うちの受講生のみなさんが私にもっているイメージは、“派手なシャツを着たおじさん”というのが圧倒的に多いであろう。
しかしながら、わたしもたまには‥‥、いや、ほんとにたまになのであるが、スーツにネクタイという出で立ちで仕事をすることもあるのである。
以前は、講演会に呼ばれたときは、ほとんどスーツにネクタイで出かけていた。
が、そのうちだんだん、「スーツではイメージが堅すぎるだろう。ブレザーぐらいにしておこう」となった。
それが、「いちおう、ブレザーを着ておれば、ネクタイはとってもいいかも‥‥」となり、やがて、「あまりかしこまるのもいかがなものか。セーターぐらいでいいのではないか」となり、その結果、スーツを着る機会が激減したのである。
しかしながら、企業研修やその打合せに行くときは、きっちりとネクタイを締めていく。
なぜならば、企業研修はものすごく単価が高い。
はっきり言う。びっくりするぐらいもらえる。
もちろん、100〜200人もの規模でするものだから、気を遣うといえば気を遣うのであるが、3時間ほどの研修を行うことで、朝から晩まで2日間カウンセリングをしたのと同じぐらいもらえたりするのである。
だからして、少しでもリスクは減らしたい。
もちろん、散髪にも行く。ヒゲなんかもう、血が出るぐらい剃る。
前夜はお風呂で全身を入念に洗う。髪の毛なんか、3度洗いしちゃうもんね。初体験を迎える前の男子高校生のようなものである。
それぐらい、気合いが入るわけである。
そして、そんな自分のふるまいが、ふだんのセミナー前夜とだいぶ違うことに気づき、反省したりするのである。
ヒーリングワークの前夜なんて、「きょうは疲れたので、お風呂に入るのやめとこう」なんてことがある。
「1日ぐらい、ヒゲを剃らなくたって、バレないよな」とか、「靴下の左右が違っていても、誰も気づかないだろう」なんてことも思う。
やはり気合いの入り方が違うのである。
ちなみに、時代がバブルだったころは、企業研修などの仕事は非常にたくさんあったのである。
しかし、バブルがはじけ、リーマンショックが起こり、世の中の企業は利益状況が芳しくないのである。人材育成のための研修費が削減され、われわれの仕事も激減したわけである。
かつ、わたし的にはそのころからセミナーやカウンセリングの仕事が忙しくなったので、スーツを着る機会はますます減った。
東京・大阪を往復する飛行機の機内は、ほとんどがスーツ姿のビジネスマンで占められる。
そうした方々が日経新聞を広げている中、カラフルなシャツを着て、おもむろにLLサイズのDS3を取り出し(買っちゃったもんねー♪)、ドラクエをしているオヤジを人はどのように見るのであろう‥‥。
そんなわけだからして、たまにスーツなんかを着たりすると、なんかもう、カタギの社会人になったような気がするのである。
というか、日本経済をこの私が支えているのだというような気分になったりして、なかなか引き締まらないこの身が引き締まるのである。
それにしても、この不況下にあって、社員研修を当社に依頼してくるような会社は、利益がしっかりと上がっている優良企業であることが多いので、ふだんは行けないような場所に行けたりするのである。
都内では六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズ、東京ミッドタウン、大阪ではスカイビルあたりに行ったこともある。
企業によっては、そのフロアにちょっとしたコンビニのような施設があったりして、従業員のリビングのようなスペースとして使われており、企業としてのゆとりを感じるのである。
「当社もいずれ‥‥、いや、必ず来世には‥‥!」
このようなところにオフィスをもってみたいと、スーツを着たときだけ思うのである。