酒とバラの日々 -19ページ目

薄紫色に染まる街並み*10/4

塔から身を乗り出して外を眺める。

強い風が吹く塔の上。

あまりの高さにくらくらしてしまう。

話す声さえ聞こえずらいほどに、風の音だけが聞こえる。


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西の空、

テージョ川の奥のほうに、夕日が美しく浮かび上がる。

一面に夕日に染まる街並み、

ああ私はこれが見たかった。

オレンジに染まるというよりは、淡いピンク、紫色に染まる街並み。

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リスボンと私たちを照らす夕日、

理由なんてなく美しい。

ああ、なんて遠い場所、日本からの距離を思うとやっぱりくらくらする。

なぜここで見る夕日は、街をこんなに紫色に、物悲しく美しく染めるのか。

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綺麗。

ただただうっとり眺める。

街も空も、本当に美しいんだもの、キラキラ輝く宝石とはまた違うんだけれど

目の前の風景は偉大としか言いようがない。

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静かに、ひそやかに、心はおだやかに、

ここにいると、色んなことが浄化される、そんな気がした。

色んなことを考えたかもしれないし、何も考えなかったかもしれない。

この美しい眼前の風景には、ただただ感服せざるを得ない。

この世には、人以上の大きな存在があることを、それは自然かもしれないし違うものかもしれない、

大きな運命かもしれないし、また別のものかもしれない、

けれど、そんな全てを五感で感じつつ、何に言えばいいのかわからないこの感謝の気持ちを、

思いっきり空に投げかけて、

何かに祈りたくなる気持ちがわかったような気がした。


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今まさに沈もうとするリスボンの夕日、

街から見たサン・ジョルジェ城もとても美しかったけれど、

サン・ジョルジェ城から見るリスボンの街もまた、同じぐらいに美しかった。







そして塔へ*10/4

東の空は、まだまだ明るい。

歩いて歩いて、やっと古い要塞のような城壁の一角にある入り口へと辿りつく。


この塔に登ると、さらに高い場所から360度のリスボンの光景を眺めることができるのだ。


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入り口から入ると、物悲しい音楽が。

演奏者は彼。

古い城内で、何とも言えない情緒的で詩的な光景を作り出してくれている。

なんだか現実のものとは思えなくて、不思議な心地になる。


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要塞内から空を望むと、ああ、淡い素敵なグラデーション。

絵画の中のようなその空にうっとりしつつ、早くリスボンの光景を眺めたくて仕方ない。

そろそろ西の空は夕日が大きく傾いてくる頃だからだ。


目の前の塔には、狭い石の階段が備え付けられている。

誰でも登ることが出来る一方通行の階段。

下ってくる観光客と譲り合いしながら、逸る気持ちを抑えて、

それでもやっぱり駆け上る!


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塔の上に着いた。

古い古い、歴史を感じる城壁からのぞく、

淡い色に染まったリスボンの街が見える。

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ああ、私が居た街、リスボン、

私が旅した街、リスボン、

明日帰るのだ、自分が確かにいたこの場所をしっかり心に焼き付けようと、

城壁から身を乗り出した。






あの飛行機はどこへ向かう*10/4

お城へ向かう登り坂、

何度も飛行機の音に上を仰ぎ見る。


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ここから見る空は、本当に広い。

これは何雲というんだろう?

鱗雲?それにしては鱗が大きいかな?


飛行機は、どこの国に向かっているのだろう?

日本?まさか?どこだろう?遠いのかな?


この古い街並みに、飛行機というのが何かアンバランスで、

だけどここが確かに自分の生きている現代なのだ、とふと気付く。


ここにいると時間を忘れてしまう。

この綺麗な秋空は、日本と変わらないような気もするし、

いやいややっぱり空の色とか、微妙な雲の具合とか、やっぱり違うようにも思ってしまう。


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こんなに空をじっくり眺めるのは久々だと思う。

日がすっかり暮れるまでの、マジックアワー。


ここサン・ジョルジェ城内は、こんなに綺麗な空の色を、私たちにプレゼントしてくれた。

今ここリスボンにいるみんなが共有する空の色。

高い高い空、見上げなくてももはや目の前は空だ。

高台にそびえるこのお城は、リスボンの全てを見せてくれている。


明日はもうここにはいないことに気付き、

途端に何とも言えない切なさが、胸にこみあげてくる。