揚力発生のメカニズム・5  私の考える揚力発生理論 | 長谷川隆のブログ 

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 「二つの原理」が作用する 

 

*まず下図のような楕円形の断面の2次元物体が空気中を水平方向に移動するときの様子を考えます。

 

「原理1」:空気中を移動する物体の前面に空気が圧縮されて高気圧域 a(赤色)が、後面には空気が引き延ばされて低気圧域 b(青色)ができて、その気圧差で力Fを発生します。

 

「原理2」:物体の前面の高気圧域 aから後面の低気圧域 b への流れは加速し、高速の流れ c が曲がり込むとき力 Fcが発生します。また流れ d による力Fdが発生しますが、鉛直方向成分は相殺され、水平方向成分は前向きの力が残ります。

 よって、FーFcとFdの水平方向成分+粘性抵抗が抗力となります。

 

*次に物体を、迎角を持った翼の形に置き換えると下図のようになります。

*迎角を持った翼が空気中を移動するとき、

「原理1」:翼の前面で空気が圧縮されてできる高気圧域 a(赤色)と、後面で空気が引き伸ばされてできる低気圧域 b(青色)ができて、その気圧差で力Fが発生します。(時計回りのモーメントとなるが、この姿勢に保てばFに表現できる)

 

「原理2」:翼上面で加速された高速の流れ cが曲がる反力で上向きの力 Fcが発生します。下面では流れ dが曲がる反力で下向きの力 Fd が発生します。FcとFdの鉛直方向成分の合計が揚力となり、水平方向成分は前向きの力になります。

 このような板状の翼は曲り込みが少ないので「原理2」の影響は小さくなります。

 

 これら3つの力 F、Fc、Fd、の上下方向成分の合計が翼の揚力となり、水平方向成分の合計に粘性抵抗を加えた力が抗力となります。

 二つの図で、記号a〜d、F、 Fc、Fdはそれぞれ意味合いが対応します。

 

この時、 

 ① 気圧変化の大きさは移動速度に比例します。音速の時、流れ

  に正対する面で1気圧(雰囲気)の変化となります。

  (at 15℃ 1atm) 

 ② 翼表面の気圧変化は音速で解消されますが、移動を続けれ

  ば気圧差は常に翼の表面に発生し続けます。

 ③ 翼の前方で空気が上下に分かれるポイントは翼の進行方向

  への投影高さの中心線上にあります。

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 以上が私が考える翼に揚力が発生するメカニズムです。

 この考えに至った実験などの経緯やこの考え方による揚力計算結果は

 https://h-a-labo.amebaownd.comに記載しています。

 是非ご覧ください。

 

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