前回分
「放置子とはなんぞ?」
羅門は問う。
「……親の管理が行き届いていない子供のことですか。
なので近所のお家に勝手にあがりこんだりおやつを要求したり、いつまでも帰らなかったり、
とにかくまわりのお家に迷惑をかけたりしている子供のことかなと…」
「何でそんなことを?」
今度は黄邪鬼が問う。
「……う~~ん、推測だけど、その赤ちゃんの世話でかかりきりで、この子の面倒を放棄してしまっているのかな……と」
と何とか返す鴨生。
「父親は何をしているんだ⁉️」
と黒邪鬼はかなり落ち着いてきたのか突然話に割り込んできた。
「仕事に行っているからまだ帰ってこないと……」と鴨生。
「じゃあ、母親ひとりでわっぱどもを面倒見ているというわけか!」と赤邪鬼。
「それは大変だ!」と青邪鬼。
「みんなで様子を見に行ってみよう」と緑邪鬼。
すると、鬼達は一同でおおー! と声をあげると、
「よし、我らでこのわっぱの家まで行ってみよう!」
羅門が決心すると、みんなは盛り上がった!
ええ~~⁉️ マジか~~! 鴨生は慌てて、
「みんなダメですって~~! 鬼がこんなにたくさん知らない家に行ったら驚きますって!」
制するが……
「だからといって、このままにしておけぬわ、よし、みんな行くぞー!」
もはや盛り上がり過ぎて、鴨生には既に全く止められる状態ではなかった。
なので……
仕方なく、ついていくことになる。
そして男の子は鍵を開けると、
「ただいまー」
男の子は家に帰ると、一部屋だけ明かりはついているもののシーンとしていた。
「鬼達をたくさん連れてきたよ、みんなあげちゃうよ~」
男の子が言うと、
「ここか~~」
とどんどん鬼達は躊躇なく中へ上がり込んで行く。
鴨生はうわ~~となるけれど、結局、自分もごめん勝手にあがらせて頂きます! と心の中で詫びながら入る。
すると、母親すらも居なくて……
なんとベビーベッドには赤ちゃんがすやすや眠っていた。
「母親はおらんのか?」
羅門は驚く。
その声が大きかったのか? 丁度お目覚めタイムだったのか、赤ちゃんがギャアーーー! と泣き出した。
「わ、わ、わ! どうしたら?」と鬼達。
「ちょっと見せて」
男の子は赤ちゃんに駆け寄るとお尻を触った。
「オムツがパンパンだ」
と言い、
「ねえ、そこの紙オムツとって」
と赤邪鬼に指示をする。
「お、こ、これか」と赤邪鬼。
「うん、そうそうでちょっと優しく足をこう持ち上げてて」
男の子は赤邪鬼に更に指示をする。
「こうか?」赤邪鬼は赤ちゃんの足を持つ。
オムツは無事替えることが出来た。
「そこのお兄さん、電気ポットのお湯を哺乳瓶へ」
男の子は次は哺乳瓶に粉ミルクを入れながら今度は鴨生に指示する。
そして……
「ねえ、黄色の鬼さん、この哺乳瓶赤ちゃんに飲ませてあげて」
男の子が黄邪鬼に渡すと黄邪鬼は嬉しくなり、
「わ~~すげえ、やらせてくれんの? ヤッター!」
なぜか喜んでさっそく哺乳瓶を赤ちゃんの口に持っていった。
途端、静かになりゴクゴク飲む。
いつの間にか鬼達は男の子のペースに巻き込まれて、ついつい家やら赤ちゃんの世話をしてしまうはめに……
そして男の子と赤ちゃんの母親はどこへ?
続き
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