ネコには秘密の集会所があるという。
その場所には、人けのない、日当たりのよいところが選ばれるらしい。
わが家はものすごい過疎の村にある。たぶん、人類の歴史が始まって以来、景色はなに一つ変わっていないのではないかと思うほどの場所なのである。
そんな田舎なので、ほとんどの家がイヌやネコを飼っていらっしゃる。
過疎であるゆえ、隣の家までの距離が遠く、ネコの避妊手術の心配をする方はあまりいらっしゃらない。
しかしながら、シーズンになるとネコたちは長距離遠征をし、オスとメスが出会い、気づけばメスネコがうちで出産などという状況になる。
ネコは気楽に散歩するわけだから、田舎の場合、ネコを飼っていらっしゃる家のほとんどで、玄関がいつも開いている。
つまり、よそのネコなんかも入り放題なのである。
ちなみに、最近、神戸の山間部では、野良アライグマが大繁殖し、生態系を乱している。
よって、わが家には野良アライグマまで入ってくる。
嘘だと思わないでいただきたい。たしかに、私の話には、ホラや盛りに盛った話が多いが、これはほんとうである。
野良アライグマは日本全国で大問題となっており、神戸市では昨年から害獣指定もされ、駆除の対象となっているほどなのである。
六甲山系だけでも1,000匹以上はいるといわれている。うちの横の川のあたりなんか、しょっちゅう歩いているのを見かける。
この際、“野良アライグマの里”として、うちの村を売り出してもいいのではないかと言うほどの遭遇率なのである。
話を戻そう。
基本、わが家の飼いネコには避妊手術をしているのだが、なぜだか野良ネコが、わが家の駐車場や、ネコ部屋のマッサージ機の下、ダンボールの中あたりで子ネコを生むのである。
わが家はネコ好き一家なので、そんな子ネコたちを見つけると、「まあ」となって、すぐに保護にかかる。
そうして増えていった結果、現在、21匹のネコとともに過ごしているのである。
朝、起きたらネコ部屋に行きネコと一緒にごはんを食べる。
ちょっと外に行くと、10匹ぐらいが着いてくる。そして、日光浴をしながら、そのネコたちをなでなでするのである。
気候のよい時期は、ネコたちのほうが先に日光浴していることもある。そこに私が行くとネコたちが寄ってくるのでなでなでする。
そのような日課なのであるが、あるとき、ネコをなでながら、ふと視線を前のほうに向けると、知らないネコがいるのである。
それ以降、キョロキョロと見まわすようにしたところ、知らないネコが必ず2〜3匹いることがわかったのである。
「ムムム‥‥?」
たしかに、わが家の駐車場前は日当たりがよい。過疎の村だからして、人通りは少ない。
「うちの家が‥‥、集会所なのか?」
わが家の駐車場で野良ネコが子ネコを生む率は非常に高い。それはもしかして、集会のついでに生んでいくということなのであろうか?
ちなみに、駐車場あたりで子ネコが生まれると、うちのネコがそれを見つけ、頼まれてもいないのであろうが、一緒に育てたり、遊んだりしている。
その後、「よかったら、うち来る?」みたいな話になり、連れて入ってくるのである。
この秋にもすでに5匹の子ネコが誕生し、うちの中庭に居ついているのである。