「親父じゃない! 誰だ!? 誰なんだ!」
浅尾喜多良(アサオ キタラ)は別人になっている父親に向かって叫びます!
「親父はどこへやった? どこにいるんだ!?」
なぜか無意識に喜多良は辺りを見回しました。
すると、クククク……と低い声がします。
「やっぱりうまくいかねーな、家族にはどうしたってバレるもんだな…」
何か喜多良の父親の身のこなしがかなり若いようでした。
「バレるって、バレるだろう? どうみても!」
やはり中身は喜多良の父親とは全く別の人がいます。
「わりい、わりい、俺もこんなことになるなんて思わなくてさ。
正直戸惑ってんの」
すると、
「こんな朝早くから何、騒いでるの!? わ、どうしたの? 朝ごはん作るなんて~~何かのお祝い?」
喜多良の母親が起きてきました。
「とりあえず、今はふりをしてくれ、混乱させるだけだ」
外見が親父は小声で伝えます。
「あ、あぁ……」
と戸惑いながらつい従う喜多良でした。
「そうそう俺が作った…んだぞ! 遠慮なく食べな…ろよ」
「わ~~凄い、ありがとう、助かる~~」と喜多良の母親。
わ~~親父らしきやつ、口調がいちいちおかしいし!
てーことは会社の課長やお局も……優しくなったのは別人だから! なのか……
どうしたら? どうすれば……
喜多良はひたすら考えますが今はどうしようもない状態でした。
とにかく一緒に家を出る喜多良と父親の外見です。
母親の姿が見えなくなったところで喜多良は、
「本物の親父はどこへやった?」
と父親の外見に尋ねます。
「……そっちも判ってんだろう? 金貨で悪夢を見たんだよ。親父さんは。
多分、親父さんが悪夢を見た引き替えに俺はこちら側の世界へ戻ってこれたんだと思う」
「何だよそれ!? 親父はこちらの世界にいないってことなのか?」
「多分な、俺がずっといた世界にいると思う」
「どんなところだよ?」
「何もない真っ暗闇だ、ひたすら座って待っていたら俺の番が来たんだと思う」
「はあ~~? 何だよそれ、困るよ~~」
喜多良は言います。
「そんなこと言われても……」と父親の外見。
とにかく何とかしないと……
そう思っていると、喜多良の父親は会社とは違う方向へ向かっていました。
「おい、どこへ行くんだ?」
喜多良は父親の袖を引っ張ります。
「決まってんだろ? うちに帰るんだよ」
「え? うちって……」
「今どうなっているのか、仕事どころじゃないだよ、せっかくこちらの世界に戻って来たんだから」
「そ、そうだけど……」
「あ、俺、古地羅茂録(コチラ モドル)、こちらに戻る前の年齢は22歳かな」
「ええ~~!? 同い年~~!」
喜多良は叫びながら、やっぱり年が近いと想定通りです。
親父の体で中身はオレと同い年かよとなる喜多良でした。
続き
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