こういう仕事をしているので、結婚式にお招きいただくことが多い。
たしかに、『恋愛心理学』
などを教えている手前、恋愛が成就してもらわないと困るのである。
しかしながら、あえて言おう。
“できのいい生徒たち”は、私の素晴らしい教えをさっさと学び、受け取り、実践し、私どものところからとっとと旅立っていかれる。
そして、その結果、私のまわりにはいつも‥‥‥‥‥‥。
ここから先、該当者のみなさまはお読みにならないことをおすすめします。
‥‥‥‥‥‥‥‥。
というわけで、私のまわりにはいつも、「ぜんぜん男ができないんですけど‥‥」とか「恋愛心理学って、ほんとに、これ、役立つんですか?!」などと言ってくる輩、いや、生徒様たちがゴマンと集まり、私は晒し者にされ、突き上げられているのである。
だからして、そんな人たちにいつも晒され、突き上げを食らっている私にとって、唯一の希望と光が、恋愛を成就されたみなさまから「ぜひとも結婚式に出ていただきたい」というお申し出を受けることなのである。
しかも、「平さんのおかげで‥‥」などという甘い言葉を言っていただくと、心が震え、魂も震えるのである。
しかしながら、一般的に結婚式というのは土日祝日に行うものであろう。
しかしながら、私は土日祝日に休みがほとんどないのである。
土日祝日、私は稼がねばならないのである。
「従業員の給料が、子どもの学費が‥‥」
また、温泉に入らねばならないし、山にも登らねばならないからして、結果的に、結婚式には祝電を打つだけとなったり、ビデオレターなどというものでメッセージを送ったりする場合も多い。
祝電に関しては、いちおう、ご両家のご家族や親戚のみなさまがお揃いであろうということに配慮して送るようにしている。
わが息子や娘が通っているという、わけのわからないスクールのいちばん偉い人からの祝電が、下ネタ混じりの軽々しい「おめでとう」というわけにはいかないであろう。
と考え、祝福の思いを十分にこめた結果、「すいません、定型文の3番をお願いします」ということになることが多い。なにぶん、NTTが練りに練って考えた祝電の定型文であるからして間違いはないのである。
そして、どんなにショボい結婚式であったとしても、“華燭の典”とかいったりするわけである。
ところが、である。
そんな私の親心も察せず、「平さん、いつものように、おもしろいやつでお願いしますね」などと言われたりするのである。
昔、うちの事務所のスタッフであり、当時はセミナーのトレーナーもお願いしていた北端くんの結婚式のとき、彼はお色直しで“馬鹿殿”の衣裳で登場したのである。
本人はウケを狙ったのであるが、これが、まあ、どんスベり。
親戚の席からは、「あんなことをする子ではなかったのに‥‥」、「いったい、なにがあって、あんなことをするようになったのやら」といったざわめきが起こり、ご親戚一同が主賓席にいた私をにらみつけた。
あの光景が忘れられないのである。そのときに刺さった視線が、いまだに背中からとれないような状況である。
さて、先日もうちの受講生の夫婦の結婚式があり、ビデオレターでお祝いを述べたのである。
はっきり言う。
あの日は忙しく、いいプランがなかったので、事務所の亜由美ちゃんの提案に乗っかったのである。
ま、それほどスタッフを信頼していたと思っていただきたい。
が、しかし、どんスベりにスベったようなのである。
当日、私は大阪でヒーリーングワーク・アドバンスを行っていた。そのワークの終わりに受講生の卒業式があったので、結婚式に出席してたうちの研修生やらOBやらが、その帰りにヒーリーングワークの会場にやってきたのである。
そして、私の顔を見るやいなや、「いや~、どんスベりでしたよ~」とか「いや~、最悪のビデオレターで、静まりかえっていましたよ」とか「根本さんなんて、知らん顔してましたよ」などと一同から言われたのである。
そして、そのヒーリーングワークの終わったすぐあと、会場前でなんとそのカップルに出会ったのである。
「あ、ごめんね‥‥。ビデオレター、ものすごくスベッちゃったみたいで‥‥」
そう言ったところ、そのカップルは顔を引きつらせながら、「いや、ぜんぜん大丈夫っす。すごくよかったですよ。けっこう盛り上がってましたし‥‥」と、空をみながら言ってくれたのである。
それはもう、ものすごい気の遣いようであった。
私が人生で受けた中でも、いちばんの気の遣いようだったと思う。
よって、ものすごくスベッたようである。