を読んで考えてみました
『日経ビジネス』最新号(2014.04.28・05.05合併号)に
『女子力』新時代というタイトルで、「スペシャル
リポート 企業と女性活用■下」が掲載されました。
(「下」となっているように先週号は「上」でした)
内容をご紹介する前に、お話しておくことがあります。
私の『日経ビジネス』との関わりは、30年近くになります。
私が30歳になり、役職に就いてから年間購読しています。
当時の『日経ビジネス』は経営者や管理職などでなければ
購読できなかったのです。
現在では、年間購読だけでなく、誰でも書店やキオスク
などで、単品でも購入できます。
なぜ、上記のことを先にお話したのかと言いますと、
『日経ビジネス』に関する記事のブログを8年以上続けて
きていること(他社ブログを含む)と、長年購読してきた
ことで、今回のテーマについてブログを書くことに問題は
ない、と判断したからです。
では、本題に入ります。
『女子力』新時代で取り上げられているのは、
今、私が書いているアメブロのサービスを提供している、
サイバーエージェントです。
サイバーエージェントに限らず、自社について書かれた
記事は、好意的なものであれ、悪意に満ちたものであれ、
自社では紹介しにくいことです。
そこで、私が代わりに、あなたに記事の内容を紹介する
ことにしました。
記事の最初のページを見ますと、藤田晋社長(40歳)が、
6人の女性社員と談笑する姿が写真に収められています。
その写真に関する記事が書かれています。
(P.044)話題は藤田のファッション。そこにいた
一人がスマートフォン(スマホ)で藤田を
撮る。自社のアプリで社員のファッション
批評を続けており、藤田が狙われた。
こうした風景は日常のことで、サイバーエージェントでは
「華やかな女性社員の存在が際立つ」(P.044)
そうです。
一世を風靡した、「キャリアウーマン」は影を潜め、
仕事もするが、ファッションにも気を使い、「女性らしさ」
を失わない姿がありました。
男性社員と同じ仕事で同じやり方で競うのではなく、
女性社員ならではの視点で仕事に取り組み、能力を発揮し、
働くことに意義を見出しているのかもしれません。
男性と女性の違いについて、面白い話が、最近読み終わった
ばかりの本の中に書いてありましたので、ご紹介しましょう!
この話は後につながってきます。
カリスマ心臓外科医として著名な、南淵明宏さんの
『異端のメス 心臓外科医が教える病院のウソを見抜く方法』
というタイトルの本(南淵明宏 講談社文庫 2011.9.15)です。
2つの事例が書かれています。
1つ目は、システム型思考とネットワーク型思考の
違いについてです。
(上掲書 P.85)先日、長谷川眞理子先生(進化生物学、
総合研究大学院大学教授)の講演を
拝聴した。長谷川先生はある会合で
ほぼ毎月お会いするのだが、ご高説
はいつも例外はなく、快い。
長谷川氏曰く、動物と人類を隔てている
能力は思考力であるが、その思考力は
システム型思考とネットワーク型思考
の二つの相反する要素に分解できる
という。
システム思考とは物事を論理的に理解し、
道具を作ったり決まりを定めたりする
といった思考方法だ。これは男性が得意
な分野である。一方、ネットワーク型
思考とは、相手のことを思いやり、
その心を読む女性的思考方法である。
物言わぬ幼児を相手に育児をする女性に
どうしても備わっていなければならない
能力なのだろう。
とかく男はこのネットワーク型思考が
不得意である。
2つ目は、病棟での女性社会での人間関係を、男性と
対比して説明しています。
(上掲書 PP.128-9)病棟の女性社会では、女性患者や
患者の家族で女性同士のネットワーク
ができ上がっている。病気や病院、
医療スタッフなどの情報が光の速さで
伝達される。医師のウソを見抜く際も、
表情、視線、手の動き、などなどさま
ざまな情報を分析して「こいつはウソ
つきだ」と結論するまで一瞬だ。
演算速度はどんなコンピュータより
速いかもしれない。
もちろん、男性はいつもこういった
女性のネットワークの蚊帳の外である。
男と女の脳の違いともいえる。病院と
いう環境では女性の強さは光り輝き、
男性の弱さが目立ってしまう。
皮肉を言っているのではありません。男女の違い、
男女の脳の違いを指摘しているのです。
病棟をオフィスに、女性患者を女性社員に、女性社員の
家族を女性社員のプライベートの知りあいなどに置き
換えると、企業内の女性社員のネットワークの強さが
表現できるかもしれません。
以上の2つの事例を踏まえて、サイバーエージェントの
女性社員の活躍を考えると、理解できるかもしれません。
サイバーエージェントの女性活用の現状を見て
みましょう。
(P.045)社員数約2000人、女性比率32%。
女性管理職比率は15%で、本社の
女性役員数はゼロ――。しかし、
藤田は言う。「これだけ自然体
でやっていて感じるのは、
そもそもうちの女子社員は男と
同じように管理職になって偉く
なることを望んでいないんですよね」
「(女性管理職比率の引き上げは)
義務付けられたらやるけれど、
努力目標でやろうとは思わない。
そんなことをしなくても、うちの
会社の女子は生き生きと働いている
から」
女性管理職比率の国際比較がされることがあります。
すると決まって、「日本は女性差別が甚だしい」
といった論調の記事が掲載されます。
でも、本当にそうなのでしょうか?
男女雇用機会均等法が施行されたのは、1986年4月
です。それから28年が経ちますが、目に見える変化は
あったでしょうか?
大きな変化は起きていません。
最近ではあまり見聞きすることはなくなってきましたが、
女性の結婚に伴う「寿退社」や、妊娠・出産のため退職
を強いられる状況は変わっていません。
出産後の育児休暇を認める企業はまだ多数を占めては
いません。
また、イケメンあらぬイクメン(育児をする男性社員)が
クロースアップされることがありますが、取り上げられる
こと自体が、まだ一般的ではない証しです。
それでも、少しずつですが、変化の兆しは出てきています。
サイバーエージェントの場合はどうでしょうか?
(P.046)インターネット広告を生業に創業した
サイバーエージェントは、アメーバと
名付けたメディア事業を軸に成長軌道へ
と乗った。近年はスマホ向けメディアや
アプリ開発に経営資源を集中させ、
アクセス数や収益は右肩上がりで伸びて
いる。
直近四半期(2013年10月~12月)の
売上高は437億円、営業利益は前年比
2.7倍の42億円と好調。この成長を語る
上で女子社員の活躍は欠かせない。
アメーバにはプロデューサーという役職があるそうです。
「企画から開発、運営の責任者だが、管理職ではない」
(P.046)そうです。
瞠目に値することは、プロデューサー職に就いている
女性社員の割合です。
(P.046)2014年3月時点でプロデューサー職は
123人。うち約6割が女性だ。
ヒット実績は藤田曰く「女子が圧倒している」。
面白いと思ったのは、男性社員が藤田さんに怒られると、
めげてしまう一方で、女性社員は「むしろ怒られたら
むきになってくる」(藤田さん P.046)という点です。
女性社員は打たれ強いといいますか、へこたれないの
ですね。
3人の女性社員をご紹介しましょう。3人が歓談している
写真が掲載されています。自分たちに向けられたカメラの
レンズを意識しているはずですが、笑みがこぼれ、自然体に
見えます。
3人の女性社員に共通するのは、「ネットワーク型思考」
を駆使している、と考えられることです。
1人目は入社4年目の野口さくら(27歳)さんです。
この人も「へこまない」女性だそうです。
(P.046)新卒2年目に手作り料理の写真を
投稿するアプリ「ペコリ」を提案、自ら
プロデューサーに就いた。サービス開始
から1年半で35万人の会員を集め、月間
アクセス数は1億件を、投稿数は170万件
を超えた。
成果が目に見えて確認できる仕事に従事し、満足していると
思います。
2人目は、入社8年目で子会社の取締役会に
就いてる、坊垣佳奈(30歳)さんです。
(P.046)様々なプロジェクトへの支援金
をネットで募る「クラウド
ファンディング」の子会社を
同期とともに立ち上げ取締役
に就いた。
坊垣が仕掛けた男性用エステ
サロンを作るプロジェクトは
この4月、1700万円以上の支援金
を集めた。
目標額の3000万円に届かなければ
不成立で返金となるが、坊垣は
最後まで諦めず、さらに支援者を
増やそうと奔走している。
3人目は、蒼山桜子(26歳)さんです。
内定後に妊娠が判明し、入社予定を1年遅らせて
もらい2013年4月、“働くママ”として入社した
そうです。
(P.047)サイバーエージェントの育児休業
(育休)後の復職率は96.3%と、
国内平均よりも高い。産休・育休
制度を活用し、社内向けコミュニ
ティーサイト「サイ・ババ サイ
ママ」では、子育てや仕事との
両立などについて、男女問わず
活発に意見交換している。
このコミュニティーに「助けられた」
と話す。
配属は希望かなって親切の「ママ
事業部」へ。
「みんなが応援してくれて、すごく
やりやすい1年でした」。
藤田さんは今、こう考えています。
(P.048)藤田は女性管理職や役員を
「増やしたい」と思っている。
だが今はそれよりも、彼女らが
生き生きと輝ける環境整備を
優先し、自然な成り行きに
女子力を生かす最たる近道かも
しれない。
10年ほど前、一世を風靡した、男性と伍して仕事に
打ち込む「キャリアウーマン」がいましたが、
男性とは違った視線で仕事に取り組む女性社員が
いました。
仕事もしっかりやるが、プライベートも充実させ、
ファッションも楽しみ、「女性らしさ」を失わない
姿がそこにはありました。
サイバーエージェントは女性社員にとって働きやすい
会社であることは間違いないようです。
もし、サイバーエージェントの社員の方で、
この記事を読まれた方が「実情とちょっと違うよ」
「違和感があるな」などと感じたことがあったとしても、
致し方ないことでしょう。
少なくとも、男性社員は女性社員を「手強い相手」と
見ていると考えてよい、と私は考えていますが、
いかがでしょうか?
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