前回分
名二茂 鴨生(ナニモ カモオ)と知り合いの少年カケルが裏鬼門に向かってふ菓子を食べると、まさかのまた壁がおかしくなる。
そこへ指を入れると吸い込まれてトンネルに入り明るい方向へ歩くと、そこは黄邪鬼が丁度用を足しているところ……つまりトイレへ繋がっていて……
「いや~~最初はメチャクチャ焦ったけどカモちゃんだとは……そうか、今回は裏鬼門に向かってふ菓子食べたんだ」
黄邪鬼は鴨生から事情を聞く。
「黄いちゃんでまだ良かったよ、これが羅門さんや黒邪鬼だったと思うと……」
鴨生は想像したらゾゾゾォ~~となった。
「羅門のおっちゃん、元気なのか?」
カケルが問う。
「おう元気だ、現世で教えて貰った鬼ごっこがあっただろう? あれらがこっちでは正式なスポーツ競技になっててさ。
特に今は手つなぎ鬼が熱くて、首領はその監修と審判をしてるんだ」
黄邪鬼が事も無げに言うけれど鴨生からしたら、鬼ごっこがこちらでは正式なスポーツって? しかも手つなぎ鬼が熱い……!?
鴨生には何が何だかで……
「実際、見てみれば判るって~~ほら、」
黄邪鬼に岩場に案内されて上から見ると、ドドドド……!
何だか地響きがしてきて見ると、
「うわ、すげえ!」
鴨生達がみおろすと、そこには鬼達が何鬼も手をつなぎバラバラになっている鬼を凄い迫力で追い詰めていた。
「うわ~~メッチャ広範囲! どうしたら勝てるわけ? これ~~」
鴨生はかなり驚く。
「羅門首領は凄いんだ。
手つなぎされて98鬼までは逃げ切れたけど、とうとう99鬼目で捕まっちゃったんだ、手つなぎ鬼のMVPで未だにその記録を破った者は居ないんだ」
黄邪鬼は目を輝かせながら語る。
鴨生は絶句した。
……羅門さん凄いんだ。
「その画像見る?」
黄邪鬼は鴨生の有無を聞かずに、現世で使うスマホみたいなのをまさかの黄邪鬼が持っていて見せてくれた。
優勝杯みたいのを掲げている誇らし気な羅門がそこにいて……
うわ~~すげえ~~……
それ以上の言葉が出てこない。
その時だった。
聞きなれないような凄い笛のような音が聞こえてくると、
「ブラァ~~クッ‼️」
何とまた別の岩場に羅門がいて、ブラックカードを掲げて叫んだ。
「ブラック?」とカケルが首を傾げると、
「ブラックカード、あれが出ると鬼の誰かが反則行為をして退場失格になる」
退場失格! サッカーでいうレッドカードみたいなもん?
「噛みつき、負傷行為、後は手ではなく足を使って捕まえようしたのは警告としてパープルカードが出るんだ」
パープル……イエローカードみたいなもんか。
「とにかく手つなぎ鬼が今凄い熱いんだ」
うん、どうやらそのようだね。
「カモちゃんもやってみる?」
黄邪鬼は無邪気に言った。
「やらない、やらないよ~~、マジやめて!」
騒ぎ過ぎたらしく羅門が気付き、まさかの結構な距離がある岩場からこちらの岩場まで、凄い跳躍力で跳んでくると、
「おお~~! 鴨生とカケルではないか! 元気だったか!」
羅門とカケルを抱えて再会を喜んだ。
何だかちゃんと元の世界に戻れるのか不安になってきた。
鴨生は先が思いやられて……
鴨生以外は凄い熱気に包まれていた。
続き