どうすればいいのか分からない。
時間だけが過ぎていく。
ネタが作れない。
そんな自分が情けなかった。
周りのレギュラーメンバーのコンビたちがみんな面白く見えた。
現にライブでも爆笑を取り
着実に仕事を増やしていた。
レギュラーに昇格する前の
負ける気がしなかったあの自信は完全に消えていた。
跡形もなく
痕跡さえも残っていなかった。
あの時掲げた目標
『半年後にレギュラーに昇格し、一年後に東京に出る。』
…あれから一年が経とうとしていた。
現実は…
そんな事…
とても言い出せる状況ではなかった。
言えるわけがなかった。
そんな時だった
マネージャーさんから連絡があったのは。
「来月、賞レースの予選会があるからそれに出てもらうのでネタ持ってきて」
それは僕らが憧れていた成人式に行う『あの賞レース』だった。
そしてそれは会社内でも非常に力を入れている賞レースで
「予選会でするネタを事前に確認するネタ見せをする」と言うのだ。
僕らはこれに賭けた。
賭けるしかなかった。
どのネタをするのか二人で必死に話し合った。
何度も何度も話し合った。
しかし、何度話しても結論は出なかった。
すっかり自信を無くしていた僕らは何が面白くて、何が面白くないのか分からなくなっていたのだ。
僕らは散々考えた挙句いくつかの候補を挙げ
相談することにした。
『あの人に』
あの僕らの事を「客にケツの穴を見せてるようなもんだ」と言い放ち
「三分でいいから面白い事してくれ」と言い放った
『あの演出家に』
僕らは恐る恐る、聞いた。
「今度の予選会、このネタをしようと思ってるんですけど…どう思いますか?」
それは『すれ違いネタ』だった。
「ええんちゃうか。そのネタよう出来てるし受かるかもしれへんで」
意外なセリフに驚いた。
この人の口からそんな事言われるなんて…
僕らの事虫ケラだと思ってると思ってた。
僕らの事この人はちゃんと観てくれてたんだ。
「この人がそう言うんだったら、これでいこう!」
そう思った。









