** デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム ** | カーツの歴史散策&御朱印作庭  庭は眺めるものではなく、       出てみるものなのだ、、

カーツの歴史散策&御朱印作庭  庭は眺めるものではなく、       出てみるものなのだ、、

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電光影裏斬春風

知っているようで知らない歴史の裏側をそっと、

御朱印帳をたずさえぶらり、ふらり、、つれづれに、、、

日々徒然に

 Chaos is killing me 

 

 

Chaos (カオスは、混沌、あるいは、渾沌 とも書く

 

関東にいたとき、最後に拝聴した管長さんの法話が荘子にある 渾沌 についてのものだった、だから 渾沌 は殊の外に印象に深い

 

 

 南海の帝を儵(しゅく)と為し、北海の帝を忽(こつ)と為し、

 中央の帝を渾沌と為す。儵と忽と時に相与(あいとも)

 渾沌の地に遇う。渾沌之を待つこと甚だ善し。

 儵と忽と渾沌の徳に報いんことを謀りて曰く、

 「人は皆七竅(きょう)有りて、以て視聴食息するも、

 此れ独り有ること無し。嘗試(こころ)みに、之を鑿(うが)たん」と。

 日に一竅を鑿つに、七日にして渾沌死せり。

 荘子 / 内編七編 

 

 

渾沌の顔はのっぺらぼうのようにつるんと何もない顔だった、それではあんまりだろうと儵と忽は、日にひとつづつ渾沌の顔に穴を開けていった、さながら、目や耳、鼻や口のように、そして全て (七竅を開けたとき 渾沌 は、、

 

死んだ

 

なんとも今の世の、混迷を極めたかのような情報過多の波に身動きがとれなくなった人々の状況をまるで見据えていたかのような寓話

 

 

また

 

 

 逢佛殺佛、逢祖殺祖、

 逢羅漢殺羅漢、逢父母殺父母、

 逢親眷殺親眷、始得解脱。

 仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺し、

 羅漢に逢うては羅漢を殺し、父母に逢うては父母を殺し、

 親眷に逢うては親眷を殺し、始めて解脱を得ん。

 臨済録 / 臨済義玄 

 

 

禅の語録「碧巌録」でも  (の文字はよく出てくる

同じく  (もよくみる

 

殺す とは何も人を殺すの意味ではない、殺す、殺し切る、即ち、自分の何を殺し切るのか という問いでもある、では「臨済録」ではいったい何を殺さんとしているのか? 解釈は人それぞれ、如何様にも

 

ただ、、

 

あぁ... とこの「臨済録」の一文を初めて目にしたとき、あたまをよぎったのは「碧巌録」第四十六則にある「鏡清雨滴聲」の管長さんによる提唱だった (*1) 

 

雨の日であったのだろう、鏡清禅師は修行僧に あの音は何か と尋ねる、修行僧は 雨垂れだと応える、そこで、鏡清禅師云く、

 

衆生顚倒して、己れに迷うて物を逐う。

 

これもまた解釈は如何様にも

 

西洋では一時期、親を殺す とはなんと野蛮な 宗教だ と思われたこともあったらしい 

 

日本に来ていた折り、ボウイは日本の禅僧と何を語り合ったのか... 実際に京都は大徳寺さんで老師と話をしていたようだ

 

 

雨滴を聞いているのはいったい何者であろうか? 否、そもそも 雨滴を聞く ということはいかなることなのか?

 

*1

ちなみにいまひとつは「柳生一族の陰謀」でのあの萬屋錦之介さん演じる柳生但馬守のセリフ

「臨済録」にあるその一節からとられた文言だったんだねぇ、、

 

ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)  

 

とても印象深いセリフだったからよく覚えていたよ

但馬守が仕える三代将軍家光公は臨済僧沢庵に帰依していたのは史実だから、そんなには奇異ではないかな (゚-゚)

 

 

で、...

 

 

デヴィッド・ボウイ 

ムーンエイジ・デイドリーム

 

 

 

である

 

やけに前置きが長かったけど、、💦

 

 

Moonage Daydream / 

 

 Keep your 'lectric eye on me babe 

 Put your ray gun to my head 

 

 

まず、日本についての印象、その思いをボウイの肉声で聞けて、あぁ 日本人でよかった と素直に思った、感涙もので... 

 

ボウイの思索の変遷を追体験する というか、、真にクリエイターな方が観たらずっとずっと感銘の度合いは違うんだろうなぁ... 

 

奈良美智さんが、ボウイはミュージシャンというよりクリエイターだ って仰ってたけど、そうそう まさにそのとおり、それを聞いてとても納得したよ◎

 

 

Aladdin Sane / 

 

 Who will love Aladdin Sane? 

 

 

ドキュメンタリーとはいえ必ずしも時系列にはなっておらず、とても映画的 (ロックに例えるならコンセプトアルバム的な作りになっていて、

肉声にもあるとおり、もう一度、自分本来の姿に立ち戻るかのように映像はリプライズされ、、

 

レッツダンス以後のこころの揺れを彼の肉声が語るっていうところが、雑誌なんかで語り尽くされてきているところだけどやっぱりグッとくるものがあって、、

 

いい曲を作りたい という思いが、そもそも書く必要はあるのか? という根源のところにまで行き着いていたんだなぁ... 

 

 

Let's Dance / 

 

 Put on your red shoes and dance the blues 

 

 

ボウイも公言していた仏教的なものの考え方からの影響は、「平家物語」の冒頭にも語られる 諸行無常 でも明らかなように 常なるものはない 、物も人も、人のこころも

 

日々死につつある、あなたもわたしも、ってな肉声も、仏教ではよく目に耳にするところだ

日頃より仏教を学ばさせていただいているからか、そんなところがとても興味深かった

 

 

また

 

"Word On a Wing" をそこで、そういうスキームで使うんだー って、、そういう意味ではこの詩を読んでいなかったし、一番好きなアルバム「Station to Station(S2S) の曲だったし、、

 

 

 In this age of grand illusion
 You walked into my life
 Out of my dreams
 I don't need another change
 Still you forced your way
 Into my scheme of things

 

 この混迷を極めた時代にあって、

 夢から覚めると君は、

 僕の人生にはなくてはならない存在になっていた

 もう何かに変わろうなんて夢見る必要もない

 だって君は、僕のやり方にも有無を言わせなかったからね

 

 

ボウイが ☆ になった と知った日は、彼の一番幸せだっただろう日々を思って "Wedding Song" をずっと聴いてたなぁ、、

 

 

 You say we're growing
 Growing heart and soul
 In this age of grand illusion
 You walked into my life
 Out of my dreams

 

 君は言う、私たちの心と魂はこの瞬間にも成長をつづけている 

 この混迷を極めた時代にあって、

 夢から覚めると君は、

 僕の人生とは切り離せない存在になっていた

 

 

Word On a Wing / 

 

 Lord, I kneel and offer you
 My word on a wing
 And I'm trying hard to fit among
 Your scheme of things

 

 僕を支配する者よ、私はひざまづきあなたに捧げよう

 私の言葉を片翼にのせて

 あぁ でも君のやり方に合わせるのはかなり難しいね

 

 

本編に合わせた意訳byカーツ 

 

 

何故、a wing なのか? 田中純氏はその著者「デヴィッド・ボウイ 無を歌った男」のなかでこう言及しておられる、第二次世界大戦下で片翼を失った戦闘機がふらつきながらも母国を目指す、その神頼み的な何とも不安定な状況を連想させるワードらしい

 

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エンドロールがながれはじめる

 

 ・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・

 

 with Jeff Beck

 

本編では、ボウイをセンターに、左にM.ロンソン、右にJ.ベックだったね、、ロックレジェンドたちよ R.I.P. 

 

 

そうそう、

 

冒頭では "ブレードランナーのあのセリフが聞こえて来て、少しびっくりしたなあ

 

 

Hallo Spaceboy / 

 

 Chaos is killing me 

 

 

PLAY AT MAXIMUM VOLUME

 

 

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 2025年、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館 (V&A) 

 デヴィッド・ボウイ・センターを新たに設立。

 8万点以上のアーカイヴ資料を一般公開へ。

 https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/26833

 

 

少しさきだけど、この博物館には行ってみたいなぁ と、、もちろん合わせて、アビーロードとベイカー街221Bにも (_´) キリッ