僕にとっては待ちに待ったアプリ
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みんなもiPhoneにしたら

こんな事も出来るぜ~ぃ
iPhoneからの投稿



僕らは仕事の無くなったこの一ヶ月ネタ作りに没頭した。
「絶対に戻る!」
その事だけを願って。
そして
その翌月
久しぶりに二人のやりとりからネタが生まれた。
僕らの二つ目の代表作『すれ違いネタ』の誕生だった。
そのネタはオーディションで爆笑を取った。
そしてそれは決勝でも爆発し、長く低迷した僕らを入れ替え戦まで押し上げた。
決勝の翌日に控えた入れ替え戦。
僕らはこのネタにかけた。
しかし、
問題があった。
オーディション用に作ったこのネタは尺が三分弱しかなかったのだ。
「でも、これしかない!」
僕らは徹夜で五分のネタに広げた。
その日の夜
僕らは久しぶりにネタの内容で盛り上がった。
それは当日の朝まで続き
迎えた本番。
僕らは出番ギリギリまでネタを合わせた。
そしていよいよ僕らの出番がやってきた。
無我夢中ででネタをする僕ら。
極度の疲れと緊張で客席が目に入らない。
ネタの中盤ようやく落ち着くとそこに広がっていたのは…
お客さんの笑顔。
そして聞いたことのない量の笑い声。
徹夜で広げた箇所がさらに笑いを大きくした。
それは最後のオチのセリフまで続いた。
やりきった。
全力を出し切った。
そんな舞台だった。
ネタを終え楽屋に戻ると、レギュラー組の先輩が僕らに言った。
「メッチャ受けてたやん!お前らの後やりにくいわ」
最高の誉め言葉だった。
そして結果発表。
いつ呼び込まれてもいいように舞台袖で待つメンバー達。
舞台に緊張が走る。
それが伝わりお客も緊張する。
舞台上のMCに結果の書いた二つ折りのボードが渡される。
MCがそれを見て一言。
「なるほど」
そして
一位のコンビが呼ばれ、ダッシュで舞台に入る。
しばしMCと喜びの談笑。
毎回上位のコンビは実力と人気で不動になりつつあった。
勝負は中盤からだと下を向いて祈る僕ら。
そして二位…
大歓声が沸き、同時にどよめきが生まれた。
「・・・・・・」
「おい、お前らだぞ」
「え?」
なんと僕らの名前が呼ばれていたのだ。
信じられなかった。
気が付くと舞台上二人で力一杯のガッツポーズをとっていた。
「よっしゃぁ!」
毎月上位三組に入ると翌月のライブのMCをやらせてもらえる権利を与えられた。
MC=ライブを仕切る。
誰もが憧れるポジション。
だが
僕らは二位にもかかわらず飛ばされた。
でも構わなかった。
ライブに出れる。
それだけでうれしかった。
また過酷な毎日がやってくる。
でも、うれしかった。
「もう、落ちない」
そう心に決めた。
だが、僕らに降りかかった現実はそんなに甘い物ではなかった。
そんな現実をよそに、
その夜の僕らは、ただただうれしさに包まれていた。
セミの鳴き声が響き渡る真夏の夜の事だった。
二〇〇〇年 初夏
レギュラーを降格して二ヶ月が過ぎた。
僕らはオーディション組からのスタートを余儀なくされていた。
しかし
僕らは勝てずにいた。
明らかに劇場での知名度は上がり、半年前にはなかった歓声が少なからず起こるようになっていた。
だが、それが逆にプレッシャーでもあった。
レギュラーで経験していたこの人達は必ず笑いを取ってくれる。少なくともオーディションしか経験していない他の芸人と格が違うはずだ。
そんな目に見えないハードルがあった。
オーディションは毎週五十組ほどに増えていた。
僕らはその大トリ。
出番はライブ開始から二時間後。
その間
ほとんど笑いが起こらず進み
お客さんも疲れてきて
重苦しい空気が流れてきた頃
ようやく僕らの出番。
否が応にも緊張する。
心臓が張り裂けそうだった。
プレッシャーに半分押しつぶされながらのネタ。
ギリギリのラインでの合格。大目に見てもらったのかもしれない。そんな微妙な合格だった。
そして月末の決勝。
これに勝たないとレギュラー組との入れ替え戦に出場出来ない。
しかし勝つためには三位以内に入らないといけない。
オーディション参加者が増え決勝に駒を進めるコンビも十五組から二十組に増えていた。ますます狭き門になった。
これを勝ち上がるのは相当に難しかった。
結果…
八位。
なんとも中途半端。
惜しくもない。
今月も勝てなかった。
肩を落とす僕らに
オーディション担当で僕らの事をこの劇場で初めて面白いと言ってくれた構成作家の人から激が飛んだ
「頑張れよ!お前ら面白いんやから!上はどうや?」
「いやぁ正直しんどいです」
「何言うてんねん!ほら、リアクション取れ!ワハハハハッ」
その構成作家の人は僕らを励ましプラスチックのバットでコツいてきた。
「なんや、その一言おもんないなぁ。ワハハハハッ」
そのやさしさがうれしかった。