STAP細胞に関する事実の検証(第2回) | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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STAP細胞に関する事実の検証(第2回)


前回の記事を読んで、
どんな感想を持たれましたか?


誤解されたとしたら、
私の不徳のいたすところとなりますが、
この連載を決めたのは、
断じて興味本位ではないということです。


この点だけはご理解ください。


事実は事実として知りたい、
という気持ちからです。


STAP細胞、失墜の連鎖 ② 空疎


 「不正防止には奇策は必要なく、

 科学者として当然の振る舞いを徹底させる

 ことに尽きる」。

 東工大理学系長の西森秀稔は、自戒を込めて

 こう語る。仮に理化学研究所が同じ観点で

 精査していれば、小保方晴子の不正は未然に

 防げていただろう。
 

  (『日経ビジネス』2014.07.07号 P.078 以下同様)



 研究不正は、今に始まった問題ではない。

 韓国のヒトES細胞の成果捏造や

 米ベル研究所の論文不正、国内でも

 2000年以降に報道されたものだけで

 80件超の捏造・改竄(かいざん)が

 明らかになった。不正がやまない背景には、

 「プロフェッショナル」としての研究者を

 育てきれない、教育の現状がある。
 

  (上掲誌 P.078)



 大学の理系学部は「研究のイロハ」を教える

 講義を設けている。小保方が通った早稲田大学

 も例外ではない。学部1年次の理工系学生を

 対象にした「基礎実験」を必須科目に指定。

 ノートの書き方や不正の定義にまで踏み込んだ

 授業内容は、海外からの留学生が「先進的」と

 驚くほどだ。
 

  (上掲誌 P.078)



 実験ノートは本来、個人の所有物ではなく、

 公共財だという認識を持たない学生が増えた

 との嘆きも聞こえる。

 “なまもの”は特別だから――。

 細胞や生物を扱う生命科学を、研究者たちは

 こう表現する。
 

  (上掲誌 P.078)



 ノートが成果主義のため、そして不正の疑い

 から研究者自身を守るために不可欠なものだ

 という指導は、置き去りにされてきた。

 研究者教育の形骸化には、日本の研究機関が

 置かれた窮状も影響している。

 科学技術立国の下に、1,990年代後半に始まった

 「ポスドク1万人計画」特任・特別などの

 任期制研究者が溢れた結果、

 「組織としての倫理や価値観の共有が困難に

 なった」(東工大副学長の植松友彦)。
 

  (上掲誌 P.078)

(敬称略)




<私の感想と考え>

「ポスドク1万人計画」は、司法試験合格者を
増やすために国が行った施策と同じ様相を呈して
います。雇用が不安定なのです。


ポスドクとは、
「「ポスドク」とは、ポストドクターの略。
博士課程を終了し、常勤研究職になる前の研究者で、
全国におよそ1万人以上がいるといわれている。
若手の研究者の多くは大学などの「ポスドク」
(非常勤職員)として雇用され、我が国の研究活動
を支えている」
という存在です。

kotobank から)



ポスドクの人数の推移01

内閣府の資料 から)


ポスドクの人数の推移02

内閣府の資料 から)




米国並みに法曹界の人材(とりわけ弁護士)を
増やそうという国策の下に、法科大学院を増設させ、
司法試験合格ラインを下げ、司法試験合格者を年々
増加させてきました。


10年前と比較すると、弁護士数は倍以上の3万人
を超えています。


弁護士数の推移





弁護士資格者の増加に反比例するかのように、
訴訟件数は年々減少しています。


訴訟数の推移





弁護士事務所は、訴訟数が減少しても、高度な
専門性を必要とする訴訟があるため、
ベテラン弁護士を確保することを優先しました。


一方、経験の乏しい弁護士資格者の採用を控えて
きました。育てる余裕がなかったからです。
弁護士事務所も商売ですから、即戦力が必要
だったのです。


弁護士が溢れ、弁護士事務所に勤務できない人が
います。


弁護士事務所は、弁護士の、ひいては弁護士事務所
の質の低下を恐れたのです。


量が増えれば、質が低下するというのは自然の摂理
です。トレード・オフ(二律背反)の関係にあります。


弁護士事務所が、弁護士として経験年数が少ない人
の採用を控えてきたため、社内弁護士を雇う企業が
増えてきているそうです。微々たるものですが。


2014年7月17日にテレビ東京の「ワールドビジネス
サテライト」は、社内弁護士を取り上げました。
ソフトバンクが17人で最も多いそうです。


ただし、社内弁護士は日常業務で法令が遵守されて
いるか、社内マニュアルに不備がないか等に専念し、
訴訟が起これば顧問弁護士の登場となるそうです。



組織内弁護士数の推移 日本弁護士連合会のサイトより)





製品の不良品率の少なさを示す指標に、
「シックスシグマ」があります。


この考え方を導入したのは、GE(ゼネラル・
エレクトリック)の元CEO(最高経営責任者)の
ジャック・ウェルチです。


「シックスシグマ」とは――。


 「100万回の作業を実施しても不良品の発生率を

 3.4回に抑える」ことへのスローガンとして

 シックス・シグマという言葉が使われ、

 定着していった。
 

 (シックスシグマ Wikipedia より)


製造業では、この指標を用い、不良品率を限りなく
ゼロに近づけることは可能かもしれません。


ですが、こと人間となるとなかなかそう簡単には
いきません。型にはめられることをよしとしない
人がいるからです。


工業製品なら「鋳型」にはめて同品質の製品を
多数製造することはできます。


そうした決定的な違いがあります。


研究の不正については、
『医師、看護師、薬剤師の秘密』(20)
カリスマ心臓外科医が明かす驚愕の真実(2)

の中で触れました。


カリスマ心臓外科医の南淵明宏さんが、
『異端のメス 心臓外科医が教える
病院のウソを見抜く方法!』
(南淵明宏 講談社文庫 2011年9月15日
第1刷発行)
に書いている事柄を掲載しました。

一部だけご紹介しましょう。


 2005年9月、東大で研究データを捏造した

 疑惑が発覚した。DNAに関する研究データ

 を捏造した疑いが強く、その架空データを

 もとに世界的科学雑誌で論文を発表したとされ、

 事実であれば許し難い行為だ。

 「事件結果には自信があるが、それを裏付ける

 物的証拠を提出できず、深く反省している」と

 担当教授は弁解していた。
 

 (上掲書 PP.90-91)


残念ながらこうした悪弊はなくならないのです。


詳細は、下記のブログをご覧ください(再掲)。


STAP細胞の作製に関するマスコミの対応について


この一連の騒動により、英科学誌「ネイチャー」
への掲載論文は撤回されました。


私はこのようになる可能性が高くなった時点で、
PDFに保存しました(再掲)。


参考までに下記のPDFをご覧ください。
もちろん、英文ですし専門用語だらけですので、
理解することは極めて難しいことですが、
参考資料として考えていただければ、
よろしいかと思います。


この論文の共同執筆者に東京女子医大の大和雅之
教授の名前があります。さらに2名のバカンティ氏
も掲載されています。


Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells
into pluripotency





第3回へ続きます。





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