2014.08.11・08.18
守安 功 (もりやす・いさお)氏
[ディー・エヌ・エー社長兼CEO (最高経営責任者)]
(従来の携帯電話が中心の)ブラウザーゲーム
から、スマートフォン(スマホ)向けのゲーム
アプリへの移行が遅れた、ということに尽き
ます。理由は2つあります。
一つは、過去のブラウザーゲームをスマホの
ブラウザーゲームでも遊べるよう移植した時に、
そこそこ使われ、課金売り上げもかなりあった
こと。それなりに手応えがあったがゆえに判断
が遅くなったという反省があります。
アプリへの移行が遅れたもう一つの理由は、
社内リソースの転用が難しかったことです。
ゲームアプリを作ろうと思っても、エンジニア
の多くはブラウザーゲームには強いがアプリ
には不慣れということも多く、すぐに対応でき
ませんでした。
絶対にヒットを出さなければいけない。
会社的にはもう絶対です。
ゲーム事業は当社の柱だと思っています。
一時に比べれば収益力は落ちているものの、
まだ大きな利益を生んでいる。スマホを主軸
としたビジネスでゲームに並ぶ規模の産業は
ありませんし、まだまだ有望な市場です。
しかも我々のノウハウもたまってきている。
チャレンジすべきでしょう。
新規事業について重点的に取り組んでいる
テーマが2つあります。
一つがスマホ上でプラットフォームになり得る
ようなサービス。もう一つは、近年大きなうねり
が来ていると思っている、リアルの業界構造を
ガラリと変え得るようなサービスです。
重点領域を2つ設定しています。
一つが、我々がIP(知的財産権)事業と
呼んでいる、いわゆる新しいコンテンツを
生み出すプラットフォームです。
代表例が新作マンガをスマホで無料で
読める「漫画ボックス」。
検討段階ですが、アニメのプラットフォーム
も始めたいと思っています。
コミュニケーションも重点領域に捉えています。
ここはLINEが非常に強くて、我々は「comm」
というアプリで戦って惨敗しました(笑)。
それでもコミュニケーションの領域は大きく、
まだまだ戦う余地はある。
IPとコミュニケーション、この2つがなぜいいか
というと、我々のゲーム事業と親和性が高く、
シナジーの利く事業構造を作りやすいのです。
優良なコンテンツが出てくるとゲームでの
マネタイズ(収益化)につながります。
「DeNAショッピング」をはじめとするEC事業は、
それなりに利益が出ていて、“お荷物”の事業
というわけではありません。ただ、何が問題か
というと、一言で言えば、特徴がない。
物販も旅行も全体の規模では勝てないとしても、
特徴を磨いて、特化したところにおいては
ナンバーワンになりたいと思っています。
南場は「ビヨンド・ザ・グーグル」と言って
いましたが、僕も負けず嫌いなので、
世界で一流のインターネットの会社にしたい
ですね。

写真右の向かって左は前社長、南場智子氏。
(『日経ビジネス』 2014.08.11・18 合併号 P.070)
2011年6月25日、代表取締役社長兼CEOの
南場智子さんが、病気療養中のご主人の看病
を優先するため、代表権を返上し一取締役と
なりました。(ディー・エヌ・エーWikipedia から)
守安さんは、社長兼CEO (最高経営責任者)に
就任後、3年が経過しました。
ディー・エヌ・エーはスマホ事業で出遅れた
ことを認めています。携帯電話向けブラウザー
ゲームが好調だったためです。
対照的に、LINEは携帯電話向けゲーム事業が
不調だったため、スマホへ一気に軸足を移し、
コミュニケーション事業で、国内で一人勝ち
しました。
そのLINEにしても海外ではライバルが多く、
その中でも先頃 facebookが買収したWhatsAppは、
手強い相手です。
日経ビジネスは、
「(フェイスブックが)スマートフォン(スマホ)
向けメッセンジャーアプリ『WhatsApp』を提供する
米ワッツアップを190億ドル(1.9兆円)で買収する、
と2014年2月に発表した」
と伝えました。
(日経ビジネスの特集記事(58) 新・通信覇者
アプリVSキャリア、乱戦の行方(1) 参照)
さらに、中国のテンセントが運営するWeChatも
侮れない存在です。
「2004年には香港証券市場に上場し、
時価総額は13兆円を超える。
このテンセントが提供するメッセージアプリが
ウィーチャット」
(日経ビジネスの特集記事(58) 新・通信覇者
アプリVSキャリア、乱戦の行方(2) 参照)
LINEにとってはこちらも、手強い相手です。
このようなコミュニケーション事業は群雄割拠
しています。
ディー・エヌ・エーはまだコミュニケーション
事業に未練を持っているようですが、
現在の状況では勝ち目はありません。
別の土俵で勝負したほうが勝算がある、
と思います。
さらに、ショッピングや旅行事業で、
ニッチ分野でナンバーワンになりたい、
と守安さんは述べていますが、
小さな会社ならいざしらず、
これだけ本体が大きくなって、
これらの事業に旨味がある、とは思えません。
新規事業として8月12日から遺伝子解析サービス
「MYCODE(マイコード)を開始しました。
料金(税抜)は、すべての検査項目を網羅した
「オールインワン280+」が29800円、
がん・生活習慣病・体質など100項目を選んだ
「ヘルスケア100+」が19800円、
肥満・肌質・髪質など体質に関する30項目を
選んだ「カラダ30+」が9800円。
(DeNA、遺伝子検査サービス「MYCODE」を提供開始
MdN DESIGN INTERACTIVE から)
この事業が収益を伴う事業に成長するかどうかは、
未知数ですが、ディー・エヌ・エーは事業の柱の
1つに育てていこう、と目論んでいます。
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