日経ビジネスのインタビュー(117) 革新こそ企業のハートだ | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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革新こそ企業のハートだ
2014.04.14

アレックス・ゴルスキー(Alex Gorsky )氏

[ジョンソン・エンド・ジョンソンCEO(最高経営責任者)]



 ただ闇雲に事業を広げていても、
 
 意味がありません。

 どこに重点を置いて競争していくのか

 ということは、しっかりと見定める

 必要があります。

 そこで、いくつかの明確な基準を

 決めました。


 我々がマーケットリーダーであるのか、

 もしくは既存技術に対して補完的な働き

 ができる分野なのか。

 将来的に会社の競争力を高める方向に

 導いてくれるものか――。


 これらの基準に合致しない事業や技術は、

 むしろ他社の手にゆだねたほうが、

 事業そのものとしてはさらなる成長が

 期待できるのではないか。


 そういった事業を手放すことで、

 経営資源を集中させられるのでは

 ないかと考えたわけです。


 M&Aを実行する場合には通常、

 時間をかけてさまざまな要素を検証

 します。

 一方で、市場がめまぐるしく変化して

 いる局面では、迅速な経営判断が求め

 られます。


 我々と他社、外部の研究機関などの

 技術を組み合わせることで、開発期間

 を短縮できるという利点が生まれます。

 でも、それだけではありません。

 オープンイノベーションを通じて、

 “事業のタネ”を得るチャンスも

 広がります。


 クレドは創業者がつくった信条のことで、

 責任をうたっています。

 その対象は患者であり、地域社会であり、

 社員、そして株主でもあります。


 そこには我々の価値観や哲学、期待、

 希望を盛り込んでいます。

 単なる壁に張ったお題目ではないのです。


 困難な時こそ、真の意味でクレドが役に

 立つのです。

 つまり、クレドがあることによって

 我々がどういう決定をすべきであるか

 という答えを導き出すことができるの

 です。


 当たり前なのですが、最も重要なのは

 良い業績を上げたかどうかという点です。


 インターネットが普及した今の時代、

 企業に必要なのは各分野の専門家との

 つながりです。

 著名な研究者や学術関係者と常にコン

 タクトを取り続ける姿勢がないと成り

 立ちません。


 その意味で、科学の先端を走る日本を

 有力な科学技術拠点として考えるのは

 自然なことです。


 日本は最大市場の一つであるのは間違い

 ありません。

 それに高齢化という人口構成の変化の波も

 受けており、今は人口の25%が65歳以上

 です。


 ある意味で他の先進国の未来像を示して
 
 いるのではないでしょうか。


 患者や消費者のニーズを満たすために、

 幅広い分野で事業展開を進めてきたJ&Jに

 とって、イノベーションは「ハート」とも

 言える根幹です。


 研究開発投資の成果が出てくるのは5年

 から10年先になると思いますが、

 イノベーションは将来を見通した上で

 絶対に必要な要素であることは間違い

 ありません。
 






ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の創業は
1886年です。約130年の歴史があります。


J&Jが創業以来掲げている「Our Credo(我が信条)」
があります。

我が信条


「我が信条」は4つの「責任」から成っています。


ご紹介しましょう!


 我々の第一の責任は、我々の製品

 およびサービスを使用してくれる

 医師、看護師、患者、そして母親、

 父親をはじめとする、すべての

 顧客に対するものであると確信する。


 我々の第二の責任は全社員 ――

 世界中で共に働く男性も女性も――

 に対するものである。

 社員一人一人は個人として尊重され、

 その尊厳と価値が認められなければ

 ならない。


 我々の第三の責任は、我々が生活し、

 働いている地域社会、更には全世界の

 共同社会に対するものである。


 我々の第四の、そして最後の責任は、

 会社の株主に対するものである。
 





企業にとって、CSR(企業の社会的責任)
の重要性が増しています。


CSRという考え方が日本に入ってきたのは、
ここ10年くらいのことなので、ある意味では
仕方がない、と認めざるをえないでしょう。


一方で、CSRという言葉が生まれる前から、
J&Jは企業の社会的責任を自覚していました。


クレドは具体的な事柄を書いたものではあり
ません。マニュアルではないのです。


抽象化されたクレドに基づいて考え、具体的
な内容に落としこむことによって、何をなす
べきかを決定します。


クレドとは、抽象的な行動指針が書かれたもの
です。


実際には、その抽象的な概念を具体的な行動へ
落とし込み、自らの意思で実践することになり
ます。


クレドは珍しいものではなく、超高級ホテル
グループ、米リッツ・カールトンにもクレドが
あります。


6年前、クレドに関して、元リッツ・カールトン
大阪営業統括支配人の林田正光さんの講演会に
出席した時、感想を書いたことがあります。


次の文章は特に印象に残った個所です。
と言いますのは、元 ザ・リッツ・カールトン
大阪営業統括支配人の林田正光さんの講演会に
出席(2008年2月)し、また氏の著書
『リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん
大事なこと』
(あさ出版)
を読んだからです。



 クレドというのは、リッツ・カールトン・ホテルが

 会社の価値観・哲学をまとめたものだ。

 あまりにも効果的だったので、今やいろんな会社

 が取り組み始めている。リッツ・カールトン・

 ホテルっていうのは、ブティークホテルといって

 あまり大規模なホテルではないが、サービスが

 抜群に素晴らしいことで世界的に評価されている。


 たとえばね、このホテルで道を聞くと、スタッフ
 
 は道を教えるだけではなく、その場所までお連れ

 することが原則になっている。

 掃除をしている人から、社長にいたるまで、全世界

 のスタッフが全員、同じ行動をとるんだ。

 電話だったら、ベルが3回鳴る前に笑顔で電話を取る。

 これも全世界の社員が同じ基準で動く。

 そうした素晴らしい人材をつくる秘密が、

 このクレドだ。
 



書評 『成功者の告白』 神田昌典
講談社 2004/01/26
から)


このように、クレドは「行動指針」なのです。


20数年前のゴールデンウィーク期間中に、
今はもうありませんが、オーストラリアの
シドニーにあったリッツ・カールトンに
宿泊したことを思い出しました。





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