夕刊の下のほう劇場 ~ 日本橋高島屋には象がいた(昭和28年3月) | 高木圭介のマニア道

高木圭介のマニア道

~浮世のひまつぶし~

昭和28年3月、夕刊の下のほうに出ていた劇場などの広告。



ご存知、チャップリン の名作(ライムライト)から、ゲイリー・クーパー 主演のスパイ映画(外套と短剣)、新藤兼人監督が脚本を担当した重たいテーマの 村八分 (今泉善珠監督)などなど、多彩なラインナップが揃っている。

しかし、ただ一つだけ映画とは無関係。日本橋高島屋の 「あす日曜は皆様お揃いで 象のいる高島屋へ」 と象見物に誘ってくる 日本橋高島屋 の広告のインパクトは大きい。

今ではまったく想像できないが、日本橋高島屋の屋上で飼育されていた象の 高子 (高島屋の「高」から命名)は、戦後間もない昭和25年にタイから来日。来日時はまだ子象だったから良かったものの、成長するにつけ、1.5㌧を超える重量 ゆえに屋上飼育が危険視され、昭和28年に 上野動物園 にお嫁入りが決定。それまで日本橋高島屋の名物として、おおいに集客に貢献したそうな。

昭和33年に 多摩動物園 へと転園。平成2年に飼育場の堀に転落する不幸な事故で死んだのだそうだ。