ひとつ前の記事で紹介したアマオケを聴いた会場で、その翌日同じ会場で藤岡幸夫が江戸川フィルハーモニーを指揮する演奏会があることを知った。「Enter the music」で司会をしている若手指揮者だ。アマオケで活躍している私の先輩が彼の指揮する演奏会でエルガーの交響曲を聴きべた褒めしていたこともあり、迷わずに翌日の演奏会のチケットをその会場で買って帰った。その指揮者がアマチュアオーケストラを指揮するとどのような音楽になるのか、半ばおっかなびっくりではあったが是非その場に居たいと思った。入場料だって前売り800円と只みたいなものだ。
開演前の楽曲説明からマエストロは登場。軽妙な語り口はさすがだった。司会役の団員に「あなたずいぶん固くなってるよ。大丈夫?」と話し掛けるなど、「Enter the music」での語り口そのままの雰囲気で場を和ませる。このオケの指導をしている人が昔本当にお世話になった方で、その人から頼まれるとやるしかなくて、と指揮を引き受けた事情を漏らしたりもした。楽団を評して「学生時代にやっていても就職を機にやめちゃう人が多い中、社会人になっても楽器をやめられなかった人たちの集まり」とも語る。
最後に演奏するチャイコフスキーの第5番の説明では、「最後に運命のテーマが高らかに出てきて終わるが、運命の克服を喜ぶという単純な曲ではない。本当は物凄く変な(とおっしゃった気がする)曲なので、そういうところを感じてもらえたら演奏は成功だ。」とおっしゃられたのがとても印象的だった。
一曲目、ヴェルディの運命の力序曲。アマオケがよく開始の曲として使う曲だ。私が「ああ、この曲は~な曲ね。」と分かったような気になっていた曲なのだが、その分かったつもりでいた良さのおよそ180%くらいの良さを目の前で繰り広げてくれてびっくり。こういうのが良い指揮者のなせる技なのだろう。
二曲目、チャイコフスキーのイタリア奇想曲。これもびっくりするほど音楽に浸れた。こんなに前半のステージで頑張っちゃって大丈夫?
最後の交響曲第5番でも藤岡ワールドは力惜しみすることなく繰り広げられた。しかし長大な曲でもあり、なまくら聴衆である私は途中で集中が切れることがあった。考えてみれば、イタリア奇想曲と第5番では曲想も響きも全然違うとは言えども、盛り上げる手口?は結構共通している。イタリア奇想曲で大いに感激した私は、5番の各楽章での盛り上がりに疲れを感じたとしても不思議ではない。きっとそのせい、と言うか、プログラムの問題だったかも。それでも終楽章では大きく心を揺り動かされたし、エンディングでも大興奮。
江戸川フィルって初めて聴いたけれど、平素からこういう演奏をするのだろうか。今回のために猛特訓を課せられた? プログラムの紹介によると、2015年の第30回定演ではマーラーの第5で大成功を収めた、と書いてあるから驚いた。アマオケが良い演奏をした、と言って驚く私の方が時代遅れ、乃至は時代錯誤なのかもしれません。
因みに、弦に賛助出演が多く、弦全体で見るとざっと2~3割が賛助だった。
次回定演は4月15日、フィデリオ序曲、グリーグのピアノ協、ブラームスの2番が演奏される予定。