先週、書いたように、昨年末はクリスマスの三連休にカード入れを紛失し、意気消沈していた私であるが、じつはそれに追い打ちをかけるような出来事が起こったのである。
なんと、わが家の給水タンクが壊れてしまったのである。
給水タンク?
正確に言うと、水ではなく、お湯を貯めておくタンクである。
わが家は田舎なので、深夜電力を使って、ものすごくデカいタンクにお湯を貯めている。そのお湯をお風呂や洗面所や台所で使っているのである。
しかしながら、このタンク、30年近く前からわが家にあったので、しだいにサビつき、どうも、底あたりに亀裂ができ、水漏れを起こしていたようなのである。
たしかに、タンクのそばにはいつも、水がちょっとだけ漏れたような跡がついていた。そのヒビがどんどん広がっていったようなのである。
困るのは、お風呂に入れないことと、顔を洗うときや、台所の洗い物のときにお湯が使えないことなのである。
といっても、これはすべてわが家の母屋の話であり、「離れ」に住んでいるわれわれはお風呂以外は実害がない。
言い換えると、問題はお風呂なのであるが、これに関しては、わが家では大きな問題ではない。
というのも、わが家は有馬温泉の近所にあるからである。温泉銀座のど真ん中に住んでいるようなものなのである。
私はふだんから、家でお風呂に入るのは月に一度あるかないかというぐらい、近所の温泉につかっている。
一方、高齢であるうちの母親や、めんどくさがり屋のうちの奥さまは、いつも家のお風呂に入っているので、お湯が使えないのはとても不便なのである。
さっそく水道業者に来てもらったところ、年末なので、いまから新しいタンクを注文しても入って来るのは年明けになり、工事は1月10日過ぎになると言われた。
その間は、近所の温泉施設通いである。が、いつもなら、温泉施設に行くと、ゆったり気ままに過ごせるのであるが、年末年始は異様に混むのである。
また、うちの母親や奥さまは、寝る前にお風呂に入りたいほうなので、運転手を務めなければならない私は、夕飯時にアルコールを飲めないのである。
しかも、二人はめったに温泉施設には行かないので、たまに行くと、「岩盤浴がしたい」とか「アカスリをしてもらおうかしら」などとオプションをつけてくるのである。ただでさえ忙しい年末なのに‥‥。
といっても、大混雑の年末年始、岩盤浴はできても、アカスリやマッサージのオプションは3〜4時間待ちだったので、二人ともさすがにあきらめていた。
しかしながら、思いっきり体の伸ばせるような広い浴槽につかったり、ジャクジーや炭酸泉を体験したりして、うちの母親は非常に元気になったようである。
「あなたが家のお風呂にほとんど入らないワケがわかったわ」
と、半分イヤミのように言われたのであるが、理解してもらい、そこは幸いである。
前述のように、年末年始の温泉施設や健康ランドは、それはもう、殺人的な混雑なのであるが、そんな中で、意外に穴場といえるのが、うちの近所にある『フルーツ・フラワーパーク』の温泉施設なのである。
もともとは神戸市が経営していたのであるが、経営難からホテルが売り出され、現在は中国資本が買い取り、中国人団体観光客の宿泊所として利用されているのである。
当然、お風呂場はインターナショナルである。
そして、どこの国の人も、風呂上がりはノドが渇く。で、いつも自動販売機の前では、なにを飲もうかと迷っている人がいらっしゃるのである。
そんなとき、私が必ずおすすめするのが、不二家のピーチネクターである。なぜか、キリンの自動販売機に、ピーチネクターが入っているのである。
中国人の人々は、私のすすめを受け疑いながら買うのだが、一口飲んだ途端にものすごい笑顔になる。そして、その人がみなさんにすすめるようになるのである。
そのせいなのか、年末、ピーチネクターはいつも売り切れであった。
ひょっとして、最近の中国のガイドブックには、「日本に行ったら、不二家のピーチネクターを飲め」と書いてあるかもしれぬ。
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