法務局の屋根裏には、
ねずみの兄弟が住んでいます。
「兄ちゃん」
「なんだよ」
「船舶の登記が見つからないって
なんだかざわざわしてるよ」
「船籍港はあってるのか」
「管轄は間違いないって」
「船舶の総トン数は?」
「19トン」
「...そりゃないわ」
「え」
「船舶登記令の第2条第1号、見てみ」
「第2条第1号
船舶 総トン数20トン以上の船舶」
「な」
「20トン未満の船舶は登記の対象
ではないってこと?」
「そういうこと」
「小型漁船とかが農業用動産の
登記がされてることがあるけど」
「あー、それは全部の船ではなくて、
抵当権を設定する場合だけ
登記する」
「なるほど、農業用動産抵当の
登記であって、農業用動産の
所有者を登記する目的ではない、
ということね」
「そう。抵当権が全部抹消されたら
農業用動産抵当の登記記録は閉鎖
される(農業用動産抵当登記規則
第15条)」
「へ~、知らなかった」
「ということで、総トン数20トン未満の
船舶は登記がなくても全然おかしくない」
「なるほど」