概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
日経ビジネスの特集記事(34)
東電解体 議論は尽くされたのか
2013.12.2
私たちは納得できない
東日本大震災に伴う、福島第一原発事故が起きてから、
2年9カ月が、たとうとしています。
最近では、ほとんど新聞や週刊誌、あるいはテレビで
扱われなくなってきました。
アベノミクスの熱気に浮かれ、やれ株価が上がっただの、
冬のボーナスが増えただの、来年の新卒者の求人が増えた
など、光の当たる部分を取り上げて景気が良くなったかの
ような印象を、国民に与えています。
2020年東京五輪開催決定が、さらに日本の実態を覆い
隠すような効果に拍車をかけたような気がしてなり
ません。
「本当にそうなのだろうか?」と疑問を抱いていたさなかに、
グッドタイミングで、日経ビジネスは「東電解体」という、
大胆な提言を出し、特集記事を掲載しました。
(P.26)問題を解決し健全な電力市場を
作るには東電をどうすればいいか。
社内分社や持株会社化ではない。
解体の道を探るべきだ。
福島原発の現場や関係者の取材を通じ、
あるべき姿に迫った。
このように、日経ビジネス取材班(以下、取材班)は、
「東電解体」というテーマに深く切り込んでいきました。
最近になって、政界を引退した小泉元首相の「脱原発」
発言が、論議を呼んでいます。現役の時には、小泉さんは
原発推進派だったはずです。
なぜ、180度転換してしまったのでしょうか。
私は2つの理由があると思います。
1つ目の理由は、「もう政治家ではない、一般人である」
という自己認識にあると睨んでいます。
政界に在籍していれば、こうした発言はなかなかできない
はずです。
自民党が一枚岩でないことを野党に追及されるからです。
もう1つの理由は、福島原発の事態の深刻さと使用済み
核燃料の最終処理場は、そう簡単には決められないという
実態を知ることになったからだ、と考えています。
小泉さんの発言は「これから日本で最終処分場のメドを
つけられると思う方が楽観的で無責任すぎる」というもの
でした。
(P.29)原発が3基もメルトダウンし、放射能
汚染地域への立ち入り規制が何十年
続くか分からない。未曾有の大惨事
を経ても、重要問題について議論が
十分にされないまま、なし崩し的に
事故前の姿へ引き戻されようとして
いる
汚染水、もれるため息
東電は、柏崎刈羽原発の再稼働を強く国に迫っています。
再稼働がないと、黒字転換できない、という実情がある
からです。
安全よりも企業利益を優先するという、企業のエゴです。
今回、「東電解体」というテーマで、取材班は福島第一
原発事故現場へ足を運び、現場取材し、そこで働く作業員
の人たちにインタビューを敢行しました。
東電本社からすれば、「嫌なこと」だったでしょう。
腹を探られたくないからです。
取材班が現場を訪れて分かったことは、汚染水処理に携わっ
ている作業員の方たちの士気の低下と疲労感、そしてそれ
が原因で起こったミスの続発でした。
取材班はこう伝えています。
(P.31)防護マスクは視野を狭め、顔を圧迫する
からなかなか慣れない。休憩に戻る
免震重要棟はいまだに野戦病院の
ような状態で、車座では心身が休ま
らない。壁一面には日本全国、世界
各国からの寄せ書きがある。当初は
奮い立ったが、今は見慣れてしまった。
心配なのは、現場で働く人たちの被曝状況です。
何年か経過した後、長期の大量の放射被曝が原因による、
甲状腺ガンなどの発症が懸念されます。
さらに、汚染水処理問題と最終的な廃炉に至るまで30年
から40年かかるとされています。その間に、熟練作業員を
長期的に確保できるのか、という深刻な問題があります。
(P.31)タンクから汚染水漏れが見つかった
場合、いち早く駆けつけて作業に
当たるのは熟練作業員だ。そして、
累積被曝線量が限界値を超えると
現場を去っていく。
現場の作業員の士気が低下する理由は、賃金の「中抜き」
という実態があるからです。
(P.32)仕事内容によって異なるが故直後は
3万~4万円の日当が出た。
今は民主政権での「収束宣言」や当時
より線量が下がったことなどを理由に
減額。さらに、下請けに委託するごとに
中抜きがあり、作業員Aさんが手にする
のは日給1万円前後だ。
汚染水問題は相当深刻です。漏れた汚染水を集めて、
貯蔵すればそれでいい、というそんな単純なもの
ではないようです。
(P.33)汚染水問題は根が深い。そもそも、
汚染水を生み出す地下水の流れが
いまだに解明されていないのだ。
事故後、退職者は約1400人に達しているそうです。
(P.34)ある東電関係者は、「30~40代で
MBA(経営学修士)を持っているような
人材が真っ先に辞めた」と明かす。
原子力技術者からは「原子力ではない別の
キャリアを積みたい」という声も聞こえ
てくる。
今後も大事故を防ぐ手立てが必要です。
現状を見ると、ゾッとします。
小泉元首相、横浜市内で講演
自らの発言に対する批判の声に反論(13/11/03)
自らの発言に対する批判の声に反論(13/11/03)
この動画は、関係者が、今後不利益を被ると判断したためか、
削除されています。
次回は、「破綻、はなから棚上げ」についてお伝えします。
こちらのブログもご覧ください!
こんなランキング知りたくないですか?
中高年のためのパソコン入門講座(1)
藤巻隆のアーカイブ
私の書棚(読み終わった本の一覧)