伊藤さんは創業者であり経営者でもありましたから、
ヨーカ堂が発展するまで苦楽を共にしてきました。
そうした経験に裏打ちされた、経営者の目は、足元を
しっかり観るだけでなく、遠くを見据えてもいて、
わずかな狂いもありません。
「木を見て森を見ず」だけでなく、「森を見て木を見ず」
でもないのです。
私が思うのは、演繹と帰納を巧みに操っているからでは
ないかということです。
演繹は、仮説を立てて、その仮説をいろいろなものに当て
はめていく手法です。
帰納は、多くの一見すると異なる事象に共通点を見出し、
1つあるいは複数の基本となる考え方を導き出す手法です。
小売業の自由度が高いのは、売る相手が企業で
ある製造業や卸売業と違い、個人のお客様を
相手にする商売だからです。そのことは、
お客様から絶対に離れられないことを意味します。
驕る気持ちや、恐れを知らぬ振る舞いは、たち
どころにお客様に見抜かれて信用を失い、そう
なれば自由ではあり得ません。独立自尊の心意気
と、孤独を恐れぬ自立心を持ち、己の欲望を抑える
自制心を忘れず、常にお客様とともにあり続ける
ことが、自由な商人の道なのです。
(P.243)
(079-1-0-000-280)
今のヨーカ堂は四半世紀前に比べ、企業規模も
格段に大きくなり、財務内容もはるかに充実
してますが、これからは企業の創造力や革新力
を見なければならない時代になります。「元手」
の内容も時代とともに変わってきます。間接金融
にはない本物の資本市場の厳しい評価に耐え続
けるには、一時も息を抜くことは許されません。
(P.245)
(080-1-0-000-281)
小売業は人と人の商売ですから、一番大切な
のは社員の質です。親切でよく気がつき、
明るく礼儀正しい、体を動かすことを苦に
しない、誠実で真面目な人間が小売業には
絶対に必要です。コンピューターが発達し、
情報があふれる時代になっても、判断する
のは人間です。お客様を知り尽くした人間と
そうでない人間が読む情報は、同じ情報でも
違ってくるはずです。
(P.246)
(081-1-0-000-282)
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