二〇〇〇年 初夏





レギュラーを降格して二ヶ月が過ぎた。



僕らはオーディション組からのスタートを余儀なくされていた。



しかし



僕らは勝てずにいた。

明らかに劇場での知名度は上がり、半年前にはなかった歓声が少なからず起こるようになっていた。


だが、それが逆にプレッシャーでもあった。


レギュラーで経験していたこの人達は必ず笑いを取ってくれる。少なくともオーディションしか経験していない他の芸人と格が違うはずだ。


そんな目に見えないハードルがあった。


オーディションは毎週五十組ほどに増えていた。

僕らはその大トリ

出番はライブ開始から二時間後

その間

ほとんど笑いが起こらず進み

お客さんも疲れてきて

重苦しい空気が流れてきた頃

ようやく僕らの出番。

否が応にも緊張する。


心臓が張り裂けそうだった。



プレッシャーに半分押しつぶされながらのネタ。

ギリギリのラインでの合格。大目に見てもらったのかもしれない。そんな微妙な合格だった。

そして月末の決勝。

これに勝たないとレギュラー組との入れ替え戦に出場出来ない。

しかし勝つためには三位以内に入らないといけない。

オーディション参加者が増え決勝に駒を進めるコンビも十五組から二十組に増えていた。ますます狭き門になった。

これを勝ち上がるのは相当に難しかった。



結果…



八位。



なんとも中途半端。



惜しくもない。



今月も勝てなかった。



肩を落とす僕らに

オーディション担当で僕らの事をこの劇場で初めて面白いと言ってくれた構成作家の人から激が飛んだ


頑張れよ!お前ら面白いんやから!上はどうや?」


「いやぁ正直しんどいです」


「何言うてんねん!ほら、リアクション取れ!ワハハハハッ」


その構成作家の人は僕らを励ましプラスチックのバットでコツいてきた。


「なんや、その一言おもんないなぁ。ワハハハハッ」



そのやさしさがうれしかった。