向き合えばいいのだろうか。

 (『日経ビジネス』 2015.0511 号 P.026)

ということです。






(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 表紙)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 PP.026-027)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




今週号の特集は、「韓国」です。
戦時中の慰安婦問題や、閣僚による靖国神社参拝、
竹島をめぐる領有権問題などで、日本との確執が
しばしば取り沙汰されます。


一方、韓国にはサムスンのような財閥企業が多く、
日本企業を凌駕している分野もあります。


『日経ビジネス』特集班は、そんな韓国に対し、
どのように切り込んでしていくでしょうか?
お楽しみください。


尚、『日経ビジネス』特集班はサムスン本社に
取材を申し込んだそうですが、
「『現地での直接取材は難しい』などと明確な
回答は得られていない」(P.029)そうです。


事実上の取材拒否です。



第1回は、
「PART 1 日本人元社員の証言
 サムスンが超えられない壁」
を取り上げます。


第2回は、
「Column 『課題先進国』日本より
 重たい足かせ」
「PART 2 復活への胎動
 『新韓流』モデル」
を取り上げます。


最終回は、
「PART 3 韓国企業を
 侮るのはまだ早い」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 財閥 
 カリスマ性 
 サムスンの次 
 脱独裁 
 したたかさ 




では、本題に入りましょう!


 PART 1 日本人元社員の証言
 サムスンが超えられない壁 


サムスンのスマホ「ギャラクシー」シリーズは、
アップルのスマホ「iPhone」に次いで世界的に
売れています。


しかし、最近、サムスンの業績が急落しています。
どこに原因があるのでしょうか?


4年前、日本人技術者を高報酬で大量に雇い入れ
ましたが、今年になって一斉に退社しているそう
です。


サムスンの急変は何を意味しているのでしょうか?



 パナソニック、ソニー、シャープ…。

 日本の電機大手で働く技術者をサムスンが

 大量にスカウトしていたのは4年ほど前。

 数千万円という報酬や手厚い住宅手当などに

 引かれ、多くの日本人がサムスンに身を投じた。

 今、彼らがこぞってサムスンを去っている。

 今年3月末、プリンターなど複数部門で数十人の

 日本人社員が一斉にサムスンを退社した。
 

  (PP.028-029)


一斉退社する日本人技術者には2種類あり、
自ら退社する人と、「サムスンから契約終了を
突き付けられた人も少なくない」(P.029)と、
『日経ビジネス』は解説しています。



自ら退社を決めた、遠藤直也さんについて触れて
おきましょう。



 4月以降の契約はどうしますか──。

 韓国水原市にあるサムスン電子でプリンター

 部門に勤める遠藤直也さん(仮名)は今年の

 1月、上司に聞かれ、迷わず答えた。

 「延長しません。3月末で日本に戻ります」。
 

  (P.028)


サムスンと日本人技術者との関係に何らかの
変化が生じている、と考えるのが自然でしょう。



 遠藤さんのように契約終了を自分で申し出た

 人もいれば、サムスンから契約終了を突き付け

 られた人も少なくない。これまでもサムスンを

 去る日本人はいたが、これほど多くが一度に

 辞めるのは初めてという。

 サムスンにノーを突きつける日本人社員。

 そして日本人社員をもはや必要としないサムスン。

 今、サムスンの中で何かが変わり始めている。

 それを探ろうと本社へ取材を申し込んだが、

 「現地での直接取材は難しい」などと明確な回答は

 得られていない。
 

  (P.029)


日本人技術者が自ら退社を決めた理由の一つに
ついて、遠藤さんは「新しいことに全くチャレンジ
できない組織なんです」(P.030)と語っています。


この言葉を理解するためには、サムスンの組織と、
サムスンをグローバル企業に育てたイ・ゴンヒ会長
についての理解が不可欠です。



 徹底した成果主義のサムスン。

 現在、病に伏している「2代目」のイ・ゴンヒ会長は、

 「よくやった人は抜てきし、そうでない人は抑え付ける」

 と述べ、結果が出せなければ容赦なく降格やクビの

 処分を下していた。

 権力が集中し、トップダウンの決断がしやすい。

 大規模投資を即決し、圧倒的な量産体制を整え一気に

 シェアを取る。これはサムスンの勝ちパターンで、

 「強み」でもあった。 
 

  (P.30)


下図をご覧ください。
サムスン創業家の家系図です。
2代目のイ・ゴンヒ会長は病に伏しているため、
3代目の長男・サムスン電子副会長、
イ・ジェヨン氏が実質的にサムスンを率いて
います。



同族経営は3代目に突入した<br />・サムスン創業家の家系図

同族経営は3代目に突入した
・サムスン創業家の家系図

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 PP.028-029)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号




ポイント

サムスンの変化を「ハード」から「ソフト」へ軸足を
移した、と捉えることができます。



 機器の進化よりもスマートフォンとの連携や

 クラウドサービスなどのソフトで勝負することで

 挽回しようとしている。この戦略転換に伴い、

 必要な人材が変わった面もある。

 これまでは機器の技術に強い日本人技術者を

 多く採用してきた。現在はソフトに強いインド人

 などに採用の中心が移っている。
 

  (P.031)


ポイント

さらに言えば、部門の経営に失敗すれば、
責任者は降格や解雇という運命にあることから、
先に遠藤さんが語ったように、
「新しいことに全くチャレンジできない組織」
になり、守りに入ったことも大きな理由です。



 部門のトップたちは失敗した場合の上からの

 「罰」を恐れ、現場からの新しい提案には耳を

 傾けず、リスクに挑戦しようとはしない。

 結果、イノベーションは生まれず、特徴のない

 汎用製品を開発、量産し続ける。

 だから、中国企業など新興国勢の台頭により、

 既存の技術を組み合わせたサムスン製品の

 競争力が、あっという間に失われてしまったのだ。
 

  (P.030)


サムスンの業績急落の状況は、次のグラフで一目瞭然
です。


2014年に営業利益が急落<br />・サムスン電子四半期別業績の推移

2014年に営業利益が急落
・サムスン電子四半期別業績の推移

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.029)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号



次のグラフもご覧ください。
「ギャラクシー」シリーズの販売実績です。
営業利益率が大きく低下していることが分かります。
かなり深刻な状況と言えます。


収益率は「S3」シリーズ以降減少<br />・「ギャラクシー」シリーズの発売後6カ月間の販売実績

収益率は「S3」シリーズ以降減少
・「ギャラクシー」シリーズの発売後6カ月間の販売実績

(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.030)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号



韓国国内でも、「ギャラクシー」シリーズの売れ行きが
下降している実態が報告されています。



 ソウル駅近くの龍山駅。ソウルの「秋葉原」と

 評される龍山の電気街に足を運ぶと、

 その廃れ具合に驚く。

 4月の平日。退社時間を過ぎた夕方になっても、

 どの店舗にも人の気配はない。

 「サムスンのギャラクシーを値下げしても、

 誰にも見向きもされない」。

 スマホの新中古品を店頭で販売する男性は

 あきらめ顔だ。
 

  (P.031)


こうした状況を払拭するため、
「新モデルは“ハード回帰”だ」(P.032)
とサムスンが迷走していることが分かります。


最新のギャラクシーS6の出荷価格は9万円を
超えているそうです。ちなみに、S5は8万円
だったということです。


サムスンの3代目、イ・ジェヨン氏についても
触れておきましょう。
「エリート」ですが、ひ弱さも露呈しています。



 迷走するサムスンを今、事実上率いるのが、

 病に倒れたオーナー、イ会長の長男で、

 3代目に当たるイ・ジェヨン副会長だ。

 米ハーバード大学を出て英語と日本語を

 流暢に話す。厳しい信賞必罰の手法で

 会社をまとめたイ会長とは正反対で、

 「穏やか」「スマート」という社内評だ。

 しかし、イ会長のようなカリスマ性に乏しく、

 既にいくつもの事業を失敗、頓挫させて

 しまった経験も持つ。

 兄弟との激しい権力闘争を勝ち抜いて

 トップの座を射止めたイ会長とは違い、

 イ・ジェヨン副会長は2人の妹とも今のところ

 確執は報じられていない。

 英才教育を極め帝王学も受け継いでいる

 はずだが、会長の長男であることが後継者に

 選ばれた最大の理由だろう。
 

  (P.032)



韓国には財閥企業が多いことが知られています。


次の表に掲載されている5社は日本でもよく知られた
企業ばかりです。その中で、サムスンがダントツの
存在であることが理解できますね。


 


(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.033)
日経ビジネスDigital 2015.05.11 号



上記トップ5大財閥の下に、中堅財閥が
ありますが、「ここ2年余りで、破綻や
経営危機が相次いでいる」(P.032)そうです。



 韓国ではここ2年余りで、中堅財閥の破綻や

 経営危機が相次いでいる。

 セメント大手の東洋グループ、食品、化学などの

 熊津グループ、造船、海運のSTXグループなどは

 経営危機が表面化し、昨年は30大財閥の内、

 中堅以下を中心に9社が最終赤字に沈んだ。
 

  (PP.032-033)


その原因について、『日経ビジネス』特集班は
次のように指摘しています。



 ウォン高や新興国経済の低迷、中国の追い上げ

 による輸出不振などが要因とされる。

 もちろん、そうした面はあるだろうが、

 根っこに横たわるのは、独裁型オーナー経営の

 限界だ。
 

  (P.033)


具体例を挙げています。
STXグループのトップの「末路」です。
独裁者となり、裸の王様になってしまったのです。
こうなってしまうと本人はもちろんですが、
そこで働く社員も悲惨です。



 STXは、双竜重工業のサラリーマン社長だった

 カン氏が、私財を元に同社を買収し、

 2001年にSTXとして再出発した。

 M&A(合併・買収)で手に入れた企業を上場させ、

 資金を回収して次のM&Aを行う手法で事業を拡大。

 10年余りで中堅財閥へと駆け上がった。

 
 いわばグループ内での仕事の「付け回し」により

 需要を膨らませ、成長し続ける、というビジネス

 モデルである。

 事業拡大のために負債が積み上がっても、

 このビジネスモデルで売り上げが伸びれば、

 銀行は融資に応じた。

 拡大一辺倒の経営が暗転したのが2008年秋の

 リーマンショック。海運の需要が急落し、

 大打撃を受けた。

 だが、カン氏の暴走は止まらなかった。


 カン氏の蹉跌は、吟味が不十分でもトップが即決

 するワンマン経営のもろさだった。

 「リーマン後の需要急減時期にビジネスモデルを

 検討し直した方がいいと諫言する役員もいたが、

 皆飛ばされた」。
 

  (P.033)


部下の諫言に耳を貸そうとはしなかったのです。
その結果、不正が発覚し逮捕に至ったのです。



 そして強気の言葉の後には必ず、こう言った。

 「景気は間もなく回復する」。そして、行き詰まった。

 2014年初め、会長を辞任。間もなく逮捕され、

 グループは崩壊した。
 

  (P.033)


自分が見えなくなってしまったのでしょう。
己を客観視できなくなった時が、終わりなのかも
しれません。




今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 財閥 
 カリスマ性 
 サムスンの次 
 脱独裁 
 したたかさ 




次回は、
「Column 『課題先進国』日本より
 重たい足かせ」
「PART 2 復活への胎動
 『新韓流』モデル」
をお伝えします。


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地味でいい、堅実に成長

柵山 正樹 (さくやま・まさき) 氏

[三菱電機社長]


 2020年度というのが我々の創立100周年なんですね。

 その節目の年に三菱電機グループをどういう企業体に

 すべきか、ということを考えて、今回の目標を設定して

 います。2020年度までに達成すればいいという意味で、

 2020年度に達成しようと思っているわけではありません。


 2015年度は、その目標に向けて具体的な行動を開始

 する年だと考えていますが、現在の景気が一本調子で

 続けば、ひょっとすると2018年度とか2019年度で達成

 するかもしれません。


 産業メカトロニクス分野が稼ぎ頭なんですが、

 そのうちFA(ファクトリーオートメーション)が、

 中国で非常に成果を上げています。


 最終的な組み立て産業だけではなくて、

 もっと上流側から産業の高度化を図っていく。

 その過程で、付加価値の高いFA設備はさらに必要に

 なるはずです。


 私たちは「8つのドライバー」ということを言っています。

 交通や電力、昇降機、FA、自動車機器、パワー半導体、

 空調、宇宙ですね。これらをしっかり伸ばしていきます。

 中でも、FAや自動車機器、空調というところが非常に

 大きなドライバーになってくる。


 家庭から宇宙までいろいろ幅広い事業をやっていて、

 それはそれで強みの一つになってきていると思います。

 また、安定性という意味では、事業の中核にある社会

 インフラ系事業、交通や電力、昇降機などは比較的

 景気の変動の影響を受けにくい事業です。


 一方で、景気の変動を若干受ける分野もあります。

 産業メカトロニクスとか、電子デバイス、家庭電器です。

 私どもとしては、景気変動の影響を受けにくい事業と、

 受けやすい事業のバランスが重要だと思っています。


 必要なM&Aであれば考える準備はあります。

 我々に欠けている技術領域やマーケットを補完する

 ものです。ただ、何かを買ってきて今ある8つの

 ドライバーを9つに増やそうという考えは全くない。

 あくまでも、既存の8つのドライバーをさらに強くする

 ために必要なM&Aなら検討に値するという意味です。


 空調分野を伸ばしていこうと思うと、ある国や地域の

 市場を強化するには、我々が得意とする製品だけでは

 足りない部分があったりします。一例が米国市場で、

 米国のユーザーの空調は、外部の空気を一緒に混ぜる

 文化がある。日本みたいに、循環して空調をするわけ

 ではなく、米国ならではの要求があり、そういうものに

 対応していく必要がある。


 政府が開発したり、共同開発したり、調達したりする

 戦略の中で、我々の役割を果たしていく。

 もちろん、そこで開発した技術を民生転用していくもの

 は出てくるでしょう。例えば自動車の衝突防止用の

 レーダーなどは、防衛産業向けの技術研究開発で

 蓄積したものを民生転用していて、このようなことは当然、

 今後もあり得ます。


 私たちが強みを持っているのは、デジタル製品ではなく、

 もう少しアナログな社会インフラ系の製品です。

 その領域で10年後、20年後に必要な技術は何か、

 という考え方をしています。

 持続的成長というのを考えると、そのための仕込みが

 必要です。今振り返ってみても、フルSiC(炭素ケイ素)

 のパワー半導体も、20年近く前から開発しているんですね。


 当然今も、その次を仕込まなければなりません。

 別にパワー半導体だけじゃなくて、いろいろな領域で

 10年先、20年先に花開く技術というのは、

 今から仕込んでいかないとモノにならないと思います。


 我々は2000年代の初めから成長戦略を「VI戦略」「AD戦略」

 と言ってきました。VIというのはビクトリーで、「強いものを

 より強くしていく」ということで、これは今まで非常に成功して

 きた。「AD戦略」というのが、その強いものをコアにソリューション

 を作っていこうという戦略で、ずっと10年以上前からその基本

 戦略はあるんですけど、なかなか成果として上がってこなかった。


 今一番やらなければと思っているのが事業間連携です。

 そのためには、評価の仕組みというのが大事です。

 つまり、複数の事業本部が関わった時に、その成果をどう分配

 するのか仕組みとして作り上げねばなりません。

 今後は、この事業間連携の加速策を優先的に考えていきたい。


 私は地味でいいと思っています。それは決して、「成長を急がない」

 という意味でもないですよ。足元はしっかりとやりつつ、

 長く安定成長するために手を打っていく。

 そうしないと持続的な成長は実現できません。

 地味でも、そういうことを着実にやっていく会社でありたいと

 思っています。
 

  (PP.060-063)




三菱電機社長 柵山 正樹 氏

三菱電機社長 柵山 正樹 氏
(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.061)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.11






キーセンテンスは、 強みをさらに強化する です。

三菱電機というと、私たち消費者にはあまり
馴染みがないというのが、実感ではない
でしょうか。


家電ではテレビ関連の製品などがありますが、
今ひとつインパクトが感じられません。


ですが、BtoB(企業間ビジネス)では、
エレベーターの製造やメンテナンス事業や、
タービン発電機などインフラに関連した事業で
欠かせない存在となっています。


三菱電機は、コアビジネス(中核となる事業)を
8つに絞り込んで、強化していく戦略を実行しよう
としています。


社内にある技術を擦り合わせて、世の中にない
ものを製品化していくために、10年先、20年先
という長期的視野に立って、研究開発を行なって
います。


そこで大切なことは、社内での「事業間の連携」
です。これなしには「強みをさらに強化する」こと
は不可能です。


将来の事業につながりそうなシーズ(種)を見つけ、
長い時間をかけて育てていくという戦略で、
芽が出て花が開きそうな製品は、
柵山さんが語っている「フルSiC(炭素ケイ素)の
パワー半導体」です。


最初からニーズ(需要)がある場合は、それに対応
した製品づくりが必要になりますが、マーケットが
小さかったり、競合企業が多数存在する場合
(レッドオーシャン)には、価格競争に陥り、
なかなか利益が出せません。


難しいことですが、競合が少なく、オンリーワンの
技術を有効化できる場合(ブルーオーシャン)には、
その製品を凌駕する製品が世の中に出現するまで、
継続的に稼ぐことができます。


三菱電機は今、業績が好調です。
だからこそ、10年先、20年先を見据えて投資していく
姿勢を強めています。


「編集長インタビュー」の記事の直前に、
「企業研究」シリーズが掲載されています。


今週号は「三菱電機」を取り上げていました。
その中から、少し記事をご紹介します。


もうしばらくお付き合いください!





 朝8時の小田急線代々木上原駅。

 新宿行きの通勤電車がブレーキをかけながら

 駅へ滑り込んでくる。小田急電鉄がリニューアルし、

 この1月から営業運転が始まった「1000形」車両だ。

 新型の鉄道車両用インバーター装置を搭載しており、

 大幅な省エネ化が実現できている。

 その効果は定員乗車時で約20%、満員乗車時には

 最大36%もの消費電力が改善されている(いずれも

 従来車両比)。


 鉄道を駆動させる新型の鉄道車両用インバーターは

 「フルSiC適用VVVFインバーター装置」と呼ばれる製品。

 三菱電機が独自開発し、世界で初めて鉄道車両に搭載

 された。


 足元では堅調に成長を続ける三菱電機。

 2014年度は、売上高が4兆2400億円(前年同期比

 4%増)、営業利益は2900億円(同23%増)となる

 見込みだ。

 
 2020年度までに、売上高5兆円、営業利益率8%以上

 などの経営目標も、現状の成長ペースを続ければ前倒し

 での達成が予想されている。


 フルSiCパワーモジュールの開発と製造を担うデバイス

 部門との連携は、車両システム部門だけでなく、

 昇降機や自動車部品の部門とも進んでいる。


 柵山社長は手綱を緩めない。「鉄道車両向けなどの

 応用事例は、事業間連携の象徴的なもの。

 だが、もっと加速させる。

 我々のいろいろな事業本部が持っている技術、

 製品を組み合わせて、さらに競争力の強い新製品を

 生み出すことが重要」。こう強調する。

 

  (『日経ビジネス』 2015.05.11 号 PP.056-059)





過去最高益を更新見込み
・三菱電機の売上高と営業利益の推移
(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.057)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.11







事業ごとの連携を強化する
・セグメント別売上高構成比(2013年度)
(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.058)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.11





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