乗り合わせ | 平準司@神戸メンタルサービス カウンセラー養成・個人カウンセリング・心理学の講演、執筆を行っています!

私どもの会社は、長い間、ライオンズマンションの一室を借りていたのであるが、その間は常に身を隠すようにしながら、こっそりと営業していたのである。

 

それはもう、ヤバいブツや違法DVDなどを販売している会社のごとく、である。

 

「なになに、やっぱりヤバい会社だったの‥‥?!」

 

そう思われてもいたしかたないのである。

 

以前の事務所であるライオンズマンションは居住用の物件であり、商業用に使ってはいけないものだったのである。

 

そもそも、このマンションの部屋を借りたときは、まさか、私どもが毎月3,800件のカウンセリングをこなすような会社になるとは思っていなかったのである。

 

利用件数が増えるとともに、従業員や電話のオペレーターがどんどん増え、3LDKのスペースはどんどん手狭になっていったのであった。

 

いちばんヒマにしている私なんか、窓際どころか壁際に追いやられ、最後は押入のふすまを取ったところを社長室として与えられたほどなのである。

 

押入が生活空間となっているのは、私かドラえもんぐらいのものであろう。

 

そして、そうこうしているうちに、ご近所の人々からアヤしまれるようになっていったのである。

 

「あの部屋は、なにやらドタバタと騒がしい」

 

「いろいろな人の声がしていないか?」

 

「コールセンターのように、電話の受付をしているらしい」

 

「しかも、社長らしき人が小太りで、あ、違う、大太りでこれがまたアヤしい」

 

「人目を避けるように、いつもビクビクと入退室している」

 

そして、「いったい、なにをしているのか」という住民の通報により、ついに管理組合のみなさんが私どもの部屋に視察に入られるというハメとなった次第である。

 

それによって、私どもの会社がヤバいものを扱っているのではないということが判明。ある意味、ホッとしていただくことはできたのである。

 

しかしながら、「居住用のスペースを商業用に使用していることは管理組合の規約に違反しているので、出ていってほしい」と言われたのである。

 

もちろん、すぐ引っ越すこととした。

 

私どもは、「起こることはすべてプロセスで、あなたの人生をよりよくすることですよ」と教えている会社なのである。

 

さっそく動いてみた結果、それまでの事務所とほど近いところに事務所用物件を見つけ、その6階に引っ越しをした。

 

事務所用物件だからして、各フロアにはいろいろなオフィスや店舗が入っている。

 

「プロセスは完ぺき」という言葉があるが、私たちの事務所の上下の階には、鍼とマッサージのお店がある。下の階にはちっちゃな医院も入っているのである。

 

ちょっとサボッて、鍼やマッサージを受けにいくにはうってつけであるし、風邪をひいたときにちょっと抗生物質をもらいにいくのにも非常に便利。これはいいところに引っ越してきたと思っていたのである。

 

私どもの会社は6階にあるが、日々、いろいろな人とエレベーターで乗り合わせる。

 

そんなときは、「何階ですか?」と聞いたり、聞かれたりしながら、階数ボタンを押してあげたり、押してもらったりするわけである。

 

先日のことである。

 

エレベーターに乗ろうとしたところ、若い女性が先にいて、彼女は5階のボタンを押したのである。

 

この女性が5階で降りるのだろうと思いながら、6階のボタンを押そうと思ったところ、彼女は7階のボタンも押すのである。

 

「ほほう、降りるフロアを間違えたのだな」と私は判断した。

 

エレベーターは5階で停まったが、彼女は降りず、私は閉ボタンを押し、次に停まった6階で降りたのである。

 

しかしながら、その後、気づいたのである。

 

エレベーターで乗り合わせるのは、その都度、いろいろな人に変わるのであるが、なぜか私が乗ると、5階のボタンを押す人、いや、押してくれる人が多いのである。

 

5階の医院‥‥、診療科目は内科・泌尿器科・性病科である。

 

どうやら、人々は私がこの医院に用事があると勝手に思い込み、サービスで5階のボタンを押していただいている模様である‥‥。

 

私は内臓が悪い人のように見えるのであろうか。

 

それとも、最近、なぜか尿もれが多いことを、オーラで察知されるのであろうか‥‥。

 

それとも‥‥。