滋賀県のエリアをびわ湖を中心に、湖北・湖南・湖西・湖東という馴染みの呼び方がある。中でも湖東と湖南の山麓には錦秋の中に佇む古刹が多い。
一昨年と昨年に次いで今年の錦秋の美も湖東に求め、西明寺(さいみょうじ)・金剛輪寺(こんごうりんじ)・百済寺(ひゃくさいじ)の三山を先日(18日)に訪れた。三山のいずれの寺において11月に開花する不断桜が植えられており、紅葉とのコラボレーションを楽しめた。
▽ 錦秋の湖南に佇む古刹の三山を一日で巡る
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▽『かくれ里・石の寺』での石庭と錦秋の教林坊を探訪
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□ 湖東三山の所在地とアクセス
西明寺・金剛輪寺・百済寺は、いずれも彦根市から大阪府・枚方市に至る一般国道307号沿いで、湖東の連なる山々の麓に抱かれている。紅葉シーズンにはJR彦根駅から三山を結ぶシャトルバスが出ているが、運行便数・時刻表と各寺の最寄りバス停の位置からスケジュール面で制約が多い。このためシャトルバスによる一日周遊は避け、京都からの移動と三山へのアクセスにはマイカーを使用した。
□ 本堂と三重塔が国宝の西明寺 所在地:犬上郡甲良町大字池寺26
平安時代初めの834年に仁明天皇の勅願により開創。米CNNの「日本の最も美しい場所31選」や「日本100の古寺」にも選ばれた天台宗の古刹。本堂は鎌倉時代初期に飛騨の匠が建立した純和様建築で釘を使用していない。滋賀県では国宝指定第1号の建物。
三重塔は鎌倉時代後期に飛騨の匠が建立した純和様建築で本堂と同様に釘を使用していない。
高さは23.7m。
□ 血染めのもみじで知られている金剛輪寺 所在地:愛知郡愛荘町松尾寺874
奈良時代の741年に聖武天皇の勅願て高僧・行基により開山された天台宗の古刹。大悲閣本堂(国宝)前の陽射しを浴びたもみじは、その鮮烈な色合いは圧巻であった。なお、麓の総門から本堂に至るまで続くの参道は、長くてキツイ石段が続くため、本堂近くの駐車場まで車を乗り入れた。
二天門(重文)は本堂より後の室町時代の中頃に建立。門の両脇には持国天と増長天が立つ。正面に吊り下げられた一対の大草履は、昼間に仕事を終えた二天のもので、夜間は草履を門の脇に脱いで立ちながら休まれる。この門を通過する参拝客が健脚・長寿の願掛けを行う。草履は約10年毎に新調されるが、今のものは今年の10月に寄進。
□ 甲子園球場20個分の広大な境内にある百済寺 所在地:東近江市百済寺町323
今から1400年以上前の606年(推古14)に聖徳太子の勅願により創建された滋賀県で最古の天台宗の寺院。しかしながら、安土桃山時代の1573年には、織田信長の焼き討ちによって全山の堂塔を焼失。本堂・仁王門・赤門は、江戸時代初期の1650年に再興され現在に至っている。
山腹を背にした庭園・遠望台は、池泉回遊式で、西はびわ湖を越え55㎞先の比叡山まで広大なパノラマ遠望が広がる。
また、歴史的情緒に溢れる境内は、最近では「関ケ原」に代表される映画や時代劇ドラマ等のロケ地として使われている。