前回分
血の池地獄が、あまり死人達に苦痛を与えられないと聞いた名二茂 鴨生(ﾅﾆﾓ ｶﾓｵ)は、なんと大体にも血の池ならぬトマトの池をカレーにすると言い出して……！
死人達は鬼達や鴨生、カケルのようにお腹が空かないので、この壮大な炊き出しを手伝うことに。
最初は釜茹のお湯を血の池地獄に送ることなると、大きな雨どいみたいなのをなんと鴨生が壊して崩れた針山から使った。
なんてエコ。
ちなみに針山は壊れても数日後に植物のようにまた生えてくるらしいとか？
そして大きな雨どいみたいなを血の池地獄に掛けると、死人達はそお～～れ！ と掛け声をかけて傾けた。
熱いけど、入るよりましらしく？ みんな一斉に協力してくれる。
凄い湯気と勢いにのり、血の池地獄は一気にぐつぐつと沸騰した。
「よお～～し、野菜やらどんどん放り込め～～！」
なんと地獄は結構な広大な土地でいろんな作物が育っていた。
さすがにカレー粉はないものの、地獄なのにカレーのスパイスなるターメリック的なうこんもあるし、
クミン、コリアンダー、シナモン、ナツメグ、コショウ、チリペッパーまであったりして……！
何であるのか聞いたら、鬼が現世からひっそり入手しており、どんどん植えてみたら増えてしまったとか……
もちろん、死人達にスパイスを炒めてもらう。
死人はたくさんいたのでどんどん手伝ってもらった。
何だろう？ みんなで協力してやると連帯感が出て凄い良い雰囲気にな～～る。
そしてどんどん血の池……トマトの池はカレーみたいになり……
「何だろう？ 何か足らないな～～？」
鴨生が首をかしげていると、
「お肉がないんだよ」
とカケルに言われて、
「そうだった～～！」
野菜はメチャクチャあるけれど、お肉がないと嘆いていると、
「肉か、地獄豚を使うか？ 米作っている近くで家畜していたんだった」
黒邪鬼からまさかの言葉が！
ええ～～!? 地獄にも家畜あるんだ～～！
鴨生は驚く。
「豚はほぼ糞尿地獄に使われていてな、これまた豚の糞尿だけでは間に合わないし、
最近現世でも水洗式になってきて、糞尿が集まりにくくなっていて、糞尿地獄も封鎖手前になっている」
地獄長は嘆く。
「だったら糞尿地獄はもう一切やめて畑なり作りましょう！ どうです、麦畑とかにして地獄パンとか作ったら！」
ついノリノリで鴨生がアイディアを出すと、地獄長は一瞬怖い顔になり……
ヤバい、やり過ぎた？ となると次の時にはニッコリして、
「それはいいな！」
なんとあっさり採用されてしまう。
血の池地獄の跡はどうするか言われると、
「ウォータースライダー的なスリル満点にしたら良いじゃないですかね？」
「何だ？ そのウォータースライダーとは？」
地獄長が知るわけないので１から説明すると、
「おお～～それはなかなか面白そうだな、やってみようじゃないか！
罪が重い者達はどうしたら良いやら……」
最近、地獄は自殺やモラルを反する軽い罪の者達が多く、それらに対して罰が重過ぎるのでは？ と論議されているという……
「だったら、重罪人達にはとびきり怖いお化け屋敷を作ったらどうですか？」
「お化け屋敷!?」
更に鴨生のとんでないアイディアはことごとく採用されて、地獄はちょっとしたテーマパークと化していく方向になり……!?
そんな話をしてる最中に、とうとう総出で作り上げたトマトカレーの池は出来上がった。
