正面。
気持ちが良い程の秋晴れが続いていますね。
しかし
昼間は日差しが強く、
夏日になる程気温が上昇しています。
気温の変化に体が付いていかず、
体調が今一つ優れません。
先日来から
卓について書いてきましたが
卓その物の出来映えとは別に
卓を用いて飾る場合のルールに
触れてみたいと思います。
基本的なルールですが
案外知らずに卓を使っている人が多いと思います。
卓と一言でいっても
大きさから形に至るまで様々です。
懸崖卓と呼ばれる高さがある卓や
平卓と呼ばれる低い卓などの
卓の高さで区別する方法があります。
それとは別に
天盤の形で区別する方法もあります。
例えば
天盤が長方形の物や丸い物、
正方形や六角形など様々です。
そんな様々な形の卓ですが、
飾る場合の正面は何処でしょう。
写真の様に長方形の物は
長辺(写真の前後)のどちらかが正面になる事は
ご存知の通りで
実際に展示会等でもその様に飾られていて
短辺(写真の左右)を正面として飾っている事は
まずありません。
では、
丸形や正方形や六角形等の場合はどうでしょう。
通常写真の様に足を正面にして飾りますよね。
しかし、
写真の丸卓で言えば
足は五本あります。
どの足を正面にしても良いのでしょうか。
それが
ある条件下においては
どの足を正面にしても良いとは限らず、
決った足を正面にしないといけない事があります。
正方形の場合は
さほど正面を気にせずに
どの辺を正面にしても良いと思って使っていると思います。
しかし、
本当にそれが正しいのでしょうか。
先ほど申し上げた通り、
ある条件下では正面が決まっているのです。
その条件と言うのが
天板の”木目”です。
大抵の卓には
漆が掛けられています。
漆の掛け方で
「真塗り」と呼ばれる技法
(刷毛目を残さず何度も塗り重ねる)の様に
木目が見えない物であれば
正面はあまり気にしなくても良いのですが
大半の卓は木目が透けて見える塗り方をしています。
余談ですが
真塗りの卓が少ないのは
使用時にキズが付きやすく、
小さなキズでも目立ってしまうからです。
正方形卓で天板を見てみましょう。
どちらの天板にも
木目が透けて見えます。
このように
木目が透けている場合は
正面が限定されるのです。
木目を縦にして使う事は間違いなのです。
木目が横になる様に使う事が正しいのです。
このルールは
盆栽世界のみならず、
茶道の世界でも同じ事です。
注目して頂きたいのですが
天板の外周を寄木の様に
組み合わせていますよね。
物理的な事でいうと
こうすることで天板が乾燥で反るのを防ぐと共に
乾燥が原因の割れも防ぐことが出来ます。
それと
先ほどのルール(木目を横にして使う)から考えると
どの辺を正面にしても外周の木目は横になります。
このルールは
正面が自ずと決まっている長方形の卓でも
決まっています。
写真の卓も
正面に対して木目が横に使われています。
皆さんも木目が透けている長方卓をお持ちであれば
確認してみて下さい。
必ず正面(長辺)に対して
木目が”横”になっているはずです。
天板の木目が横になる足を正面に選びます。
正面は横。
何でもないルールですが
大切な事です。
五峰作の正方卓を
近々、ホームページ に掲載予定です。