最近、私のまわりでは、水のトラブルが多発しているのである。
一つは、私どもの東京事務所である。
階下のラーメン屋さんから、年末に「水漏れしてるんですけど」と指摘をいただいたのである。どうも、配水管の一部が破損し、そこから水漏れしているようなのである。
大家さんに連絡したところ、システムキッチンもだいぶ古くなっていたので、「そのまわりいっさいがっさいを取り替える」という大工事になってしまった。
工事は年明けにならないとできないとのことで、東京のカウンセラーは、年末年始のカウンセリングのときにキッチンの水廻りを使うことができず、気の毒であった。
いつも、カウンセリングに来ていただいたお客様には、コーヒー、紅茶、日本茶などのお茶をサービスする。その後の洗い物などがキッチンでできず、洗面台などを使わねばならなかったのである。
しかし、そのおかげといいますか、いいこともあったのである。
じつは東京の事務所では、カウンセラーが待機用に使っているお部屋がとてもニンニクくさかった。1階のラーメン屋さんのにおいがキッチンから湧き上がってくるためである。
ラーメン屋さんからは空気清浄機を寄贈いただき、それを使ってなんとかしのいできたのであるが、このたび、配水管の修理をしたところ、そのにおいがピタリと止まったのである。
どうも、ラーメン屋さんが入居する際の工事のときに配水管を壊したようである。
においが上がってくるのはそれが原因だったようで、今回、その配水管を修理したことで、水漏れはもちろん、においの上昇もなくなったのである。いわば今回の水漏れは、怪我の功名だったといえるのかもしれぬ。
水廻りのトラブル、もう一つは東京でとあるホテルに泊まったときのことである。
そこは温泉と大浴場を売りにチェーン展開しているホテルで、風呂好きの私はたいそう気に入っているのである。
しかし、その日、チェックインしてお部屋に行ってみると、シャワーブースからものすごいドブ臭がしているのである。大浴場があるので、客室には湯船はついていない。
そのニオイは時間とともにひどくなり、寝る前にはもう耐えられないレベルとなった。
シャワーブースとトイレは一体型のユニットとなっているので、トイレの換気扇を回してみたのだが、それによってニオイはますますひどくなった。
どうも、換気扇がシャワーブースの排気口から配水管のニオイを吸い上げるようなのである。
翌朝、フロントで事情を話し、洗剤か脱臭剤かなにかを排水口にぶち込んで、ニオイをなくすようお願いした。で、仕事から戻ってくると、なんと、まったくの無臭になっていたのである。
「おお、すごいぞ、さすがホテルマン。掃除が行き届いているなぁ」
そう思っていたのだが、寝る前になると、前夜と同じようなひどいニオイがしはじめたのである。
今回は東京での長期出張だったので、ハンガーには洋服をたくさん掛けていたのであるが、その洋服にも臭いが移るほどのレベルである。
で、部屋に備え付けのファブリーズをカケカケしながらしのいでみたのであるが、それも限界なので、部屋を替えてもらった。
次の部屋も同じだったらいやだなぁと心配になったが、今度は多少のニオイですんだ。どうも、建物の構造的になんらかの問題があるのであろう。
お部屋は広め。大浴場は快適なうえにサウナ・水風呂付き。私としては申し分ない環境なのであるが、このニオイだけはたまったものではないのである。
事務所に帰って、この件をグチッてみたところ、そこにいたカウンセラーがエラそうに私に言うのである。
｢あなたのまわりに見えるすべての光景や出来事は、みんなあなたの投影です。平さん、この投影を取り戻してみましょう。激しい水漏れ、吹き出す悪臭‥‥。これはなんの投影ですか？｣
その頭をビールびんで殴ることだけはやめておいてあげたのである。なんとやさしい社長様であろうか。
たしかに、パッキンが弱っており、蛇口がちゃんと締まらず、ポタポタと水漏れしているような状況かもしれぬが、まだ取替工事をするほどのレベルではございません。
フン！
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