下鴨神社で夏の禊ぎ「みたらし祭/足つけ神事」を体験 | 京都の春夏秋冬とプラスα

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物や体の穢(けが)れを祓い清める禊(みそ)ぎは、古くは『古事記』の時代から行われている。この禊ぎは水または水にたとえられる塩を使い、季節の変わり目や大切な儀式の前に行われている神事。中でも、古くから疫病が広がりやすい夏の禊ぎは、特に重要とされてきた。暑気がピークになる土用の丑(うし)の日の前後4日間(今年は7月26日~29日)、世界遺産の下鴨神社では無病息災を願う「みたらし祭」が行われた。この祭は、境内の御手洗池(みたらしいけ)に入り、清水に足をつけることから「足つけ神事」ともよばれており、多くの参拝者に混じって初めて体験した。

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みたらし祭/足つけ神事が行われる御手洗池とその水源は? 】
みたらし祭は、下鴨神社の末社・井上社(通称は御手洗社)の祭事で、社前にある御手洗池で足つけ神事が行われる。池の南庭は、祭や儀式の際にはお祓いの場所になり、葵祭では「斎王代・女人御禊神事」が行われる。日頃はこの池には入ることができない。
日頃の御手洗池と周辺

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御手洗池の水は池の底から湧き出ており、その流れは、御手洗川~奈良の小川~瀬見の小川と名を変え、太古の原生林の様相を残す「(ただす)の森」(国の史跡)を潤している。御手洗池は土用の丑の頃になると湧水量が増えることから、「下鴨神社の七不思議」の一つに数えられている

下鴨神社境内マップ《注》 ①井上社 ②御手洗池 ③曲橋 ④御手洗川 ⑤奈良殿神地 ⑥奈良の小川 ⑦瀬見の小川 ⑧泉川 ⑨相生社(連理の賢木) ⑩比良木社(何でも柊)

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みたらし祭/足つけ神事の由来と内容 】
□ 由来
御手洗池の水の湧き口(井戸)の上に祀られた井上社の祭神は、瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)で、この神は罪や穢れを海に流す災厄祓除の女神。昔から土用の丑の日に、この神池に足をつけ燈明をお供えし、御神水を頂くと諸病にかからず延命長寿の霊験が得られると言い伝わる。平安時代には貴族が、季節の変わり目に禊祓(みそぎばら)いをして、罪や穢れを祓っていたことが次の歌にも残されている。

風そよぐ ならの小川の夕暮は 御禊ぞ夏のしるしなりけり」 (藤原家隆)

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□ 足つけ神事の方法
先ず履物を脱ぎ素足になる。お祓い祈願のお供え料(一人200円)を納め灯明用のローソクを貰い、これを手に曲橋をくぐり池に入る。池の途中でローソクに火をつけ、火が消えないように池の中を歩いて所定の台に献灯し、井上社に向って祈る。池から上がったところで御神水を頂き神事を終える。

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□ 感想
御手洗池は深いところで膝下程度。折しも猛暑の中、湧水だけあって水は予想以上に冷たく、一瞬、冷気が足の先から頭の先まで走る心地がした。数分の水中歩行を終え池から出る時には、体から身の穢れが抜けるような爽快感を得た。これが「禊ぎ」の実感か!。

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【 プラスα:下鴨神社の七不思議とみたらし団子
□ 下鴨神社の七不思議
・御手洗池
普段は水の流れも少ないが、みたらし祭が近づくとこんこんと水が湧き出し水量・水かさが増える(下流は御手洗川)。
・御手洗川の泡
御手洗池や御手洗川では、底から玉のような泡が湧いて浮き上がってくる。〔⇒みたらし団子〕
・連理の賢木
(れんりのさかき)
糺の森、楼門前に生育する賢木。3本のうち2本が上の方で繋がっていて「夫婦木」とも呼ばれる。「相生社」として祀られ縁結びの信仰が篤い。この木が枯れると糺の森のどこかで跡継ぎが生まれるともいわれ、現在の木は4代目になる。
・泉川の浮き石
むかし紅葉橋のたもとに雨乞いを祈願する「こがらし社」があり、願いがかない雨が降ると泉川の小石が飛び跳ねたと言われる。
・何でも柊(ひいらぎ)
楼門を入って左手の「比良木社」の回りの木は、葉がすべて柊のようにギザギザになる。柊は鬼が嫌う木といわれており、まさに災いを祓ってくれると信仰されている。
・赤椿
下鴨神社の神主は位が高く勅使や使いの人の方が位が低かったことから、神主の装束が目立たないようにするため赤い椿を植えたと言われる。
・船ケ島の奈良社旧跡
奈良の小川と泉川の三角州の船ケ島あたりは、かつて奈良殿神地だった。願掛けをして奈良の小川の流れをかき回し小石が飛び跳ねると願いが叶うと言われる。
□ みたらし団子
下鴨神社の葵祭やみたらし祭に神様にお供えする菓子。鎌倉時代の後期に、後醍醐天皇が御手洗池で水をすくったところ、最初に泡が1つ浮き上がり少し間をおいてから4つの泡が浮き上がった。この泡に見立ててつくられたのが「みたらし団子」と言われている。人の頭と手足をかたどった五体を表しているとされ、1串に5つの団子が合わさっている。