今週の言葉(50) 株主に説明できるか その一点において ぶれないことが大切です | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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株主に説明できるか
その一点において
ぶれないことが大切です


鵜澤 静(うざわ・しずか)氏
[日清紡ホールディングス会長]




 今年で日清紡は創業107年目を迎えました。

 紡績業が始まりですが、今や繊維事業の

 売り上げは全体の約10%。


 2005年11月、多角化の一環として、

 エレクトロニクス技術を持つ新日本無線という

 会社を買収すべくTOB(株式公開買い付け)

 を実施していた時のことです。


 村上ファンドが対抗的TOBを仕掛けてきました。


 当社の買い付け価格840円に対しファンド側は

 900円でTOBすると言う。これにどう対応するか。

 私は常務の立場にあり、本件の実務担当でした。


 当社が出した金額は880円と20円下回る価格。

 当社の社長と担当専務は、

 「これで買収できなかったら諦めよう」と言い切った。
 
 
 最も重視したので株主です。

 私どもは出資者からお金を預かって経営している。

 会社の体力を考えれば高い価格を出せたが、

 買収後のリターンも含め経営計画をベースに

 弾き出すと、あれ以上高い価格で買うと計画が

 成り立たなくなる。それでは株主に説明がつかない。

 「会社は株主のもの」との一点において社長は全く

 ぶれなかった。大した胆力でした。


 彼らは結局手を引き、私どもは予定通り買収を

 完了できました。一方、このTOB経験が当社の

 ガバナンス見直しにつながった面もありました。


 現在、自動車向けブレーキの摩擦材が主力事業

 の一つです。社長時代、この事業を強化すべく

 摩擦材で世界2位のドイツを拠点とするTMDを

 買収、トップ企業となりました。買収額は当社史上

 最大でしたが、この交渉でもぶれないことが

 生きました。


             (2014.07.28号から)





鵜澤さんの話の中で、ポイントは2つあります。
1つは、業態変更です。
もう1つは、ステークホルダー(利害関係者)
についてです。


業態変更について
企業が永続していくためには、時代の要請に
対応し、変化していくことが大切です。


「脱皮できない蛇は死ぬ」
という言葉があるように、世の中の変化の波に
乗り損なうと、企業は衰退してしまいます。


強みが弱みに変わることがあります。
製品にはライフサイクルがあり、S字カーブと
言われるように、従来品以上の性能を持ち、
低価格の製品が出てきます。
新製品に従来品が駆逐されることになります。







経営トップは、短期(1年以内)の業績だけでなく、
中期(5~7年)、長期(10年以上)を見据えた経営
の舵を取る責任があります。


ステークホルダーについて
鵜澤さんは欧米的な発想で、「会社は株主のもの」
という考え方を通して、村上ファンドに対抗し、
新日本無線を買収しました。


高価格で買収すれば、収益に悪影響を及ぼす
可能性があり、株主利益を毀損することになり
かねません。


ただ、日本企業の多くは、ステークホルダーは
株主だけでなく、顧客、取引先、社員、社会を
含めて考えます。


現実的には、これら全てのステークホルダーの立場
を考慮するとは限りませんが。


どちらにせよ、経営者には株主にアカウンタビリティ
(説明責任)がありますから、「ぶれないことが大切」
です。



 


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