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三橋TV第185回【安倍総理大臣の「政治」を完璧に解明してみた】
「民間収支+政府収支+海外収支=0」
昨日、内閣府が17日に公表した中長期の財政試算を取り上げ、
1.海外収支の赤字(日本の経常収支の黒字)が、4%弱という「異常」に高水準で推移する前提になっている
2.海外収支の赤字を膨らませていくことが非現実的(4%弱ですでに非現実的だけど)であるため、政府収支の黒字化(PB黒字化)のためには、民間収支の黒字を減らすしかない。
3.民間収支は2019年の対GDP比6.6%から、2029年には2.3%に減る前提になっている
4.民間収支は「民間家計収支+民間企業収支」だが、企業優先の日本政府は、黒字減少(あるいは赤字化)の負担を家計に押し付けざるを得ない
5.今後、消費税増税や控除廃止、新税導入、社会保障負担引き上げなどの「増税」と、社会保障支出削減という国民貧困化政策が続く
と、書きました。
内閣府の試算(成長実現ケース)を見る限り、上記の解釈以外はあり得ません。
実際、安倍政権はすでに昨年秋に「全世代型社会保障検討会議」を立ち上げ、社会保障支出削減と負担増の検討を始めています。
とはいえ、お判りでしょうが、消費税増税、社会保障負担増、社会保障支出削減は、全て「デフレ化政策」です。
政府の増税や支出削減によりデフレが進むと、GDP三面等価の原則により「支出(需要)=生産=所得」減ることになります。
我々は所得から税金を支払っているため、デフレで需要が縮小すると、税収も減ります。すると、PB黒字化目標など達成できるはずもなく、
「国の借金で破綻する! PB黒字化のためにさらなる増税を! 国民負担引き上げを! 政府支出削減を!」
と、なるに決まっているのです。
悪夢です。
もっとも、上記の「成長実現ケース」のシミュレーションは、それ自体が「荒唐無稽」であることを指摘しなければなりません。
ちなみに、わたくしは「日本が成長しない」と言っているわけではありません。デフレという需要不足が続く限り、経済成長しないと、単に「事実」を指摘しているに過ぎません。
経済成長とは「GDP」が増えることです。GDPは需要面で見ると「民間の支出+政府の支出+純輸出」です。最も大きいのが民間の支出の中の「家計の消費」になります。
その家計の消費を叩き潰す緊縮財政を進めながら、「GDPが成長し、税収が増え、PBが黒字化する」という、意味不明なシミュレーションが内閣府の「成長実現ケース」なのです。
内閣府が「成長実現ケース」で、経済成長率をいかに設定しているのかといえば、何と「実質GDP2%」「名目GDP3.5%」「GDPデフレータ1.5%」と、デフレの国ではありえない「妄想」の数値なのです。
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※2月15日まで竹村公太郎先生の「日本文明の誕生-神話から歴史へ-」をご視聴頂けます。
『財政黒字化、道険しく 社会保障改革が急務―政府
内閣府は17日、中長期の経済財政試算を示した。政府は国・地方の基礎的財政収支(PB)を2025年度に黒字転換する目標を掲げるが、実現はさらに厳しくなった。高い経済成長を遂げることを前提にしても、社会保障費を中心とした歳出改革は待ったなしだ。財政黒字化の道は険しい。
試算では、名目GDP(国内総生産)が今後3%以上の高成長を続けた場合でも、25年度のPBは3.6兆円の赤字。昨年7月時点の試算(2.3兆円の赤字)より悪化した。麻生太郎財務相は17日の閣議後の記者会見で「歳出改革の取り組みをさらに進めなければならない」と語った。
社会保障費は現在、国の歳出の約3分の1を占める。「団塊の世代」(1947~49年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となる22年度以降、さらに膨らむのは必至で、いかに抑え込むかが喫緊の課題だ。
このため政府は昨秋、「全世代型社会保障検討会議」を立ち上げた。ただ、昨年末の中間報告では、高齢者にも応分の負担を求める抜本的な改革議論には踏み込めなかった。財務省幹部は「これでは(財政健全化は)期待できない」と漏らす。
歳入面では、税収増を見込む試算の前提となっている高い経済成長の実現が大きな壁となる。西村康稔経済財政担当相は「着実に生産性を上昇させ、(高い)成長率を確保する」と強調するが、名目GDP成長率で3%を超えたのは91年度が最後。日本が30年近く経験していない高成長を目指すと訴えても、むなしく響くだけだ。(後略)』
内閣府は17日、中長期の経済財政試算を示した。政府は国・地方の基礎的財政収支(PB)を2025年度に黒字転換する目標を掲げるが、実現はさらに厳しくなった。高い経済成長を遂げることを前提にしても、社会保障費を中心とした歳出改革は待ったなしだ。財政黒字化の道は険しい。
試算では、名目GDP(国内総生産)が今後3%以上の高成長を続けた場合でも、25年度のPBは3.6兆円の赤字。昨年7月時点の試算(2.3兆円の赤字)より悪化した。麻生太郎財務相は17日の閣議後の記者会見で「歳出改革の取り組みをさらに進めなければならない」と語った。
社会保障費は現在、国の歳出の約3分の1を占める。「団塊の世代」(1947~49年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となる22年度以降、さらに膨らむのは必至で、いかに抑え込むかが喫緊の課題だ。
このため政府は昨秋、「全世代型社会保障検討会議」を立ち上げた。ただ、昨年末の中間報告では、高齢者にも応分の負担を求める抜本的な改革議論には踏み込めなかった。財務省幹部は「これでは(財政健全化は)期待できない」と漏らす。
歳入面では、税収増を見込む試算の前提となっている高い経済成長の実現が大きな壁となる。西村康稔経済財政担当相は「着実に生産性を上昇させ、(高い)成長率を確保する」と強調するが、名目GDP成長率で3%を超えたのは91年度が最後。日本が30年近く経験していない高成長を目指すと訴えても、むなしく響くだけだ。(後略)』
というわけで、日本の過去の実績と内閣府の「成長実現ケース」の見込みをグラフ化しました。
【日本のGDP実績と内閣府の「成長実現ケース」の見込み】
過去のデフレ期、GDPデフレータ(インフレ率)を「緊縮財政」によりプラス化することすらできなかった日本政府が、「緊縮財政」を強化する19年度以降、GDPデフレータが1.5%に上昇する、つまりは「デフレ脱却できる」という前提を置いているのです。頭がおかしいですね、普通に。
ちなみに、14年度のGDPデフレータの上昇は「消費税増税」によるものです。消費税増税は物価の強制的な引き上げであるため、名目GDPはかさ上げされ、反対側で「不況」になり、実質GDP成長率が落ち込むため、GDPデフレータはプラス化します。(97年もプラス化しているでしょう)
時事通信の記事にもある通り、名目GDPの成長率が3%を超えたのは、バブル期が最後です。その後、特に97年の橋本緊縮財政により日本経済はデフレ化し、名目GDP成長率は低迷。
GDPデフレータがマイナスで推移している以上、当たり前なのですが、内閣府は、
「緊縮財政でデフレ化を進めると、GDPデフレータが安定的にプラスで推移し、名目GDP3%以上の成長が続く」
と、やはり「頭がおかしい」としか表現しようがないシミュレーションを公表しているのです。
名目GDP3%とは、別に高くありません。日本は、普通に達成できます。但し、そのためにはデフレ脱却を果たさなければならない。
そして、デフレ脱却のためには「減税」「社会保障負担引き下げ」「社会保障支出の拡大」と、需要を拡大する政策を打たなければならない。
ところが現実には、財務大臣が、
「歳出改革の取り組みをさらに進めなければならない」
と、寝言を堂々と公言するような有様で、社会保障支出の削減や負担増が着々と進められる。
昨日と同じ感想になってしまいますが、「狂った現実」でございますよ。
GDP統計や所得と税収の関係、財政政策の意味について正しく理解すれば、財務省や内閣府、安倍政権が進める「PB黒字化のための緊縮財政」が、まさに「亡国の愚策」であることが理解できるはずです。
我が国は、亡国の愚策により衰退しているのです。
政府の赤字は国民の黒字であることを理解し、亡国の愚策「緊縮財政」を終わらせる。
日本国を「存続」させるには、まずは上記を実現させなければなりません。
もはや「右だ、左だ」だのにこだわる時代は過ぎました。「緊縮か、反緊縮か」による国民の選択が、日本国の将来を決定してしまいます。
もはや「右だ、左だ」だのにこだわる時代は過ぎました。「緊縮か、反緊縮か」による国民の選択が、日本国の将来を決定してしまいます。
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