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日経ビジネスの特集記事(62)
「人財不足」解消計画
人事部こそリストラ
2014.06.23
今週の特集記事のテーマは
人事は経営の根幹。
役割を再構築するリストラが必要だ。
経営者と現場をつなぐ、
新たな人材マネジメントが
生まれている
というものです。
人事部は人事権を握っているため、社員に対して
強面で接する人が多かったな、というのが実感です。
私はサラリーマン生活が30数年間ありましたが、
その間に最長で約20年間勤務した会社の他に、
5社を経験しています。すべて異なる業界で
6業種です。
30数年間を通じて、経理部門が最も長く約25年で、
営業部門が6年、在庫管理部門が1年半でした。
勤務先によって名称は異なりましたが、人事部や
人事権を持つ経営者層の人たちは、上から目線で、
権力を笠に着て威張り散らす人が多かった、
と記憶しています。
この印象は、私の個人的なものかもしれません。
人事部員はいわゆる「優秀」な人たちでしたが、
それは学問的に、理論的に優れたことを示すだけで、
実践できない人たちが多かったですね。
理論と実践は、何事においても切り離せない、
「車の両輪」のように大切なものですが、
一方に偏る傾向がありました。
人事部に属する人たちは、「アカデミック・スマート」
の人たちが大多数です。
アカデミックスマートについて、勝間和代さんが、
『高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人』
(小学館101新書)
の中で次のように書いています。
(上掲書 P.12-13)
日本人は、「アカデミック・スマート」
であること、つまり学歴が高いとか、
与えられた勉強に対してよい成績が
取れるということが重要だということを、
親や先生、いわゆる「世間」から徹底的
にたたき込まれます。
東大卒や早慶卒の肩書きを欲しがり、
高校も、そういった大学への進学率を
誇ります。
問題処理能力があり、即座に解を出す
能力を持っています。
日本に限ったことではありませんが、
いわゆるアカデミック・スマートの
大きな問題点は、難しい問題は避けて、
易しい問題を解こうとする傾向がある
ことと、難しい問題は「解いたふりをする」
ことがあるということです。
実際、アカデミック・スマートが集まって
いる、日本の官僚制度を見ると、その根深さ
が分かると思います。
では、本題に入りましょう。
人事部をリストラしたり、なくした企業の事例を
ご紹介していきます。
本特集記事の概要を読まれて、あなたはどの
ような感想を持たれたか、とても興味があります。
PART1 勝負は「人」で決まる
人事は経営の根幹
1社目は、八木洋介・LIXILグループ執行役副社長
が語る、「世界で勝つためには、人材による差別化
が欠かせない」という視点です。
重要な指摘と考えられる意見を引用していきます。
(P.026)
厳しい競争を勝ち抜くために、持ちうる
限りの人的資産を総動員してグローバル
ビジネスの土俵に立っている。今のまま
の日本企業では、到底、世界で勝つこと
はできない。
私は常々、「人で勝つ」と言ってきた。
人事は経営の根幹だ。どんなに優れた
経営戦略だとしても、実行する人によって
成果は変わる。人材の差別化こそ、
厳しい競争と変化の時代で勝つための
競争力だと認識すべきだ。

(『日経ビジネス』 2014.06.23号 P.026)
これらの言葉を聞くと、FIFAワールドカップ・
ブラジル大会における、日本チームの現状を
語っているように思えました。
「日本らしいゲームをする」という言葉が、
選手たちからよく出てきましたが、組織力と
言っても、組織を構成しているのは個人です。
個人の力が高いレベルに到達していなければ、
勝つことはできない、という現実を突きつけ
られたと感じました。
前回大会優勝国のスペインが、グループリーグ
で敗退したという現実は、4年前に通用した
スペインの「パスサッカー」という強みが劣化
したことを示しています。
W杯を連覇することが、いかに至難の業であるか
を示していると言えます。
南米開催のW杯で欧州勢は1度も優勝したこと
がない、というジンクスがいまだに生きている
ということなのでしょうか。
決勝戦が気にかかります。
(P.026)
ヒト・モノ・カネの経営資源のうち、
ヒトが最も伸びしろが大きい。
装置はコピーできても、人材はコピー
できない。人事制度やルールを作っても、
人の生産性が倍になることはない。
だが、言葉一つで5倍、10倍と働く。
(P.026)
大半の社員は普通の人。普通の人は理屈
に合った正しいことを好み、理不尽を嫌う。
人は「感情の動物」であることの証しです。
(P.026)
もう一つ言いたいのは、人事部は人事権を
手放すべきだということ。
現場が、自分たちのビジネスに必要な人材
の人事権を持つのが正しい。
人事部の役割は、現場の判断をサポートし、
正しい見識を伝えること。人と組織を使って
勝つための道筋を作るのが、戦略的な人事部
のあるべき姿だ。
八木さんはGEに勤務していたので、
日本ではかなり大胆な意見と受け取られやすい、
と思われますが、世界で勝つためには当然のこと、
と考えているからでしょう。
八木さんは日本GEなどで人事リーダーを務めて
きた人物だけに説得力があります。
八木さんへのインタビューを通じて、日経ビジネスは
下記のようにまとめています。
(P.027)
グローバル化を阻んているのは人材不足であり、
ダイバーシティーの遅れだ。新規事業の開拓に
必要な、社員が自律的に考え挑戦する風土にも
欠ける。
人と組織の価値を最大化する役割を担っている
はずの人事部門が社内で信頼を失っている。
私が勤務した企業と、他企業とで大差ないことが
分かりました。
PART2 人事部解体から始まる再生
PARI1では、「人事部は人事権を手放すべきである」
という話でした。
次のケースは人事部そのものを解体して、名称を
変更するだけでなく、役割を再定義したものです。
りそなホールディングスの改革に尽力し、成果を
上げながら亡くなった、細谷英二・元りそなホール
ディングス会長の一連の改革を示すものです。
細谷さんはJR東日本旅客鉄道出身です。
2003年に就任しました。
細谷さんが即断即決したことは、「『人事部』を
廃止し、『人材サービス部』に、『頭取』『行員』
の呼称を『社長』『社員』に変更した」(P.028)
ことです。
さらに、「女性管理職比率を高めた」(P.028)
ことです。
いずれも銀行ではありえないことですね。
りそなホールディングスの『人材サービス部は、
「『我々は汗をかく人事』。直江部長は笑う。
現場との
間に引かれた線を超えたい。そんな思いから、
現場に近い新しい人事を心がけている」(P.028)
(P.028)
女性幹部を育成する研修にも積極的で、
同社の女性管理職比率は現在17%と、
他の大手銀行に比べて高い。
細谷さんの改革には、紆余曲折がありました。
人事部を廃止し、全国を30地域に振り分け、
元人事部の社員を配置したそうです。
本社に集中していた人事権を地方へ委譲する
ことで、「中央集権」から「地方分権」への
仕組みを構築したのです。
ところが、地域で優秀な社員を抱え込む弊害が
噴出し、地域間や本社への異動の発令がしにくく
なったそうです。
そこで、2008年に人事権を本社へ戻すことに
しました。
ただ、以前と変わったことは「現場ファーストの
意識を持ち、本社に戻ってきた」(直江部長)
(P.029)ということです。
それでも、「『改革はまだまだ続く』。直江部長
は話す」ということです。
「改革に終わりはない」ということです。
改革を止めれば、衰退が待っている、
と考えるべきです。
不断の改革が、企業を大変革させることがあります。
次回は、「PART3 社員が明かす人事への本音」
他をお伝えします。
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