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日経ビジネスの特集記事(42)
中国汚染パニック
日本も傍観者ではいられない
2014.02.03
黒い霧が変える国の姿
中国からPM2.5が上空の風に乗って、
九州に飛来すると言われています。
PM2.5という超微粒子の有害物質が、
中国で深刻な被害を及ぼしています。
今週号の日経ビジネスは、
PM2.5を含めた有害物質が、国民生活に
甚大な悪影響を及ぼしている状況をリポート
しています。
この状況は「対岸の火事」ではなく、
日本にも必ず、大きな影響を及ぼします。
「尖閣問題」や「靖国神社参拝問題」とは別に、
日中間の論争の火種とならないことを
願うばかりです。
まず、中国の鉄鋼城下町で何が起こっているのか、
見てみましょう。
(P.026)中国北東部にある河北省唐山市。
世界最大級の鉄鋼城下町が今、
その姿を大きく変えようとしている。
きっかけは、深刻な大気汚染。
唐山市中心部にある製鉄所。
操業開始から約20年。
この製鉄所は建材向けなどの
鋼材を年間400万トン前後、
生産していた。
2013年夏、環境改善の一環として、
唐山市政府などの判断で稼働を停止。
この製鉄所の閉鎖は、例外ではありません。
それは、唐山市が「中国の主要74都市において、
大気汚染の深刻さで第3位」(P.026)
であるからです。
河北省は唐山市にPM2.5の削減目標を課しました。
「2017年に2012年比4割減という大幅なものだ」(P.027)。
中国は「成長至上主義」の下、「産業の米=鉄」
の生産に邁進してきました。
現在の中国の姿は、40年前の日本の姿に
重なるものです。
40年前の日本は高度経済成長期にあり、
成長に比例するように公害問題をもたらしました。
私も公害を体験しました。
大気汚染が酷く、光化学スモッグで目が
痒くなったり、痛くなったりして、つい目をこすって
しまったものです。
喘息のような症状に悩まされたことも、
記憶に残っています。
先に河北省唐山市のケースをご紹介しましたが、
大気汚染は工業地帯に限定されているわけでは
ありません。
時々、ニュースで伝えられることがありますが、
上海や北京でも大気汚染が深刻さを増しています。
なぜなのでしょうか?
その理由の1つは、「汚染のリレー」(P.027)が
存在することだそうです。
都市の中心部で生産をやめても、減った分を郊外へ
移管して生産しているからです。
いわば、駅伝のたすきのようにリレーされていく
のです。それは正に「汚染のリレー」です。
実は、汚染の元凶は製鉄所の煙突から大気中に
吐出される有害物質だけではない、と指摘されています。
製鉄所で生産された鋼板を使い、製造された自動車の、
排ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)なども、
公害をまき散らしている、と指摘されています。
(P.028)自動車の保有台数は年々増え続けており、
その分、排ガスの発生量も増加の一途
をたどっている。
ただ、乗用車よりもトラックのほうが排ガスの量は
多いのです。
「トラック1台が市内を走リ回れば、乗用車100台分の
排ガス対策が吹き飛んでしまうような話」(P.029)
であるため、乗用車だけの規制では効果に限界がある
のです。
こうした現状に、外資企業の中には、
フィンランドのノキアのように、
中国を脱出する人もいます。
独BMWは中国に赴任する幹部の確保に苦労している
そうです。
1970年代の日本は公害問題に悩まされ、あらゆる対策
を講じてきました。
それには、数十年の時間と莫大な対策費と被害者補償費
という、つけを払うことによって償われたのです。
日本の「悪い経験」を参考にして、対策を講じたら良い
のでは、と考えましたが、そんな短絡的な考え方では、
中国の現状を改善することはできないようです。
(P.031)東北大学の明日香壽川教授は、
「中国に日本などが過去に実施した
対策をそのまま持ち込んでも、
もはや通用しない」と言う。
それほど対策は難しい。
ここで、PM2.5について、確認しておきましょう。
(P.032)PM2.5とは、どのような物質のことを
言うのか。
粒子の種類は無数にあるが、その中で、
直径が10マイクロメートル(μm、
マイクロは100万分の1)以下のものを
「SPM」もしくは「PM10」と呼び、
同じく2.5μm以下のものを「PM2.5」
と呼ぶ。
髪の毛の直径は約70μmでPM2.5の
約30倍の大きさだ。
PM2.5はいかに小さな物質であるかわかりますね。
こんな小さな粒子が一度体内に入ると、
「喘息や心臓疾患の原因になると言われる」という
ことなので、中国では今後数十年後に、
公害の後遺症に苦しむ人たちが多数出てくる
恐れがあります。
次回は、「藁にもすがる庶民」他についてお伝えします。
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