【インタビュー】上田涼子さん「人知れず咲く野の花のように」 | 地球のお母さんになりたい

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地球に生まれ、地球に育まれ、地球に与えられ、いまここにいる私。いっぱい包んでもらったから、私は地球のおかあさんになりたい。
みんなのお母さんになりたい。

人知れず咲く野の花のように

 

 

上田涼子さん。



名は体を語るというけれど、
涼子という名前は、まさに、
この人そのものを表している。

まるで一刀彫ですっと切り取ったような瞳は、
涼やかという言葉がぴったりだ。

そして、お話しすればするほど、
その生き方もやはり涼やかなのだった。

誰に媚びることなく、
誰に迎合することなく、
ただ凛と立つその姿は、
彼女が大好きだという野の花そのものだと思った。


そんな彼女のお仕事である、
写真のことを伺ってみた。

言葉にも迷いがなく、
そして、表現に過不足ない。
潔い人だなあ、
それがインタビューを終えた私の感想である。

 
 美しい瞬間を切り取る自信があった


-1.0">――写真を始められたきっかけを、伺っていいですか? 

涼子 はい。私、実は自分の評価低かったんですよ。
他人の意見に左右されるし、自分の意見はないし。
でも、親元から離れて大学に通って、
授業とバイトの往復をしている中で、そんな生活の中でも、とても美しいものに出会うわけなんですよね。
たとえば、空とか、ちょっと咲いた花とか、
夕暮れのグラデーションとか。「これって、きれいだよね」と誰かに言いたくなるようなそんな瞬間があって、それをコレクションしたいって思ったの。



私、自分にはいろいろと自信なかったけど、
その感覚だけはすごく自信があったんです。
(きっと、これを見たら、
みんながきれいだって思うよなー)みたいな。
だから、その瞬間を残したいと思ったんです。
写真はその感覚を確認するツールだったんですよ。

-1.0"> 私が絵を描ける人だったら、
それを絵を描いていたと思う。
デッサン力がなかったから、
写真になったんでしょうけど。

-1.0">――一番美しい瞬間を切り取っていたわけですね。

-1.0">涼子 誰かに見せようなんて、
最初は何も思ってなかった。
ただ、それを残したい。それだけだったんですよ。

-1.0">――自然がお好きだったんですか?

-1.0">涼子 自然は好きですね。
特に、花が好きなんです。
花といっても、花屋さんにあるような派手な花ではなくて。

幼少期の想い出というと、
分厚い花の図鑑を見ている自分しか
思い出せないくらい。
結構、専門的な図鑑を買ってもらって、
それを眺めていたことばかり思い出します。
家族で旅行に行って、
たまたま図鑑で見た花を見つけると嬉しくて、
カメラを持っていた父に頼んで
そのあたりが、きっと写真の原点になるんでしょうね。

――人が観賞用に育てた花じゃないものが好き。

-1.0">涼子 そう。勝手に咲いている、ひそかに咲いている。
そういう花が好きなんです。それが撮りはじめでした。

-1.0">――写真との出会いですね。

-1.0">涼子 そうです。ただ、そのときは、もう、本当に趣味で、写真が仕事になるなんて、まったく思ってなかったんです。それは、ブログの記事にも書いてある通りなんですが。

-1.0"> 

-1.0">font-family:HG丸ゴシックM-PRO">その人が咲かせる笑顔を撮りたい



-1.0">涼子 仕事で写真を始めたわけではないので、
最初は人物写真が苦手だったんです。
苦手というか、興味がないというか。
なので、お断りしていたんですよ。
とても満足していただけるものは
撮れないだろうなあと思って。

-1.0">

-1.0"> お友達に頼まれて撮って、
それがとっても評判がよくても「機材と知識があればこんなの誰でも撮れるでしょ」と思ってた。

 思いっきりブロック発動ですよね(笑)。

――でも、素敵ですよね、人物写真。
 笑顔がとっても自然。

-1.0">涼子 本当ですか? ありがとうございます。
人物は本当、あまり乗り気じゃなかったんですが、
あるとき、ちょっと気が付いたことがあるんです。
花が咲くというのと、笑うという字が、
実は同じ意味だってご存じですか?

-1.0">――そうなんですか?

-1.0">涼子 武井咲さんって、
咲くと書いてえみって読ませますよね。
昔、咲くという字は、
口偏に笑うと書いていたのだそうです。
ああ、そっか! 笑顔はその人の花なんだと思ったら、
その人が本当に笑った顔を撮りたいと
思うようになりまして。
心から笑っているときって、
本当に花が咲いているように見えるんです。
とっても美しいんですね。

-1.0">――それは素敵な発見! いいですね。

-1.0">涼子 ご本人はその顔を知らないじゃないですか。
その咲いた瞬間を切り取る。
「こういう自分は悪くない」
「今の自分は悪くない」
そう思ってもらえるような写真を撮りたいと思ったんです。

-1.0">――誰もが花。美しい感覚ですね。

-1.0">涼子 よく、みなさんには、
私の写真には透明感があるっていわれます。
自分として心がけていることは、
いわゆる決め顔を撮るのではなくて、
最高の花が一番開いた瞬間を撮りたいなと。


-1.0">――良い意味で撮り手の意思がない、
エゴがないって感じがしますね。
意識が、すべて撮られる人に向かっているというか。
たとえば、カメラマンの個性って、
やはり写真に出ますよ。というか、
個性が出るからこそ、
その人の世界になると思うんです。

篠山紀信さんには、
篠山さん自身の世界観がある。
蜷川美花さんは、
やはり何を撮っても蜷川さんの世界になる。
でも、上田さんの写真に透明感があるのは、
撮り手の意識が消えている。
だからなんじゃないかと思うんです。
本当に、その花を愛でる、
その写真を愛でる人になってるんですよね。
撮り手でありながら。
喜んでその位置にいるというか。
だから、花が主人公だし、
撮られる人の笑顔が主人公なんだと思います。
そういった透明感じゃないのかな。
だから、一番その人らしい写真になる。




-1.0">涼子 ありがとうございます。
そんな風に言っていただけると、
客観的に自分の写真がわかってきますね。

私は、ただ待っているんです。
その人の花が開花するときを。
笑顔がふわっと開き切る瞬間。
それは、野の花を撮るときと同じ。
一番美しい瞬間、最高の瞬間を
ただ、待ってそれを切り取る。
その感覚には、最初から自信がありましたね。

(photo by kikka=上田涼子)

お写真のモデルは、フラワーデザイナーの
阿部泰子さん



上田涼子さんのグループ撮影会が
東京でも開催されます(4/14)。
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ご興味のある方は
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