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三橋TV第187回【衝撃のゼロ!現実を認めない与党政治家たち
 
 チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
 
 
 さて、桜の番組でも話題に出しましたが、総理は通常国会冒頭の「第二百一回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説」において、以下の通り語っています。

『(全世代型社会保障)
 高齢者のうち、八割の方が、六十五歳を超えても働きたいと願っておられます。人生百年時代の到来は、大きなチャンスです。働く意欲のある皆さんに、七十歳までの就業機会を確保します。
 こうした働き方の変化を中心に据えながら、年金、医療、介護全般にわたる改革を進めます。
 年金受給開始の選択肢を、七十五歳まで広げます。在職老齢年金についても、働くインセンティブを失わせることのないよう、見直しを行います。
 二〇二二年には、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となる中で、現役世代の負担上昇に歯止めをかけることは、待ったなしの課題です。
 年齢ではなく、能力に応じた負担へと見直しを進めます。七十五歳以上であっても一定以上の所得がある方には、窓口での二割負担を新たにお願いすることを検討します。併せて、かかりつけ医機能の強化を図るため、大病院の受診に定額負担を求めることで、現役世代の負担上昇を抑えます。
 
 え? 65歳を超えて働きたいと願っている人が「八割」??? 八割が「働かなければ生きていけない」と思っているという話じゃないの?
 
 という突っ込みは置いておき、問題は総理が「全世代型社会保障」と銘打ち、現役世代の高齢者に対する「憎悪」を煽ることで、緊縮財政を実現しようとしていることです。
 
 これまで、「公務員」「ゼネコン」「農協」「医師会」「電力会社」「正規社員」などなど、ルサンチマン・プロパガンダが展開され、緊縮財政や規制緩和、自由貿易を推進するために利用されてきた「国民の憎悪感情」の対象が、ついに本格的に「高齢者」に向かうことになるわけです。

 総理はそれっぽく説明していますが、上記は、
「現役世代の皆さん、あなたたちの負担が重いのは、高齢者のせいです(政府の緊縮のせいじゃありません)。あの連中にもっと負担をさせれば、あなたたちの負担が抑えられます。さあ、怒りは緊縮財政ではなく、高齢者にぶつけろ!
 と、言っているのも同然です。

 総理自ら、国民を分断し、ルサンチマンを煽り、有害な緊縮財政を推進しようとする。現在の日本国は、この程度の「腐った国」なのでございますよ。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※2月15日まで竹村公太郎先生の「日本文明の誕生-神話から歴史へ-」をご視聴頂けます。。

 

 いや、別に政府が財政支出を拡大し、
「高齢者の負担も、現役世代の負担も抑制しつつ、医療・介護という公的サービスの質を高める」
 でいいではないですか。無論、公的医療・介護サービスの質の改善は、まさに「供給能力の向上」ですので、一朝一夕にはいきません。それでも、
「将来の国民のため」
 に、国民の負担を抑制しつつ、供給能力を高めていく。日本国は、本来はそれが可能な国なのです。

 ところが、【狂った現実】 や【亡国の愚策~狂ったシミュレーション~】で解説した通り、PB黒字化のためには「国民(家計)の黒字縮小」が必須なのです。

 そして、家計の黒字縮小、赤字化の具体策として「全世代型社会保障」と銘打ち、社会保障の負担引き上げと支出カットが検討されているわけですね。

 ちなみに、総理は施政方針演説で、
引き続き、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化を目指します。
 と、語っています。

 無論、内閣府の「成長実現ケース」ですら、2027年の黒字化がやっとで、25年は3.6兆円の赤字になっているため、本人もできるとは思っていないのでしょう。とはいえ、そんなことはどうでもいいのです。
 
 
 で解説した通り、総理の目的は「政治(権力の維持)」であり、特定の政策ではありません。

 政治的に「PB黒字化」を目標に掲げる必要があり、そのための具体策としては社会保障支出削減と負担引き上げを議論する必要がある。
 
 そのために、「現役世代」を煽り、高齢者に対するルサンチマンを高め、国民を分断する。

 あのね、我々現役世代にしても、すぐに高齢者ですわ。その際に必要なのは「高品質な医療・介護サービス」なのですが、安倍政権は緊縮財政で、我が国の貴重な医療・介護サービスの供給能力をぶち壊している。

 さらには、そのために国民を分断し、ルサンチマンを煽り、ナショナリズムを壊していく。

 こんな国、普通に亡びます。
 
 が、嘆いてばかりもいられませんので、総理を初め政治が主導している「高齢者と現役世代を分断するルサンチマン」に引っ掛からないようにしましょう。国民を分断し、「自分」への攻撃を防ぐのは、帝国主義時代(あるいはそれ以前)からのグローバリストの常套手段なのですよ。
 
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