揚力発生のメカニズム・6 最近のWeb上の動き | 長谷川隆のブログ 

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 最近のWebを見る限り、翼に揚力が発生するメカニズムの説明に、「空気の速い流れは、遅い流れより気圧が低い」と解釈した「ベルヌーイの定理」を使うのを止めて、米国アンダーソン博士とエバーハート博士の提唱する「コアンダ効果で空気が下に曲げられる反作用(ニュートンの第3法則)で揚力を得る」という説に移りつつあるようです。

 

 立派な肩書きをお持ちの先生のWebで、そのような解説が数件ありました。

  しかし、今だにベルヌーイの定理説を主張している先生方に遠慮しているのでしょうか、ベルヌーイの定理説は間違いであるとは明言せず、又コアンダ効果の名前も出さずに、「流体は面に沿って流れる性質があるから」とさらりと表現しています。

 

  しかし、それらを提唱したコアンダ氏やデイビッド・アンダーソン博士とスコット・エバーハート博士に全く触れていないのは私にはしっくりこないのです。

 

 もっとも、立派な肩書きをお持ちの先生は、更に立派な肩書きの先生が唱えている従来の説に反するようなことはWeb上には記載できないのでしょうね。

 

 文学作品の新作なら引く手数多(あまた)なんですが、科学作品の新作となると、その道の権威者と言われる先生のお墨付きがなければなかなか発表の機会がないのかもしれません。

 

 種々の学会の論文募集要項では必ずその道の権威者のお墨付きを求めていますから、先述の立派な肩書きをお持ちの先生は実はそんなところで苦心されているのかもしれませんね。

 

 その点、私は私見を自由に記載できる。恵まれているのかもしれません。

 

  いずれにせよ、「コアンダ効果と作用反作用説」を用いながら、提唱者に触れない解説もあれば、ベルヌーイの定理は使えないということの説明もないまま、ダイレクトに作用反作用の理屈だけで揚力が得られるとしていることは、私にはどうも片手落ちの感が拭えないのです。

 

 何度か記載しましたが、アンダーソン博士とエバーハート博士は、コアンダ効果は流速を速める効果はないので、コアンダ効果で曲げられた空気が、気圧が低いところに加速されて流れて大きなダウンウォッシュが発生し、その時の質量×下方への加速度が揚力になると説いておられる訳です。

 空気を曲げる反作用で揚力が得られる、とするなら、この流れが加速されることで効果が増すメカニズムは是非紹介していただかなければ、、、と思うのです。

 「流体は面に沿って流れる性質があるから」では半分しか言い当てていないのです。

 

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