3月21日で関東一都三県の緊急事態宣言が解除されたのであります。
温泉行脚に行きたいところ、ずっとお利口に過ごしていたよい子の私‥‥。しかし、解除となったので、どこかよい温泉はないものかと探しはじめたところ、ふと目についた情報があったのであります。
それは、箱根の老舗旅館『強羅花壇』で、ランチが3,500円で食べられるというものだったのであります。
「強羅花壇！！！」
伊豆・箱根で最高の宿に泊まるなら、修善寺の『あさば』か箱根の『強羅花壇』かといわれるほどの名旅館。
宿泊すると、一人で行っても二人で行っても13万円ほどするらしいです‥‥。そして、とても優雅で素晴らしいところだという噂は聞いて知っておりました。
このランチだけという手口、私は気に入ったホテルや旅館があるとしばしば使います。とくに泊まるには高いところは朝食やランチで訪れ、施設内を探索するのを趣味としているのであります。
というわけで、13万円も出して泊まることに躊躇のある‥‥、いや、躊躇がありすぎる私は、3,500円のランチに行こうと思ったのであります。実際はサービス料10％と消費税で4,200円ちょっとになるわけですが。
3月22日、箱根湯本に到着した私は、強羅花壇に行く前にこの身を清めておこうと、どこかいい温泉はないかと調べたのであります。
そして、見つけたのが『天成園』という温泉旅館。どうやら源泉が3本も引かれていて、湯量が豊富な温泉のようであります。
さらに、敷地内には”玉簾の滝”という有名スポットもあったので、ここでまず禊をしてから強羅花壇に向かうことにしたのであります。ただし、この天成園は入浴料が2,580円とちょっぴし高めでありました。
そして、いよいよ憧れの強羅花壇に到着したのであります。
まず、駐車場に車を駐めるわけですが、ベンツやアウディ、ポルシェといった高級外車が並ぶその脇に、今朝、小田原のトヨタレンタカーでいちばん安いからと借りた1,000ccの私のクルマが並ぶわけであります。
向かったのは、『懐石料理 花壇』という名のレストランであります。
入口に行くと、すぐさまお店のスタッフから上品な口調で問いかけられ、おどおどと答える私‥‥。
「ご予約はいただいておりますか？」
「朝、お電話をさしあげたところ、本日は予約はいらないと言われました」
席に案内されて、料理を注文。もちろん、その間も落ち着きなく、いろいろなところを写真に撮りまくる私‥‥。それはもう、だれがどう見ても、ザ・おのぼりさんであります。
そして、コース料理をおいしくいただいたのち、「宿泊棟のほうを見学させていただいていいですか？」と聞いたところ、「もちろんでございます。もし、よかったら‥‥」とコーヒーの割引チケットまでいただいてしまったのであります。
このレストランの花壇から宿泊棟に向かう間にはものすごい長い廊下があり、この長廊下こそが強羅花壇の名物なのであります。
廊下が名物という温泉宿もめずらしいと思いますが、温泉雑誌にこの旅館が登場するときに必ずといっていいほど出てくるのがこの長廊下。
さらに、フロントから宿泊棟に向かう場所にもまた別の長廊下があり、とにかくここは細長い宿なのであります。
館内至るところに優雅な調度品や美術品があり、パブリックトイレすら優雅で腰が引けるほどなのであります。
「ああ、一度でいいから、見栄を張って泊まってみたい‥‥！！」
その後、喫茶室に行き、いただいた割引チケットでコーヒーをご馳走になり、それはそれは優雅な時間を堪能したのであります。
あまりにも優雅な気持ちになった私は、温泉から温泉を渡り歩くといういつものような温泉行脚はとりやめ、近くの『彫刻の森美術館』に向かうことにしたのでありました。
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