前回分
片本鷹衣(カタモト タカイ)はテレビ会社に勤めていたが、魔が差したかのように番組のお金に手をつけてしまい、
何とか鍾乳石のおかげで手元にお金は残ったしお金も無事返せたのだが、結局仕事は辞めさせられてしまった。
鍾乳石を買い取ってくれた鷹衣のおじも結局、同じ末路をたどり……
会社が倒産してしまった。
おじが何とか鍾乳石に倒産の取り消しをして貰おうと、更に引き取ってくれた人のところへ行くと……
お金はやっぱり倍に返ってきたが、その人はなんと事故死してしまい……!
鷹衣は日栗家へ電話をした時、妻の日栗詩奈(ヒクリ シナ)にはそのことを告げなかった。
そしてそれが最後の願い事のようで鍾乳石は消えてしまったようだ。
そのことを含めて導きだしたのは、影響をほぼ受けなかったのは多分、最初に鍾乳石を譲られた日栗家。
お金のことはいきなり言わずに、それぞれたわいもない願い事をそれぞれ言うと、その通りに願いが叶う。
そして願いを叶えた分だけ鍾乳石は消費して小さくなる。
多分、お金のことを口にしない願い事をすれば良かったのに、お金のことを口するとランダムに近くの人が選ばれてしまうのだろう。
たまたま鷹衣が持っていた現金が願いを成就させてしまうことになり……
そこからもう雪だるま式だ。
しかも人間なので元以上を求めてしまい、だんだん倍の値段になっていくから、それがまた質が悪い……
最後は全てのツケの代償を払うことになってしまうんだと、鷹衣は気づく。
まるでババ抜きで残ったジョーカーのようで……
だから、あまりどん欲な願い事は言ってはいけないんだと思う鷹衣。
それでどうやって鍾乳石を手に入れたのか知りたいが為に、それで日栗家へ電話をする。
電話番号は他の番組スタッフが聞いており、こっそり入手していた。
でも……
ーーコウモリを逃がしたら翌朝、その逃がしたコウモリのお母さんなる人が夫にゴリ押しで渡したんですよ。
まさかのおとぎ話系だとは夢にも思わなかった鷹衣……
詩奈が案じた通り、コウモリを部屋の中へ誘い込みコウモリを生け捕りにして、そして逃がすことを考える鷹衣。
とはコウモリが活動するのは夜の内、人の家は明るいからほぼ入らない……とか。
外で捕まえる?
駆除業者に相談してみた。
「ええっ⁉️ コウモリを捕まえたら逃がしたい? それわざわざする必要ありますか? なんの意味があります?」
「家の中に入ったり屋根裏に住み着いたコウモリを逃がすことならしてますが……」
やはりだがことごとく断られてしまう。
だけどある人だけ……
網やら超音波など用意するものを教えてくれた。
とにかく絶対、コウモリを傷つけないように念入りに言われる鷹衣。
コウモリの……いや違った、鍾乳石の力で貰った残り半分のお金をコウモリを捕まえて逃がすことに使うことになる。
毎日、夜の8時頃ある林で決行すると、とうとう……
「やっと捕まえた!」
ついにとうとう網で捕まえることに成功した。
そして自分の家のそばでコウモリ放す。
「頼む! コウモリ母さん来てくれ」
鷹衣は強く願った。
すると翌朝、ピンポンと誰かがインターフォンを押してきて……⁉️
もう来たのか?
急いでドアを開けた!
すると、
「昨夜コウモリを逃がしてくださいまして、ありがとうございます。
わたし、そのコウモリの母です。
お礼にあなたにはアメジストをあげましょう」
ア、ア、ア、アメアジスト~~⁉️
拍子抜ける鷹衣。
しかし、
「こちらのアメジスト、何でも願い事を叶えられますし、犠牲は最小限に食い止めることが出来ます」
アメジストの説明で、鷹衣は決める。
「他の人に迷惑かけないってこと?」
「ですね」
「他にも石はあるのか?」
「ありますよ、他は黒曜石にシトリンにいろいろありますね~~」
「鍾乳石は?」
「鍾乳石は只今品切れですが……」
まさかな答えが返ってくる。
なので鷹衣は、
「じゃあ、そのアメジストを…」
と言うと、コウモリ母さんは一瞬、ニヤリと笑みを浮かべたような気がした。
〈完〉
はじめから